ビアンエッセイ♪

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■20499 / ResNo.50)  外伝 10章6
  
□投稿者/ 昴 大御所(424回)-(2008/01/25(Fri) 00:19:19)
http://id34.fm-p.jp/44/subarunchi/

    それから
    ご主人様とのお話し
    私が最近思っていたこと
    そして長い間ずっと見て来たお嬢様と真実さんのこと
    そんなことを話して

    そして唐突に聞いた


    「私の後を継いでメイド長になりなさい」


    全体の話の流れで気付いたのだろう

    真実はそれほど驚いた顔をしなかった


    「もちろん貴女の人生は貴女のものだから
    決して強制はしないわ
    このまま会社に残れば多分貴女には重役クラスの椅子を用意されるでしょう
    お嬢様をサポートする為にネ

    そう言う意味では
    社長秘書にだってなれる


    貴女が望むポストに就くことが出来るわ

    だけど敢えて
    お嬢様の為にメイド長になって欲しいのよ」


    「とても重大なことだから
    返事はすぐにとは言わないわ

    一週間

    うーん

    そうね 今月の末までに返事をくれるかしら?

    貴女がメイド長を選んでくれたら

    会社の仕事の引き継ぎをしてもらって

    そのあとはここに住み込みよ


    一年掛けて四季折々の様々な行事のことを

    私の持っている全ての知識を貴女に教えてあげる」



    『少し考えさせて頂いていいですか?』


    その場でしばらく考え込んでいた




引用返信/返信 削除キー/
■20545 / ResNo.51)  外伝 10章7
□投稿者/ 昴 大御所(427回)-(2008/02/04(Mon) 02:20:00)
http://id34.fm-p.jp/44/subarunchi/


    真実が考え込んでいるその沈黙は
    何時間にも感じられ

    でも時計の長針の移動は僅か30度

    5分程の時間で真実は答えを出した


    『わかりました
    そのお話をお受けします』


    「そんなに早く答えを出さなくても

    もっと考えてくれていいのよ」

    反ってこちらが慌てる程に
    その決断は早く


    『ご主人様も全てご承知のことですよね?
    ならば大丈夫です
    あの方の御判断に間違いはありませんから』

    潔い印象を受けた



    詳しい事情も発表されないまま
    真実が引き継ぐ相手の移動があり

    それから1ヶ月


    約束通りに引き継ぎを終え
    真実が屋敷にやって来た


    『真実です
    これから宜しくお願いします』

    引越しセンターのトラックに大きなベッドを載せて
    真実がお屋敷にやって来た


    平日のお昼前
    ご主人様もお嬢様も会社にいらっしゃる


    「随分大きな荷物ね」

    搬入を見届ける私も思わず言ってしまった


    『はい。思い出が多くて
    これだけは手放せなかったんですよ』



    そんなやり取りを傍らから
    奥様はニコリとただ微笑んで御覧になっていた




引用返信/返信 削除キー/
■20665 / ResNo.52)  番外編 マキの旅立ち@
□投稿者/ 昴 大御所(428回)-(2008/03/01(Sat) 16:12:52)
http://id34.fm-p.jp/44/subarunchi/


    やっと卒業出来るわ
    母さん




    仕事の引き継ぎを終え
    明日はこの屋敷を出て行くと言う前の晩


    最後の暇乞いにご主人様の部屋ではなく
    薫様の隠居部屋を訪ねる


    コンコン

    「薫様 マキです
    最後のご挨拶に伺いました」


    どうぞの声に中に入る

    「長い間ありがとうございました

    明日の朝故郷(くに)に帰ります」

    お辞儀した頭を上げると目の前にはご主人様がいらして

    『ホントに長い間ありがとうマキ』
    ご主人様に抱き締められた





    薫様と私は幼馴染みなんて言葉で足りない位に生まれた頃から一緒だった


    薫様は先代がお産みになられた実のお子様


    先代のおなかに薫様を宿していらした頃
    薫様のお父様は何か大きな事故に巻き込まれたらしい

    詳しいことは聞いていない



    お父様が創られた小さな会社を引き継ぐことになった先代に
    私の母は拾われた

    産まれたばかりの私を連れて困っていた母の目の前に
    『乳母募集
    〇月中頃出産予定
    委細面談…………』の張り紙


    思い切って飛び込んだ母を先代は快く受け入れて下さって

    先代を父親のように
    母を母親のようにして

    薫様と私は母の乳房の左右を分け合い育った




引用返信/返信 削除キー/
■20746 / ResNo.53)  番外編 マキの旅立ちA
□投稿者/ 昴 大御所(429回)-(2008/03/22(Sat) 20:01:28)
http://id34.fm-p.jp/44/subarunchi/

