| 「久しぶり。」
「えっ?待ってなんでいるの?」
終い込んだ記憶が冷や汗と一緒に出てきた。
そんな、今日は私が社会人になって数カ月目なことだった。
「同じクラスだったじゃないの。」
「担任だから幹事マジ連絡しろよ〜!」
グラスを片手に気付かれないよう立ち上がった。
「久々なんだから。」
このドキドキに気付かれないよう。
掴まれた腕の感触なんてもう覚えてないのに。
「確かにね、まだ先生やってるんだよね?」
昔からむかついてた、先生なのに先生じゃないような仕草や言葉使い。
不安だったあの時の気持ちはまだ鮮明に残っていた。
「結婚したんでしょ?」
青春時代を持ってかれた相手をまえに、 口が尖る。
アルコールが回ってるのか、顔も赤くなる。
目頭も熱くなる。
「ばかじゃないの?するわけないじゃない。」
今度はグラス片手に先生は移動した。
目で追う自分にむかついてグラスを空にした。
「飲み過ぎだよ。」
「二次会いかないで帰ろうよ。」
目の前に座る何も知らないミィの前で、 何もないように接していた。
(携帯)
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