ビアンエッセイ♪

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■16111 / ResNo.30)  Re[19]: うさぎ病>思わぬ来訪
  
□投稿者/ れい ちょと常連(87回)-(2006/08/24(Thu) 23:33:16)
    今日は二人とも早番で。

    14時くらいから遅番のアルバイトさんが来てくれることになっていた。


    私と可南子は17時で上がる。

    ここの百貨店は客層からか、スポーツ用品売り場は

    朝昼のほうがお客様が多いのだ。


    年齢が高めで落ち着いた方の多いのここと、

    比較的若年層をターゲットとしていた前の店舗の客層の違いに

    最初はマネジメント面で戸惑ったけれど、すぐに慣れた。


    「今日何食べたい?」

    「そうだな…久しぶりに和食が食べたいかも♪」

    「そんなこと言って、私とご飯行くときは大体和食って言うよね」

    「そうかな〜。そんなこと言って、淳子さん、結局イタリアンとかになるじゃない」


    そんな会話を繰り広げていた、昼下がり。

    お昼のピークを過ぎ、百貨店全体の空気が緩んでくる頃。

    そろそろ私もランチ休憩にいってくるね、と可南子に告げ、

    売り場に背を向けた矢先だった。


    「いらっしゃいませ」


    可南子の声が背に聞こえる。店舗に来客があったらしい。

    視線をちらりとそちらに送り、ショーケースを覗き込んでいる姿を確認する。

    顔は確認できないが、服装からして二十代の女性だろう。


    接客は可南子に任せ、バックに下がろうとしたその時に、


    「あ、ジュンコさん」


    私に声がかかった。特徴的なアルト。

    振り返ると、美春がいた。
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■16126 / ResNo.31)  NO TITLE
□投稿者/ 真紀 一般♪(1回)-(2006/08/25(Fri) 21:00:47)
    続きを楽しみにしています♪
    更新頑張って下さい↑↑

    (携帯)
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■16191 / ResNo.32)  Re[20]: うさぎ病>やきもち
□投稿者/ れい ちょと常連(88回)-(2006/08/28(Mon) 23:37:58)
    「いらっしゃいませ」


    思わぬ来訪に、動揺を慌てて取り繕う。


    「今日だったの?」


    バックに向かう足を180度転換し、彼女の方へ歩み寄りながら

    今朝のメールを思い返して、質問をした。


    「うん、時間あったし、来ちゃった♪」


    嬉しそうにふふふ、と笑う美春の姿に、私は魅了された。

    やっぱり、彼女は圧倒的に美しい。


    「あ、私これからランチ休憩なんだけど。一緒、出る?」


    可南子の手前、話し辛いのもあった。

    美春が頷いたので、可南子に一言言って、

    外で待ち合わせることにした。


    可南子の視線が、少し痛かった。

    彼女はかなりのやきもち焼きなのだ。

    それは、別れた今も変わらないらしかった。




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■16192 / ResNo.33)  Re[21]: うさぎ病>「カナコ」
□投稿者/ れい ちょと常連(89回)-(2006/08/28(Mon) 23:40:23)

