| 今日は二人とも早番で。
14時くらいから遅番のアルバイトさんが来てくれることになっていた。
私と可南子は17時で上がる。
ここの百貨店は客層からか、スポーツ用品売り場は
朝昼のほうがお客様が多いのだ。
年齢が高めで落ち着いた方の多いのここと、
比較的若年層をターゲットとしていた前の店舗の客層の違いに
最初はマネジメント面で戸惑ったけれど、すぐに慣れた。
「今日何食べたい?」
「そうだな…久しぶりに和食が食べたいかも♪」
「そんなこと言って、私とご飯行くときは大体和食って言うよね」
「そうかな〜。そんなこと言って、淳子さん、結局イタリアンとかになるじゃない」
そんな会話を繰り広げていた、昼下がり。
お昼のピークを過ぎ、百貨店全体の空気が緩んでくる頃。
そろそろ私もランチ休憩にいってくるね、と可南子に告げ、
売り場に背を向けた矢先だった。
「いらっしゃいませ」
可南子の声が背に聞こえる。店舗に来客があったらしい。
視線をちらりとそちらに送り、ショーケースを覗き込んでいる姿を確認する。
顔は確認できないが、服装からして二十代の女性だろう。
接客は可南子に任せ、バックに下がろうとしたその時に、
「あ、ジュンコさん」
私に声がかかった。特徴的なアルト。
振り返ると、美春がいた。
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