| 3番線に到着の電車は─
月曜日が。
黄色い線まで下がって─
月曜日が来る度に。
整列乗車にご協力を─
月曜日が来る度に思う。
朝7時30分、 家を出て。
最寄り駅までは徒歩10分。
大きなバスターミナルを備えた駅に着いたら時計を確認して。
少し歩みを早め階段を昇る。
ピッ─
ガチャン─
ICカードの電子音とアナログ式の定期券の音。
混在する広い改札。
サラリーマンもOLも学生もチビっ子も。
動きは早く誰も無口で。
“改札を詰まらせたら顰蹙を買う”
云々ではなく。
ここはきっと。
「社会」をまっとうに生きる人間でありたいならば、 ならば誰しもが。
ただ静かに。
ただ素早く。
息を止めて通らなければならない、
ゲートなのだ。
ピっ─
私もちゃんと。
他の人に遅れを取ることなく定期券を差し込み。
その門を抜けた。
ジリジリ…。
朝から響き渡る蝉の声で。
今日から7月が始まった事を思い出す。
………っつい。
制服のカッターシャツの首にじんわり汗が滲み。
直射日光に眉をしかめた。
ホームを埋め尽くす人々。
新聞、 本、 ケータイ…。
手にしながら。
皆、 下を向いている事。
皆、 決まって下を向いている事に。
私は最近気付いた。
ちゃんと早起きして。
ちゃんと決まった電車に乗る為。
ちゃんと二列に並んでる。
当たり前のこの景色に。
日本人て勤勉な人種だなぁなんて。
疲れない?
なんて。
バカみたい。
なんて。
3番線に到着の電車は─
44分。
私の“決まった”電車がホームに滑り込み。
みんなバカみたい。
冷めた目をしながら。
人波に飲まれないように、 必死に。
私も電車に乗り込んだ。
月曜が。
月曜が来る度に思う。
こういう毎日を続けていつの間にか年を取ることが。
人生?
17歳。
高校生のガキに何が分かると言われれば。
それまでだけれど。
(携帯)
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