ビアンエッセイ♪

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■15823 / ResNo.10)  Blue day diary10
  
□投稿者/ エビ ちょと常連(63回)-(2006/08/12(Sat) 13:31:41)
    「碧ー」





    「碧ちゃーん。あんまり川の遠くまで行っちゃダメよー」





    「はーい。パパー、ママー」





    「ね、あなた。碧とっても楽しそうね」





    「そうだな母さん。やっぱり夏は自然の風が一番だ。クーラーなんてイカン」





    「また言ってる」





    「来年からは碧も小学生か。早いなぁ」





    「あの子は絵を描くのが好きよね」





    「だな。俺の血か」





    「よく言うわよ。あなたより碧の方が上手いかも」





    「タハハ酷ぇなぁ」





    「あ、見て。碧にお友達ができたみたい」





    「本当だ。一緒に川遊びか。同じくらいの年の子だな」





    「ふふ…。碧ったら照れてるわね。あの子人見知りするから」





    「この辺の子かな。ちょっと行ってくる」





    「邪魔しないようにね」













    「こんにちは。碧と遊んでくれてるの?」





    「うん!ちっちゃいエビさんがいたよ!」





    「そうかそうか。パパとママは?」






    「むこうでおにく焼いてるよ!こっちむいて手ふってるー」





    「あ、アハハ。どうも」





    「おじさんはミドリちゃんのパパ?」





    「そうだよ。えーと…、お名前は?」





    「アイ」





    「アイちゃんか」





    「アイ色のアイ」





    「藍ちゃん、いい名前だ。碧と仲良くしてやってね」





    「うん!ミドリちゃんよろしくね」





    「ほら、碧も照れてないで」





    「…アイちゃん。よろしくね」





    「ハハハ。たくさん遊ぶんだぞー」










    「ねーミドリちゃん」








    「なあに?アイちゃん」












    fin.







    (携帯)
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■15824 / ResNo.11)  愛してる
□投稿者/ エビ ちょと常連(64回)-(2006/08/12(Sat) 13:34:25)
    恋の終わりは。




    人を素直にする─




    AM4:43


    その時間に目が覚めたのは。


    アラームや喧噪が原因ではない。


    ただ目が覚めて。


    普段なら数秒で二度寝に入れるはずなのにそれもできない。


    起き出した神経を沈めることは。


    その朝は難しかった。


    隣に目を遣る為。


    枕から少し頭を上げる。


    その人は私に背を向け。


    背中の律動は規則正しく。


    眠っている。


    ポス─


    私の頭が再び枕に沈む動きにも。


    気付くことはない。


    …………。


    自分の額の上に手を重ねた。


    瞼が重い。


    重いというよりは。


    痛くて熱い。


    眠りについた時間を思い出せば。


    この疲れも当然か。


    チカチカと光るデジタル時計に。


    音はない。


    この街の朝はまだ遠く。


    音はない。


    何の音もないこの空間で。


    私ひとりが息をしている。


    昨夜のやり取りを思い出し。


    後悔を積み上げる。


    “やっぱり嫌だ”


    “仕方ないよ”


    “こんなに好きなのに”


    “…仕方ないよ”


    “どうして”


    “…………”


    “何で私の気持ち分かってくれないの”


    “仕方、ないよ”


    エゴに満ちた私の言葉に。


    “仕方ない”


    としか言わなかった彼女。


    年上の彼女が決めた選択を。


    理解できない年下。


    愛されていた。


    そして今も愛されている。


    そんな事実を忘れ。


    ただ。


    ただあの夜は。


    不安と絶望が私を占めていた。


    私と彼女の。


    最後の朝。





    恋の終わりは。




    人を綺麗にする─




    小さな肩に目を遣る。


    今は見えぬ、
    これからも見ることのない笑顔を思い出す。


    始まりの秋、
    はしゃいだ冬、
    穏やかな春。


    過ごした時間を思い出す。


    くだらない喧嘩。


    どんな時も優しく笑っていた顔を思い出す。


    重ねた約束。


    信じた永遠を思い出す。


    現実の壁。


    越えられない自分。


    好きかどうかなんて今は分からない。



    でも。




    でも─






    本当に綺麗だね。



    失うの。



    恐いな。





    最後に。







    抱きしめてもいいかな。






    夜が、
    明けようとしていた。






    fin.







