ビアンエッセイ♪

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■17902 / 親記事)  君が教えてくれるもの
  
□投稿者/ 槇 一般♪(1回)-(2007/02/13(Tue) 02:31:28)
    久しぶりに書いてみました。
    皆さんよろしくお願いします
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■17903 / ResNo.1)  君が教えてくれるもの 1
□投稿者/ 槇 一般♪(2回)-(2007/02/13(Tue) 02:32:46)
    講義に出る気がしなくて、部室に逃げ込んだ。
    別に、一回くらいサボったってどうって事ない。普段は、今時珍しい真面目学生で通ってるけど、たまにはサボりたくなることだってある。
    部室に入って、すぐ近くにあるベンチに寝転がった。

    「はあ〜」
    自然にため息が出た。

    「さつき!」

    目を閉じた瞬間、名前を呼ばれて飛び起きた。見ると、最愛の彼女が扉の前に立っていた。

    「彩…。あ〜…びっくりした。」
    「ひどいよ〜。サボるんなら、誘ってくれたらいいのに〜」

    彩はニコニコ笑いながら、また寝転んだ私の頭のすぐ側に腰掛けた。
    彩は素直で可愛い。明るくて、男女関係なく友達が多い。みんなに好かれている。私も大好きだ。こんなに、大好きになれる人に出会えることは、この先ないんじゃないかと思っている。
    彩は、私の髪をずっとなでてくれている。すごく安心する。
    このままずっといられたら…

    「別れようか…」

    私は、そう言った。


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■17904 / ResNo.2)  君が教えてくれるもの 2
□投稿者/ 槇 一般♪(3回)-(2007/02/13(Tue) 02:35:39)
    「え?」
    笑顔のままで聞き返された。聞こえてはいるけど、理解が出来なかった、そんな感じだ。

    「別れよう」
    私は起き上がって、彩に背中を向けたまま言った。

    「うそ?!なんで?!訳わかんない!!なんで?!!」

    無理やり振り向かされる。

    「なんで?!ねえ!!!」

    ちゃんと…目をみて…言わないと…

    「あいつのとこ、いきなよ」

    彩の瞳が、一瞬、揺れた。
    見たくなかった…。

    「あいつはいいやつだよ。私よりも彩のこと大事にしてくれるよ。」
    「…何…言ってるの…?」

    私は、彩の手をとって、手に話し掛けるように続けた。

    「自分の好きな人が誰を好きか位、ちゃんと分かるよ。もっと言うなら、自分の親友が誰を見てるのかってのも、分かっちゃうんだよね…」

    彼女は俯いていた。

    「ね?そんなのさ、私が入る余地ないじゃん。だから、別れよ?…自由にしてあげるから、あいつのとこいきな?ね?」
    「さつき…私!」

    何も言わせまいと、強引に彼女の腕をとって立ち上がらせた。

    「はやくいきなよ!」

    外に出そうとする。

    早く!早く出て行って!私の前から消えてくれ!

    「待って!こんな終わり方やだよ!ちゃんと話…」
    「なにを?!何を話すの?!」

    早く出て行って!
    離したくなくなるだろ!!


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■17905 / ResNo.3)   君が教えてくれるもの 3
□投稿者/ 槇 一般♪(4回)-(2007/02/13(Tue) 02:37:35)
    彼女の目から涙が零れ落ちた…。
    こんな…こんな風にしたくなかったのに…。なんでもっとちゃんとできないんだろう…。何でもっと優しく出来ないんだろう…。泣かしたくなかったのに…。

    「彩…」

    思わず彼女を抱きしめた。

    「私…さつきの事…大好きだよ…」

    「うんうん」と頷く。しばらく抱きしめてから、身体を離した。彼女の頬を両手で挟んで、顔を自分に向けさせる。

    「私は大丈夫だから…。ほんとに私は大丈夫だから…嘘はいやだよ?」
    目に涙をいっぱいためて、彼女は頷いた

    「あいつのこと、好きでしょ?」
    「…う…」
    目をそらす。

    「彩…私を見て。好きでしょ?」

    「好き…」
    彩はそう言うとボロボロと泣き出した。

    「それでいいんだよ…それでいい…」

    「ごめんなさい」ばかりを繰り返す彼女を抱きしめて、わたしもそればかりを繰り返していた。



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■17906 / ResNo.4)  君が教えてくれるもの 4
□投稿者/ 槇 一般♪(5回)-(2007/02/13(Tue) 02:39:05)
    謝る彩を笑顔で送り出して、私は扉の前で放心状態だった。