    薫様と私はずっと一緒だった
    二人で一つだった

    薫様が光りなら私は影
    薫様が太陽で私は月

    まるで正反対だけど
    だからこそお互いを補い合って一緒にいた


    年頃になって
    薫様に告白されて
    私達はごく自然に一つになった

    本当に一つになった時嬉しくて涙が出た
    その涙を『痛かった?』って気遣って下さる薫様の優しさが余計に嬉しかった



    私達の手が離れたあとも
    母はお屋敷の切り盛りをして
    いつの間にか手伝ってくれる人も増えて
    その采配も任された母は私の先輩のメイド長と言うことになる



    学校を出て
    しばらくは薫様と一緒に働いた

    でも私はこのお屋敷で
    薫様を支えることが好きだったので
    先代にお願いして
    薫様付きのメイドにして頂いた


    お屋敷で薫様のお世話をして
    薫様をお仕事に送り出して
    薫様のお帰りを待つ

    薫様のお嫁さんになったみたいで幸せだった

    その時間が永遠に続けばいいのにと願ったけど

    先代が現役を退かれた時に母も引退して


    同時に薫様が社長に就かれた

    『メイド長になって
    私とこの屋敷のことを支えて』

    薫様に請われてメイド長の職に就いた




引用返信/返信 削除キー/
■20795 / ResNo.54)  番外編 マキの旅立ちB
□投稿者/ 昴 大御所(431回)-(2008/04/16(Wed) 00:01:12)
http://id34.fm-p.jp/44/subarunchi/

    全てのことに薫様の幸せが優先する

    これがメイド長としての私の基本理念だった

    そう 全てのことに




    だから花純様とのことを取り持ったのだ


    花純様と愛を育む薫様を見守っていた


    やがて愛純様が生まれて
    愛純様の成長を見守る

    愛純様が真実さんを連れて来た時には
    事の経緯(いきさつ)を薫様から聞かされていた

    私だけでなく
    もちろん花純様も


    愛純様と真実さん
    お二人のご様子を拝見して
    そして確信した

    確かに薫様の目に間違いはないと




    「薫様 マキです
    最後のご挨拶に伺いました」


    「長い間ありがとうございました

    明日の朝故郷(くに)に帰ります」



    『ホントに長い間ありがとうマキ』


    「薫様
    今生の別れではありませんので
    そんなに感傷的にならないで下さいね

    何かあれば
    薫様からお声が掛かれば
    いつでもすぐに駆け付けますので」


    そう言っていたのに

    その次にお屋敷に伺ったのは

    薫様の訃報を聞いた時だった



    薫様

    やっぱり貴女はいつも私の前を歩いていらっしゃるんですね




引用返信/返信 削除キー/
■20814 / ResNo.55)  外伝 11章1
□投稿者/ 昴 大御所(432回)-(2008/05/05(Mon) 03:38:31)
http://id34.fm-p.jp/44/subarunchi/

    前任のメイド長であるマキさんの指導を受けて1年


    四季折々の
    様々な行事のこと等の引き継ぎを終えて

    清々しいほどあざやかにマキさんはこのお屋敷を去って行った

    【引き際の美しさ】と言う
    いずれ私にも訪れる課題を
    最後の最後に与えられた気がした



    研修期間が終わろうとしていた或る日
    病床の父のもとへ呼ばれた

    父に逢うのはご主人様にお世話になって以来初めてだった

    『久しぶりだな。元気にしていたのか?』

    「ご無沙汰してます
    そっちこそどうなの?」

    現代の医学では治せない病気で余命は僅かだと言う話だった


    『お前に話さなければいけないことがあるのに
    お前に会わせる顔がなくてな』



    『ずっとお前に申し訳なくてな』

    病気のせいだろうか?
    十数年振りに会う父は随分と気弱に涙もろくなっていた


    「私の方こそごめんなさい
    ああやって飛び出した手前かな?
    なんか敷居が高くてね」

    あの頃にはこの人達を怒り恨みもしたけれど
    今はもうそんな感情もない



    「それより何なの?話しって」


    この人の心残りを聞いてあげることが
    きっと最初で最後の親孝行になるんだろう


    『それなんだがな
    あのお方はお前を使って儂(わし)に復讐をしていらしたかもしれないんだ』




引用返信/返信 削除キー/
■20942 / ResNo.56)  外伝 11章2
□投稿者/ 昴 大御所(437回)-(2008/06/23(Mon) 01:54:18)
http://id34.fm-p.jp/44/subarunchi/