    “愛してる”
    music by 風味堂






    (携帯)
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■15825 / ResNo.12)  猫になりたい
□投稿者/ エビ ちょと常連(65回)-(2006/08/12(Sat) 13:36:53)
    閉じていた目を開けると─


    見慣れない天井、
    ホテルの一室。


    ベッドで仰向けの私がいる。


    暗闇に慣れた目。


    溶けそうだった脳が。
    「見る」という行為により、少し覚醒する。



    相変わらず。


    私の下半分は溶けたままだけれど─



    キスをしたまま繋がるのが好き。


    肌と肌を重ねて繋がるのが好き。


    射るような視線で一瞬辱められるのも好き。



    そのどれもできない今だけれど。




    コレは好き。




    二人してベッドに転がったのは11時過ぎ。


    それから1時間か…1時間半。


    彼女の顔はずっと同じところにある。



    「んー…」


    手持ちぶさたの自分の両腕を彼女の頭に伸ばす。


    私の足の間にある、
    彼女の頭に手を伸ばすと。



    柔らかい髪に指が埋まった。





    「……ん?」


    でも彼女は仕事を止めない。


    相変わらず、
    ゆったりとした動きで。決して早くはない動きで。


    舌と唇だけを揺らしている。


    これを約1時間半続けられた時、自分の躰がどうなるか。



    今夜初めて知った。




    3回。



    今夜まだ彼女は指を使ってないという事実は相当恥ずかしいけれど。


    どうしようもなかった。



    舌のザラザラとした感触で下から上へ、
    ツーっとなぞられる。


    時折間違ったように中に差し込まれ。


    吸われる粘膜。



    次第に溢れ出し、
    湿るシーツ。



    空気がパンパンに張った風船に舌がツンと当たると。




    「………っ」


    思いがけず不細工な声が出る。




    「ねー…」


    「何?」


    「あのさ…」


    誘ってるんじゃない。


    「もー無理…」


    これはそんな甘い囁きじゃなく。


    「………てよ」


    切実な。


    「ん?」



    「………れて」



    私から溢れ出す、
    切実な願い。






    くすっ─


    意地悪く笑って彼女は私を覆い、
    私の下半分に手を伸ばし始める。





    「ちょ、待」


    「…何?」




    ごめんね。



    従順な猫じゃなくて。





    「アレがいい」



    私の好きなやつ。





    くすっ─



    「いいよ」




    ………。
    また笑われた。







    彼女の上になり。









    自分から腰を沈めた。







    fin.







    “猫になりたい”
    music by スピッツ





    (携帯)
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■15826 / ResNo.13)  and I love you
□投稿者/ エビ ちょと常連(66回)-(2006/08/12(Sat) 13:44:48)
    あの日─



    数十分後にはペンタゴンに墜落する事となるその機内の中からは、
    沢山の電波が飛ばされたのだという。


    闘い、
    闘った末。


    望みを絶たれた乗客が手に取った携帯電話。


    絶望と恐怖の中で彼らが発したのは。



    暴力の根元を絶てとの大統領への怒りのメッセージではなく。


    馬小屋で生まれた彼への祈りの言葉でもなく。


    まして宗教が生むひずみを語るうんちくでもなく。




    もっと、シンプルなものだった。










    ─I love you.









    私はそれを、
    「ふーん」なんつって聴いていたように思う。


    或いは美談のひとつとして小説のネタにでもしようかなんて考えていたかもしれない。



    “I love you”



    その言葉を、
    例えばチュッと交わすキスや情熱的な夜と同義語に感じられることは。
    幸せな事なんかじゃないかと、今は思う。



    “I love you”



    愛の表現として、
    +の表現として。
    照れながらもその言葉を想い伝えるなんて。
    きっとその二人はとても幸せなんじゃないかと、今は思う。



    “I love you”



    時と共に人は変わってゆく。


    そしてひとつ、
    気付きゆく今。



    “I love you”