    ――あっつい。


    外は、熱気と湿気に満ち満ちていて、

    呼吸をするのも憚れるくらいだった。

    このまま溶けて、アスファルトと一体化してしまいそうな錯覚を起こす。

    冷えた手に、湿気が纏わりついて、手がべたついた。

    太陽の日差しが痛かった。皮膚を炙るような熱射に、

    「肌が焼ける」という表現がぴったりだと思った。


    待ち合わせる約束をしていた駅前のイタリアンに入ると、

    美春は既に席についていた。


    「ね、あれがカナコさん?」


    私が席に着くなり、彼女が発した言葉に、

    私は思わず口に含んだ水を噴出すところだった。


    「は?!…えっ?」

    「店員の人。違うの?」

    「そ、そうだけど…な、なんで?」


    慌てて水を飲み下し、彼女の顔を見る。

    美春の前では可南子の話をした覚えがない。

    むしろ、今日以外、可南子という名前自体を

    ここ数日発した記憶がなかった。


    「視線。あの人、すごくわたしのこと睨んでたもの」

    「え、いや…」


    そうじゃなくて、と心の中で美春を否定しかけた。

    なんで彼女の口から可南子の名前が出たのだろう。

    しかし、可南子が美春を睨んでいた、という事実に、

    少し嬉しくなってしまう私がいた。

    可南子は、まだ私のことを憎からず思っていて

    くれるのかもしれないと思えたからだ。


    「ジュンコさん、カナコさんと付き合ってるの?」

    「え?」


    唐突な質問に、私は戸惑った。


    「ジュンコさん、昨日カナコさんのこと、呼んでたから」

    「え…?」

    「夜。うちに来て、目覚ますまでに2回くらい」


    「…!!」


    淫夢が頭を過ぎり、思わず赤面する。


    「なんか、やらしい夢見てたんでしょう。あのあと、すごい濡れてたもんね」


    くすくす、と可笑しそうに美春は笑った。

    なんとも言えず、居たたまれない気持ちになって、

    私は美春から視線をそらした。


    すると美春の後方にいたウェイトレスの女の子と目が合って

    私はその場をごまかすために「注文御願いします」と手を上げた。

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■16193 / ResNo.34)  Re[22]: うさぎ病>悪魔のような天使の申し出
□投稿者/ れい ちょと常連(90回)-(2006/08/28(Mon) 23:46:53)
    2007/03/07(Wed) 17:48:03 編集(投稿者)
    2006/08/28(Mon) 23:51:23 編集(投稿者)



    「可南子とは、付き合ってない。何ヶ月か前に別れたのよ」


    その話が切り出せたのは、頼んだパスタが運ばれてきてすぐのことだった。


    「え、うそ」

    「本当。結構前の話よ。嘘ついてもしょうがないでしょう」

    「そうなんだ。なんで?」


    聞きづらいことをさらりと聞けてしまうのも、

    彼女の人徳のなせる技だろう。

    同じことを聞いて、人のプライバシーに土足で踏み込む人だと

    評される人もいる中で、彼女には、そんなことを気軽に聞いてしまえる、

    ある種の無邪気さ、素直さがあった。


    「前から付き合っていた彼氏がいたんだって」

    「わぁ…最悪」


    そう言って、彼女は顔を顰めた。

    今までそうやって、素直に感情を表現してくれる人がいなかったので

    私は一瞬、普通のレンアイ相談でもしているような気になった。

    今までこういうことを話せる友達がいなかったから。


    あっさりと、そう言い切ってくれる人がいてよかったと、心から思う。

    私の胸のつかえが、少しは取れた気がした。

    吐き出せると楽になるものなんだな。


    「じゃあ、ジュンコさん、今フリーなんだ?」

    「そうよ」

    「じゃあさ、わたしと付き合わない?」


    そうあっさりと、彼女は言ってのけた。


    私はといえば、ペスカトーレのイカをフォークに刺すのに集中していたので、

    そう言ってのけた彼女の表情を見ていなかった。


    「わたし、ジュンコさんを満足させて上げられると思うよ。どうかな」


    しっかりと私の目を見据えて、長い髪の毛を耳にかけつつ、

    彼女はミートソースを口に運びながら言った。

    少し赤く染まった口の端が、ニッと笑った。

    その唇の赤さと、口の端の角度がちょっと悪魔みたいに妖艶に見えた。


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■16194 / ResNo.35)  がんばりました。笑
□投稿者/ れい ちょと常連(91回)-(2006/08/28(Mon) 23:49:00)
    真紀さま

    感想ありがとうございます。

    更新いたしました。


    まだラストまでいってませんが、

    もうすぐラストです。

    真紀さんに、読み終わった後

    「面白かったです」と言っていただけるよう、

    頑張りますのでまた感想聞かせてくださいね!
引用返信/返信 削除キー/
■16225 / ResNo.36)  NO TITLE
□投稿者/ 真紀 一般♪(2回)-(2006/08/29(Tue) 21:59:27)
    もぅすぐラストを迎えるんですね☆
    いっぱい更新されてて‥楽しく読ませていただきました♪
    れいさんのペースで更新頑張って下さいね↑↑

    (携帯)
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■16394 / ResNo.37)  Re[23]: うさぎ病>天使のような、悪魔の囁き。
□投稿者/ れい ちょと常連(93回)-(2006/09/11(Mon) 23:12:59)
    私の頭の中はといえば、突然の申し出にびっくりしてフリーズし、

