| つまるところを言えば、あたしは、あたしを見てくれる人を、
あたしの内面だけを求めてくれる人を探していたのだと思う。
体じゃないの、
顔でもないの、
あたしを見て。
あたしの心に気付いて。
…あたしはそれなりにスタイルも良くて、
そこそこ可愛かったから、
その気になれば女性には不自由しなかった。
寂しい時は、その場で女性を拾って帰った。
帰る家が無いときは、そうして拾った女性の家を泊まり歩いた。
あたしはいつも周りに気を配って、
人の気持ちを図っていたから、
心の支えを求めている寂しい女性に対して
求めている言葉をかけてあげることは、容易いことだった。
それが欲しいのは、あたしのほうだったのに。
みんな、自分のことに手一杯で、
あたしのことなど見る余裕がないようだった。
あたしは人の心は埋められても、
自分の心は埋められなかった。
あたしの心を埋めてくれる人は、現れなかった。
求められるばかりで、
与えることにも疲れて、
自暴自棄になりかけていた頃。
淳子さんと出会ったのは、そんな時だった。
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