ビアンエッセイ♪

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■15228 / 親記事)  優しい物
  
□投稿者/ セブン 一般♪(1回)-(2006/07/04(Tue) 00:25:55)
    2006/07/21(Fri) 01:36:50 編集(投稿者)

    『優しい音。』
    「なんの音だっけ?」あっ。そうそうピアノだ。

    只今の時効。午後6時。

    部活が終わり家に帰ろうと靴箱から靴を取っていたら聞こえてきたんだ。

    「こんな時間に誰がひいてるんだ?」

    辺りは真っ暗で音楽室の光をたどって歩いていった。



    「えっ!?先生…」

    今にも消えてしまいそうで寂しいんだけど優しい音。

    いつもは元気一杯の先生。あの先生からは想像もつかないような切ない演奏だった。

    ガタッ!
    「げっ!」

    「誰!?」

    「すいません。僕です。」

    「あら?加嶋さん?どうしたの?」

    僕は焦った。なんだか見てはいけない物に思えて…
    「お…音楽室からピアノが聞こえてきたから…」

    「そう…もう遅いから帰りなさい。」

    「あっ。はい。先生ピアノひくんですね。体育の先生だし、そういうの嫌いかと…(笑)」

    先生は黙ってた…

    やばい…冗談まじりだったのになぁ…沈黙っちゃったよ…

    先生は真っ直ぐ僕を見ていた。

    「えっ…」
    先生の目には何も写っていなかった。無気力な目。何も語られることない寂しい目だったんだ。
    でもどこか懐かしい。

    「先生この曲知ってる?僕が小学校の時にピアノを始めたキッカケになった曲なんだ。先生にプレゼントするよ。」




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■15229 / ResNo.1)  優しい物2
□投稿者/ セブン 一般♪(2回)-(2006/07/04(Tue) 01:06:56)


    「あっれぇ〜おかしいなぁ。迎えもう来てても良いのに。」

    僕はわざとらしく携帯を見る。

    「げっ!なんだ。迎え来れないのかよぉ〜先生!やっぱ乗せてってくれませんか?」

    「クス。ええいいわよ。」


    「先生…車…





    小さいですね。(ボソ)」

    「ここで下りる?」

    「はははは…冗談です。はい…」

    「あははは。加嶋さんっておもしろい人ね。」

    そんな冗談を言えるほど、先生はいつも通りになっていた。 こんなノリで
    「先生なんかあったんですか?」


    なんて聞けたら楽なのに…気になるけど聞けない。

    「ここを右に行けば良いのよね?」

    「えぇ。そうです。なんかすいません。無理やり送ってもらったみたいになって」
    「そうね。」

    えっ!先生怒ってる!?

    「ワァハはははは!加嶋さん本当いじめがいがあるわねぇ。」
    「だぁ〜!もう何がしたいんですかぁ!」
    と言ってみたけど、きっと今顔赤いんだろうなぁ。僕こういう絡みに弱いから。

    「あっ。先生!もしよかったら上がって行きませんか?夕食準備させますし。」

    「夕食準備させるって、あなた一体…





    …なるほど。相当なお金もちさんなわけね。」

    えっと。ここは日本ですか?と尋ねたくなる玄関。
    2mぐらいあるGateの前に停めた。
    「僕です。今帰りました。学校の先生に送って頂きました。おもてなしをしたいので、Gateを開いてください。」

    「かしこまりました。」
    と、スピーカ―から声が聞こえた。




    (携帯)
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■15230 / ResNo.2)  優しい物3
□投稿者/ セブン 一般♪(3回)-(2006/07/04(Tue) 02:02:14)

    「ささっ。どうぞ!先生。」

    「え…ええ。」


    「爺!すぐに食事の準備を。

    先生は嫌いな物とかありませんよね?」


    「なんでも好きよ。」


    「こっちが客間なんで、どうぞ。夕食ができるまでまだ時間がかかりますから。」


    「ありがとう。」


    今は客間で冷えたレモンティを飲んでる。


    「なんだか迫力に負けてここまで来てしまったけど、迷惑ではなかったかしら?」

    「まさか!迷惑だなんて!いつも一人で食べてるので、寂しんですよね。」

    「お父様お母様はお仕事忙しいの?」


    「あはは。お父様お母様って!そんな呼び方僕に合いませんよ!
    両親とも海外を行ったり来たりなので、高校に上がってからは重大イベントしか会ってないですね。」


    「え。そ…そう。」


    「あっ。先生今哀れみの目で見ましたね!?
    父も母も多忙ですが、イベント事はいつも盛大にやってくれるので、あぁ〜とても大切にされてるなぁ〜って。そう感じるんです。」


