| 『あ、これかわいーなぁ。』
あなたが何気なく呟いた一言。
煩いくらいの心臓を抑えて、 私はいつものように、冗談を言うのです。
『えー?これですか??』 『うん!可愛くない?』
『意外と乙女なんすねー、しょーこさんて。イチゴとか、絶対似合わな…』 『はぃ?なんか言った?』 『いいえー。』
『ふん。』
『買ってあげましょか?』
『え?』
『なんすか?』
『…、や、いいよ、悪いし。』
『ほぅ、しょーこさんでも“遠慮”とかするんですねぇ。』
『…帰れ。触るな。あっちいけ。』
『わ、わ、わ…』
『ちょっと怒んないで下さいよーー。ジョークじゃないすかぁ!』 『知らん。あたし先出てるから。』
『…』
こーゆー時、 この人は本当に、めんどくさいと思う。
『ハイ。』
『なに?』
『いーから。どうぞ。』
『だからなに。』
『怒らせちゃったお詫びです。』
――――お揃いのストラップ。
『…いいの?』
『もちろん。』
『…あ!でもシンちゃんとお揃いですけどねー♪』
『げ、』
『なんすかそのリアクション〜!シンちゃんの“愛”がたーっぷりつまってますから♪』 『はいはい。』 『ラブ×2ですねぇ、私たち♪』
『…はいはい。』
『いやん、しょーこさんてば照れちゃって♪』
『…返品可?』
『や、無理ですから(笑)』
あなたがケータイを触る度、揺れる真っ赤なイチゴ。
“お揃い”が、欲しかったのです。
あなたと私の心がそろわないなら
せめて、と。
私の“本音”が隠れるように、 たくさんの“冗談”で包みました。
(携帯)
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