| 「雨降る夜に 圭子のこれから03」
雨はまだ降り続ける
テレビでは相変わらず ハリーポッターと ロンは仲違い中で。
真っ暗な部屋の中 私の目は完全に 暗闇に慣れてしまって。
頼も同じなんだろう。 恥ずかしいのか 私の顔を見ようとしない。
おとなしく 髪を拭かれている。
何故か体育座り(笑)
本当なら 気まずいはずの 沈黙が
自分でも 不思議なくらい 心地よくて
多分、頼自信が持つ 柔らかな空気が そうさせるんだろうけど。
"触れてみたい"
そう思ったことに 何の嫌悪感も無かった。
もう一度
頼の唇に 視線を落とす
その視線に 気付いた頼と 目が合う。
思わずドキっとする
4年前より大人びた瞳
頼の目はキレイ。
瞳に吸い込まれるって 今の私だ。
「圭子先輩。」
「。。。え!?」
返事をするよりも 早く。
気付いた時には 私は頼の腕の中にいた。
突然のことに 身動きの取れない私。
頼の抱きしめる 腕の力が少しだけ 増して−
胸のドキドキが 痛いくらいに 伝わって−
「。。。先輩」
「。。。。。。ん?」
突然のことに 言葉を発するのが 遅くなってしまう。
「圭子先輩、全然変わってない。」
「。。。??」
「ふつう、告白しにきたやつの鼻水なんて拭きませんよ。」
「。。。そう?」
「そうですよ!優しすぎます。。。そういうとこも好きなんですけど。。。」
「。。。」
頼の声がまた 涙まじりになる。
何も言えない自分が すごくもどかしい。
それでも頼は続けて
「圭子先輩。あたし今まで同じ女の人を好きになったり、自分がおかしいって思ってたけど、今日は言って良かった。先輩には迷惑をかけちゃったけど、あたし今すごく嬉しいんです。この気持ちは嘘じゃないって分かる。同じ女の人でも関係ないです。あたしは圭子先輩が好きなんです。」
頼の雨に濡れた 冷たい体から
温くて凛とした 優しい言葉が
肌をとおして 私の中に降り注いで
「あたし、先輩の中に残れたかな」
最後にぽつりと 頼が言った。
(携帯)
|