    「ふぅ〜加嶋さんて顔に似合わず大人なのね。私も高校生の時に親の大切さってのに気付いてれば良かったわ。」


    「顔に似合わずって…」



    「あら?気にしてるの?とてもかわいらしい顔してるじゃない。」



    「う…僕はかわいいって言われるより、
    大人っぽくてかっこいいって言われたいんです。」


    「あぁ。なるほど。だから話方とか大人っぽくしてるのね。 年をとれば自然と大人っぽくなるわよ。それよりあなたは素直でいいわ。そんなに自分のことを素直に話せるなんてそうそうできないわよ。」


    「は…はぁ。」
    と気の抜けた返事をしたけど、本当は嬉しかったんだよね。


    (携帯)
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■15236 / ResNo.3)  優しい物4
□投稿者/ セブン 一般♪(4回)-(2006/07/05(Wed) 01:53:39)
    この時だったのかも。




    初めてあなたに興味がわいたのわ。


    僕は今まで人をたくさん愛してきたんだ。
    愛していたと思っていたが、実はただ恋愛をしていただけなのかも。

    と気付いたのはもう少し後だった。




    「美味しいわ。こんなに豪華な食事は久しぶりだわ。」

    「えっ。そうなんですか?
    普段はどんな物を?」


    「そうねぇ。肉じゃがとかマ〜ボー豆腐とか」

    「へぇ。先生って料理とか好きなんですか?」


    「えぇ。一人暮らしが長いと色々レパ〜トリ〜が増えるのよ。」

    「以外だなぁ〜なんか外食ばかりしてそうなイメージが…」


    「そうね。体育の先生だものね。体育の先生ってガサツなイメージなのかしら」

    「うっ…あっいやぁそういう意味では。
    でも先生って体育の先生っていうより、どっちかったっていうと英語の先生って感じですよね。なんだか色っぽいっていうか。」

    「クス。加嶋さんの英語の先生のイメージってそんななんだ?以外とエッチね。」

    「なっ!いや!

    はぁ〜先生とお話してるとなんだかペースが乱されます…」

    「笑。ちょっといぢめ過ぎたわね。」

    「うぅ〜」


    僕はこの人の前で一体何回りんごになれば良いんだろう…


    「じゃぁ。豪勢な夕食ありがとう。」

    「いえ。またいつでもどうぞ。お気を付けて。」

    「ありがとう。また明日学校でね。」



    (携帯)
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■15242 / ResNo.4)  優しい物5
□投稿者/ セブン 一般♪(5回)-(2006/07/05(Wed) 19:56:17)

    「おはよぉ〜葉!」

    「おう!オパヨ!あさ美!」


    あっ。自己紹介が遅れました。僕の名前は加嶋葉。

    そして今挨拶を交したのが、あさ美。クラスメイトです。



    「ねぇねぇ。昨日帰ってから何してたのぉ〜?何回か電話したんだよ!」


    「あぁ昨日は部活から帰ってくるのが遅くて、すぐ寝ちゃったんだよね。メンゴ。」


    「もぉ〜。最近そんなんばっかじゃん。」

    プンっ。とスネてさっさと教室に入ってった。

    勘が良い人は気付いたかもしれないけど、僕はあさ美と付き合ってる。


    まぁ最近冷め気味なんですけどね。僕からアピっておいていつもこれ。

    分かってるよ。最低だって。 でもヤメラレナイ。


    「あっ。先生。おはようございます。」

    「おはよう。昨日はありがとね。 今日はサプライズがあるからお楽しみに」


    ん?何だろぉ。 誰か誕生日だったかな?



    (携帯)
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■15248 / ResNo.5)  優しい物6
□投稿者/ セブン 一般♪(6回)-(2006/07/06(Thu) 02:13:53)

    「さぁ。席に着いて。今日は出席をとる前にみんなに紹介する人がいます。さっ。入って。 」

    ガラっと扉が開いた。

    「さっ。自己紹介しなさい。」


    「はい。山口県から引っ越して来た七瀬恵美と言います。 こんな時期ですがよろしくです」


    あぁ。先生が行ってたサプライズってこのことか。でもそんなにかわいくもないし、僕にしちゃサプライズでもなんでもないな。





    ん… んん〜!!!!





    七瀬って行ったら先生と同じ名字…




    先生を見ると目があって、クスっと笑われた…



    まさか!!



