| ・・恥ずかしくて顔を覆ってた両手を利香ちゃんの手がそうっと左右に広げます。 涙目・・紅潮した頬・・・かくかくと震えてるあたしの体・・ ささやくように「まじ?キスで逝っちゃったの?・・」利香ちゃんの息も あがってて、やっぱり少し赤くなってる。 「・・・すげ・・・興奮する。ほんとかよ。・・」
「うぅ・・」 あたしもこんなのはじめて・・・といおうとしたそのとき・・・ 「電話だよ!早くでなよ!」・・お笑い芸人の声。ママからの着信音・・・ 息を整え受話器を耳に当てました。
「・・ママ?」
受話器の向こうはパーティ会場。ざわざわとにぎやかな音 ママじゃない声が遠くで「・・・だいじょうぶよぉ・・まだゆっくりしてなさいよ」 利香ちゃんのママのろれつの回らない声です。
「いえ、子供もいるし・・今日のところは・・・・・あ!知恵?・・ごめんね。 ママ酔ってるみたい。でてきてちょうだい。なかなか帰れそうにないの」 「わ・・わかった。」
ブラウスをきて髪を整え利香ちゃんが差し出す香水をからだにふりまく。 バーバリーのベビータッチ。「あんたのにおい・・」 やめて・・離れたくなくなる・・そんな風に耳元でささやかないでほしい・・・ こんな風に誘惑する相手はわたしだけじゃないんでしょ?・・・ パタパタとわざとあわただしくリビングへむかう。
ドアをあけるともう目が点・・大人の酔っ払いだらけ 部下が部長さんのネクタイ頭にまいて「こらぁ!ぶー!!!」 「すずきくぅん!!ごめんちゃあいい」
「君だけが君だけがたよりなんだよぉ・・利香は娘の利香は・・僕を嫌っちゃってるの」 初めに会った時とは一変、利香ちゃんのパパ、社長さんもへべれけで帰ろうとするパパに 取りすがり・・ネックレスの留め金が前後ろになったママが 必死で携帯でタクシー呼んでる脇で、利香ちゃんのママが「パトカーでも救急車でも よんでみやがれ!!わかってんのか!ごぉらぁ!!逃げるな!帰るな!」なんて叫んでる・・
挨拶どころではなく酔っ払いたちを振り切り三人でタクシーにのってほっとして・・ ・・(メアドも携帯の番号も・・聞けなかったな。) 制服にのこった香りくんくんしながら、考えるのは利香ちゃんのこと。 (聞いてもくれなかった) ・・・もちろん、次があるのかなんて・・・期待しないほうが幸せってこと? 今は何も考えられない・・・
|