| とても静かな
朝の病院
ここはかつて
私が生活した場所
当時からの担当医と会うのは1ヶ月ぶりか
呼び出され
検査が始まる。
冷たいジェル
息を吸い
止める
その繰り返し
20分ほどで終わった。
『ん〜…変わりないね。』
「悪くはなってないんですか?」
『悪くなってないけど、臓器の荒れ方は変わってないね。』
「そうですか…」
『でも血液検査の結果は全然いいよ。全く問題ない。』
「本当ですか?!じゃぁピアスしても大丈夫ですか?」
『血小板の数値もいいし、大丈夫だよ。』
「じゃぁ…」
海は緊張したり
何か考え始めると肘を触る癖がある
この時も
左肘をさすりながら
担当医の目を見た
「前に恋人が入院した話したの覚えてますか?」
『うん。』
「私あれ以来キスすることが怖いんです。 今は違う人と付き合ってるんですけど… あの…
あの時の人はキスから移る病気だったじゃないですか。
本当に私の病気は移らないんですか?」
『ん〜…』
「…」
不安がよぎる
質問を変えた
「キスとか恋愛ですることでは移らないですか?」
『あー…移らないよ。前の人の病気は○ーウィルスでしょ?仮にあなたがウィルス陽性だったとしても、今はもう移る期間は過ぎてる。』
「そうですか。」
不安は拭えないけど
少し安心した
『ただ原因不明だから将来わかるウィルスかもしれないし、今は定期的に検査しないと。』
「…はい…。」
『だからちゃんと来てね(笑)』
「えへへ…はい。」
病院から出て
携帯の電源を押した
メールフォルダを開き
結果を彼女に伝えた
不安を全ては拭えなかったけど
もらえた答えを大切にしようと思った
(携帯)
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