    『あれはまだ儂の会社の景気が良かった頃なんだが

    まだ母さんにも出会ってない頃だ


    あのお方の若い頃はそれは綺麗でな

    儂も若気の至りだったんだろう


    あのお方と一夜限りでもと策を労したんだ

    商談を装ってな


    お前が心配するようなことは何もない

    あのお方に勘づかれて逃げられてしまったからな


    それからもあのお方の会社と取引は続いたんだが
    取引の度に儂を蔑むような目で見られて
    強気な数字を提示されたよ


    吸収合併の話の時にお前をと望まれて

    儂にはもうそれに抗う力などなかった



    儂のただの邪推だといいんだかな



    お前の人生を台無しにしてしまったな


    すまない
    許してくれとは言えんが』


    話を聞いても私は確信していた

    本人の言う通りにただの邪推だと


    それに私は私の人生を台無しにされたなんて思っていない


    「大丈夫よ心配ないわ

    私 この生き方に後悔なんかしてないから


    愛純様に出逢って
    愛純様を支えて生きて行けることを幸せだと思ってるから


    父さんありがとう

    私に生を与えてくれて

    私に愛純様と出逢わせてくれて

    嫌味で言ってるんじゃないのよ

    本当に心からそう思っているの

    愛純様を愛しているのよ私」




引用返信/返信 削除キー/
■21010 / ResNo.57)  NO TITLE
□投稿者/ ◆ 一般♪(1回)-(2008/07/19(Sat) 09:15:38)
    投稿数トップを死守する為に、ずいぶん前からチョロチョロ出没してる状態なのですよね?

    ストレスになってるのなら潔くしてスッキリした方がラクになりますよ。



    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■21013 / ResNo.58)  NO TITLE
□投稿者/ ゆう 一般♪(1回)-(2008/07/22(Tue) 04:40:25)
    『継続』であると言われるのならば、消滅を意識した月に一度の発言は必要ないように感じました。
    (しかも自分のエッセイ更新でないのなら尚更)

    言い訳や屁理屈を言うとご自分の価値を下げますよ。

    甘酒で酔う?
    妄想より?
    …意図がわからないのは私だけ?

    一番最初のお話を載せてみえた頃の昴さんは素敵でした。
    いつからか、変わられてしまったように思い残念です…


    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■21058 / ResNo.59)  外伝 11章3
□投稿者/ 昴 大御所(439回)-(2008/08/10(Sun) 14:15:17)
http://id34.fm-p.jp/44/subarunchi/

    父に会いに行って数日後
    父はこの世を去った

    長年の重荷を下ろした後のような穏やかな最期だったと聞いている

    十数年離れていたせいか感慨はあまりなかった


    私にはしなければならないことがある
    後ろなんて振り向いてはいられない



    日々の生活の中で
    全てのことに愛純様を最優先にして

    ただ愛純様を最優先にして



    そして十余年経った


    その日
    私は病床のご隠居様(薫様)のもとに呼ばれた


    『ごめんなさいネ真実
    こんなところに呼び付けて

    どうしても貴女に話しておきたいことがあったの』


    なんでしょうか?と近付いたご隠居様は出逢った頃よりも
    一回りも二回りも小さく感じた


    『今更なんだけどね
    貴女、今の生き方に後悔はない?』


    本当に今更だと心の中で思ったけど

    真っ直ぐに真摯な瞳で微笑む

    「もちろん
    何の後悔もありません

    ただ一つ気掛りがございますので
    宜しければお聞かせ頂くと嬉しいのですが」

    ご隠居様は眼差しで頷かれた

    「以前
    まだ私の父が母と出逢っていない頃
    ご隠居様に父が邪な事を企てたことがあって
    そのことがご隠居様が私をお選びになられたことの一因ではないかと
    亡くなった父が最後に申しておりましたので」

    あの時は父の話をただの邪推だと一蹴したけれど
    聞いてしまえば気にならなかったと言えば嘘になる




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