| 駅前のカフェは クリスマスカラーで一杯だった
窓にはスノースプレーで形どられたツリーやリース 店内ではクリスマスソングがリピートしてる
亜紀子が、手に持つコーヒーカップに描かれたサンタを指差す
『エミ〜、明日はイブだね♪ちなみに予定は〜』
私の言葉を待つ 亜紀子 知ってるわよ〜と言いたそう微笑んでいる
『ううん・・・ないよ』
首を振る私に 亜紀子が意外そうな顔をした
『えっ〜 エミ〜行かないの?』
『行かないって?どこへ・・』
『シンジに聞いたんだけどね トオルくんのバンドが スタジオでパーティーも兼ねて演奏するって それでエミも誘ったって言ってたよ』
『うん 誘われたけど・・・』
『私も、シンジとスタジオ寄っていこうって言ってたの〜』
『ね〜ほんとに断ったの?』
『うん・・・』
・・・私は、ルナと過したいの
・・・でも
・・・先週 忙しいルナとひさしぶりに仕事帰りに会ったときのこと
『ねぇ クリスマス ルナんちで私、ごちそう作ろうかな〜♪』
『エミィー、来週のクリスマス・・・会えないかもしれない』
『えっどうして・・・?イブだけ25日のクリスマスも?』
『うん どっちもなの・・・。クライアント先のパーティーと取材仕事が両日入ってるの』
『そんな〜 寂しいよ ルナ・・・』
『ごめんね エミィ 私が抜けるわけにいかないのよ・・・』
ルナは、仕事がいつも優先だった それは仕方ないこと わかってる
私と違って仕事ができ才能もあるルナ 素敵だと思う 尊敬してる 頑張ってほしいって心から思う
でも時々・・・
ルナを仕事にとられちゃうんじゃと 不安で悲しくなるときもある
(・・・ルナ寂しい)
そんなことを思いながら 暫く・・・言葉もなく歩く私
そんな私の横顔を見つめるルナ
ビルの通りを並んで歩くルナが、不意にわたしの手を引き 人通りのない路地に入る
『エミィー もし早く帰れそうなら連絡するからね・・・』
泣きそうな顔をして頷く私を ルナは見つめながら 頬をやさしく包んでくちづけした
ルナの瞳に見つめられるとなにもいえない私
拗ねて我侭を言いたくても ルナの唇に塞がれると・・・そんな言葉も一緒にとけてしまう
人の足音に・・・慌てて私達は唇を離した
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