    誰かと過ごした空間、時間、記憶。
    味も匂いも肌触りも、笑顔も泣き顔も真剣な表情も。
    それが“時”となり。


    時が人を変える。



    “I love you”



    あなたという時が、
    私にもたらした変化のひとつがこれなんです。



    “I love you”



    こんなに切ない言葉はないなぁって思う今。



    “I love you”



    怒りでも祈りでもうんちくでもなかったんだよね。
    私があなたに伝えるべきだった言葉は。



    “I love you”



    これだけだったんだよ。





    “I love you”





    もっと言えたらよかったのにね。





    “I love you”







    私達の翼が共に飛ぶことはなくなり、
    色んな事があって─



    “そして”
    “だから”
    “でも”
    “やっぱり”
    “これからも”





    言葉にはならない。






    and,










    and I love you.









    and I love you.








    fin.







    (携帯)
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■15835 / ResNo.14)  エビさんへ。
□投稿者/ 海烏 一般♪(4回)-(2006/08/12(Sat) 23:05:16)
http://mh2.mp7.jp/18/umigarasu3in/
    こんばんは。

    今回の作品もいいですねー。
    電車通学から始まるロマンス!
    通学も通勤も電車とは無縁なので憧れます。
    まあ、実際にラッシュの電車に乗れば、すぐにリタイアすると思いますが。笑
    線路上を動く物体を見ると、ついつい『汽車』と言ってしまう海烏でした。
    ニ…ニンっ!←言い逃げ。

    (携帯)
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■15841 / ResNo.15)  エビさんへ
□投稿者/ イク 一般♪(1回)-(2006/08/13(Sun) 01:39:18)
    [壁]_☆)キラーッ

    ニン♪
    以外に早く言えました。 (笑)
    嬉しいです。



    おーー、エビさんや!!
    って、ALLで表示させて一気に読み始めたら。。。
    やられました。

    えらい話が前後するなぁ、今回のはこういった趣向か?
    とか思ってたんですよね。
    でも読み急ぎすぎてb見てなかっただけでした。

    全然、感想とかじゃなくてすみません^^;
    では。
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■15844 / ResNo.16)  エビさんへ
□投稿者/ リトルK 一般♪(1回)-(2006/08/13(Sun) 03:44:45)
    こんばんは。リトルだすm(__)m
    相変わらず、私の心臓わしづかみな文章ですね(゜▽゜)
    好きです(告)(笑)
    自分も書こうと思っていまだ手付かず…いや、書いてはいるけどアップしてないんですが( ̄▽ ̄;)
    ともあれ。
    再見できて嬉しいです。
    リトルでしたm(__)m

    (携帯)
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■15849 / ResNo.17)  おかえりなさい♪
□投稿者/ アリス 一般♪(2回)-(2006/08/13(Sun) 10:55:37)
    ニ…ニンッ…(//_//)‥…

    エビさんの文書をまた読めて嬉しいです(*^-^*)

    エビさんのペースで無理をなさらず…楽しんで書いて下さいね♪

    (携帯)
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■15855 / ResNo.18)  NO TITLE
□投稿者/ のん 一般♪(1回)-(2006/08/13(Sun) 17:23:00)
    2006/08/13(Sun) 17:25:00 編集(投稿者)

    お久しぶりです。
    Iloveyouのってテロの話ですよね?
    心に響きました。

    (携帯)
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■15870 / ResNo.19)  エビさん♪♪
□投稿者/ ひとみ 一般♪(3回)-(2006/08/14(Mon) 02:53:57)
    エビさん発見!ニン♪♪


    またエビさんの文が読めて嬉しいです!!(*^^)
    電車でさりげなく藍さんを守る碧さん…ドキッ!!ですね♪


    夏なのに暑くなく、雨だらけですが体調を崩さないように気をつけてくださいね!!


    私は実家で久しぶりに羽をのばしすぎています(笑


    そういえば…一つ大人になる日がだんだん近づいてきますねΣ(´Д`;)


    今の年齢でいれる残り僅かな時間を大事に、いい思い出を作りましょうね!!



    ファイトー!( ゚ロ゚)乂(゚ロ゚ )イッパーツ!!




    では、おやすみなさい☆彡

    (携帯)
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