    聞こえてきた音声を、再度言葉に変換しなおすところから再スタートしていた。


    けれど、こんな至近距離で聞き間違えるはずはないし、

    他のなんという言葉にも置き換えがたかったから

    たぶんさっき聞こえてきた言葉は、

    その通り彼女の口から発されたんだろう。


    それが正しいことを示すかのように、

    彼女は先ほどから出方を伺うように、じっと私から目をそらしていなかった。



    信じがたい事態だった。


    けれど、私の口から出てきた言葉は、

    自分自身がびっくりするくらい冷静極まりないものだった。


    「考えさせて」


    美春にはそう告げて、バスタを口に運ぶ。

    内心、心臓はバクバクいっていた。


    「いい返事を、期待してる」


    私の瞳をじっと覗き込んで、彼女は悪魔のような魅惑的な微笑を私によこした。

    その微笑を心の底からきれいだ、と感じ、罪悪感すら覚えつつ、

    私は彼女から目を逸らしてパスタ皿に視線を落とした。







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■16395 / ResNo.38)  Re[24]: うさぎ病>今日の占いカウントダウン
□投稿者/ れい ちょと常連(94回)-(2006/09/11(Mon) 23:14:21)
    返事は週明けにでも、そう念を押されて美春と分かれ、私は店舗に戻った。


    頭の中でパニックを起こしたまま店舗に入ると、

    来客も無く、カウンターで事務処理をしている可南子がいるだけだった。


    私が戻ってきたことに気付いて、ちらりと時計を見やり、


    「お帰りなさい。早かったのね」


    そう言って可南子はにっこりと笑った。


    「お友達は?」

    「あぁ、帰ったよ」

    「そう…もっとゆっくりしてくれば良かったのに」

    「いや、そういうわけにもいかないでしょう。仕事中だし」


    可南子は一度店舗をぐるりと見渡すようにして、

    彼女の姿が無いのを確認すると、また作業に戻っていった。


    さすがに私からさっきの彼女に告白された、なんて言えないし、

    何か報告したほうがいいだろうか、それとも何も無かったように普通に話そうかと

    頭の中で必死にシュミレーションしてみるけれど、

    どれも途中の可南子の質問に窮するで私の姿で終わってしまい、上手く行かなかった。


    「…きれいなひとね」


    色々考えつつ、お客様に出すセールのご案内なんかの処理をしている間に、

    可南子が私に話掛けて来た。

    そうだ、彼女は気になったことは自分から聞かなきゃ気がすまない性質だった。


    「え?」


    美春のことだと、すぐにわかっていたけれど、

    わざと気付いていないフリをして聞き返す。


    「さっきの。新しい彼女?」

    「まさか。友達だよ」


    彼女の鋭い指摘に、内心ひやっとして、何故か全否定してしまった。


    「そう。…でも、淳子さんのタイプよね」

    「…うん、そうだね」


    なんだか、浮気でもしている気分にさせられる。

    私と可南子は、もうとっくに別れているというのに。


    「彼女のこと、好きなの?」

    「…ね、私と可南子ってさ、別れたんだよね?」


    彼女の詰問口調に耐えられず、思わず彼女に向き直った。


    彼女はまっすぐに私を見つめていた。

    勝気そうな彼女の瞳は、まるで私に何かを求めているようで。

    その彼女の視線に、逆に私が耐えられなくなりそうだった。


    「そうだけど」

    「じゃあ、可南子には私がどうしようと関係ないでしょう」

    「なくない」

    「なんで?」

    「だって、あたしまだ淳子さんが好きだもん」

    「はぁ!?」


    あまりに急な、思ってもいない方向に話が流れて、

    私の動きは、完全にフリーズした。

    彼女が何を言ってるのかが、もうよく分からない。



    ただ、その時私は今朝の星占いで、

    一体山羊座は何位だったんだろうと思っていた。
引用返信/返信 削除キー/
■16396 / ResNo.39)  お久しぶりでございます。
□投稿者/ れい ちょと常連(95回)-(2006/09/11(Mon) 23:39:05)
    2006/09/17(Sun) 23:05:41 編集(投稿者)

    2週間?更新できませんでした…。

    仕事に忙殺される毎日でございます。


    夏のお話だったのに、夏に終わらないということが無いよう、

    がんばって終わらせます。

    読んでくださいましてありがとうございます。


引用返信/返信 削除キー/

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