    「先生!!もしかして七瀬さんって、先生の妹さん?」


    「そうです。なので皆さん仲良くしてあげてね。」

    えぇ〜!!と皆驚いた声をあげてる。


    (携帯)
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■15250 / ResNo.6)  優しい物7
□投稿者/ セブン 一般♪(7回)-(2006/07/06(Thu) 23:07:02)



    あちらこちらで色々な声が。 びっくり〜とか、似てなぁ〜い。とか。

    た…確かに似てない。 先生はどちらかといえば美人な感じで。でも恵美ちゃんは
    言っちゃ悪いが田舎娘といった感じ…



    (携帯)
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■15251 / ResNo.7)  優しい物8
□投稿者/ セブン 一般♪(8回)-(2006/07/06(Thu) 23:56:18)

    放課後…


    「パスパスパス!」

    キュッキュッとバスケットシュ―ズがなる。

    「ナイッシュ―」


    「はい!そこまで!集合! 総体まで後少しなので、体は冷やさないように良くストレッチして帰るように。」

    「あっした!!(ありがとうございました。)」


    「あっ。そうそう。これから総体まで忙しくなるので、それまで七瀬先生が手伝いに来てくれるから。」


    ん?最近七瀬先生との絡みが多いな。


    「お疲れぇ〜葉。
    そういやもうすぐレギュラ―発表じゃん?今年はユニホ―ム貰えるかなぁ。」


    「さぁ。まぁやれることはしたし、後は待つのみだ。」


    今会話したのは光(ひかり)。かなりボーイッシュな幼馴染みだ。どこが良いのかたくさんの女の子達がこいつに黄色い声をあげてる。

    「あっ。そういやさぁ。七瀬先生が手伝いに来てくれるんだろ〜楽しみだよなぁ〜むっちゃ綺麗でナイスバディ!ってやつ♪」


    「ははは。お前そんなんばっかやん。そんなにエロ剥き出しだと嫌われるぞ。変態。」


    「それが嫌われないんだよなぁ〜ニヤリ。」


    「はぁ。本当こんなやつのどこがいいんだか。」

    「んなこという葉だって結構節操なしやん!あさ美ちゃんだっけぇ〜?」


    「僕は光と違っていっぺんにたくさんの人と関係もってないよ。今はあさ美一筋だよ。」
    まぁ。飽き気味だけど。とは言わないとこう…


    「どうだかねぇ〜まぁいいや。俺今から陽子とデ―ツだから♪んじゃなぁ〜」


    光すごいな。あんだけ部活で走っておいてまだデ〜トする体力あるんだ…

    帰ろ…



    (携帯)
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■15277 / ResNo.8)  優しい物9
□投稿者/ セブン 一般♪(9回)-(2006/07/10(Mon) 22:53:42)



    正門の所に誰かいる。

    「あっ。加嶋さん。今部活終わったの?」


    え〜と…誰だったっけな…


    そんな心の声が聞こえたのか、


    「七瀬! 七瀬恵美だよ!」


    「あっ。 今から帰るの?かなり遅いね。部活?」


    なんて何事もなかったように会話したけど、本当は僕最低だぁ!同じクラスメイトの顔を忘れるなんで。って思った…


    「ううん。 姉さ…あっ。七瀬先生待ってるの。帰り送ってくれるっていうから。」

    「あぁそっか。一緒に住んでるんだよね?」


    「私は寮に住んでるんだ。七瀬先生の部屋狭いから。(笑)」


    「あぁ。そうなの。(笑) あっ。七瀬先生。」



    「あら。加嶋さん。今帰りなの?遅いのね。」


    「えぇ。 あっ。ちょうど迎えがきました。 さよなら。 七瀬さんも、バイバイ!」



    (携帯)
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■15285 / ResNo.9)  優しい物10
□投稿者/ セブン 一般♪(10回)-(2006/07/11(Tue) 22:46:52)


    「葉様。着きましたよ。」



    「あ…あぁ。」


    「お疲れですか?最近遅くまで部活頑張ってますものね。」


    「もうすぐ総体だからね。
    ありがとう。」


    と言って車を下りた。


    「葉!」


    「あれ?あさ美。なんでこんな所に?」



    「葉を待ってたんじゃん…」



    「そか。まぁ。あがりなよ。」


    「うん。」



    「どうしたの?今日は突然。」



    あっ。泣きそうだな。




    「…。」




    「黙ってても分からないよ。」



    「もう…分かんないよ。




    全然電話もメールも返ってこないし。」




    ちょっとほったらかしすぎたかな。




    「うん。ごめん。」




    「遊びに行こう。って行ってもスッポカスし。」




    やばい。かわいい。




    「うん。ごめん。」



    「うんとごめんしか言えないの!」



    「うん。ごめん。」




    と言いながらあさ美を抱き締める。




    「葉はあさ美のこと好きなの〜?」



    「好きだよ。」


    と耳元で囁く。


    (携帯)
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