    「あんた…何気にいいやつなんだね〜」

    ぎょっとして、振り向くと、ロッカーの陰から見慣れた顔がひょっこり出てきた。

    「や…山本さん…?いつからいたんですか?」
    「え?昨日から」

    ロッカーの奥には広いスペースがあって、その一角にどこから持ってきたのか畳が敷いてあって、これまたどこから持ってきたのかコタツがセッティングしてある。
    この、いくつ上だか分からない先輩はこのコタツでくつろいで、そのままここに泊り込んでしまうことがよくあった。今日もそうだったんだろう。ロッカーの陰になってたから、全く気づかなかった。

    「こ…声かけてくださいよ…。びっくりするじゃないですか…」
    「かけようと思ったけど、彩ちゃん来ちゃうし、なにやら重い話になってきたからタイミング逃しちゃって〜」
    ははは〜と笑っている。脱力してそれ以上話す気にもなれない…

    「そうっすか…じゃあ、失礼します…」
    「あれ!帰るの?講義は?」

    ああ〜もう…、この人はいつもこんなだ。空気が読めないというか、なんと言うか…

    「あの…さっきの…聞いてましたよね?今、私は彼女と別れて講義とか出る気になれないんですよ」
    「まあ、親友に彼女とられちゃねえ〜。そりゃ、そうよねえ」
    「う…。だから、今日はもう帰りますよ。」
    「ああ、帰って、独りで泣き濡れたい訳ね。ブロークンハートなのね」
    「ブロークンハートなんです。帰って、泣き濡れたいんです。」

    もう…なんとでもしてくれ…

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■17907 / ResNo.5)  君が教えてくれるもの 5
□投稿者/ 槇 一般♪(6回)-(2007/02/13(Tue) 02:41:29)
    「分かった…。さあ!どんとこい!」
    山本さんは私に向かって大きく両手を広げた。
    「は?」
    「私の胸貸してあげるから!この豊満な胸を!私の胸でお泣き!」
    「さあ!」と、さらに山本さんは両手を広げた。

    …。
    ……。

    「あ…、結構です」
    私はそそくさと部屋を出ようとしたが…

    「遠慮すんな〜!ばっちこ〜い!」
    と、後ろから頭をつかまれて、思いっきり胸に顔を押し付けられた。
    「む〜!」
    「泣け〜!おらぁ〜!」
    「む〜!(くるしい〜)」
    「泣け〜!!」
    「む〜!(死ぬ〜)」

    「死ぬわ!まじで!」
    やっとのことで腕から抜け出した。

    「あ、苦しかった?ごめんごめん。」
    そして…、また両手を広げた

    「さあ!カモン!」
    「もう、ええわ!」

    この人といるといつも調子が狂う。せやから、嫌やねん。なんか知らんけど、この人の前だけは関西弁に戻ってしまうし!

    「あ、また関西弁に戻ったね。いっつも、な〜んかかっこつけちゃってさ。そういうとこ嫌いだわ」
    「うっさいわ!」

    帰ろうとして、ちらっと山本さんを見てみると、まだ両手を広げていた。なにやらキラキラと満面の笑みを浮かべて…

    「ぶっ!」
    なんか知らんけど、ツボに入ってしまった。顔とかその行動とか色々、面白くて…

    「あはははは!」

    一回ツボに入ると、もう止まらなくなった。そんな私を見てキョトンとした顔を見て、さらに笑いが止まらなくなった。

    「あははははは!やばい!止まらん!あはははっ!!」
    「なによ?!ちょっと!」
    涙まで出てきた

    「あはは…やべ〜涙出てきた〜…止まらん〜」
    山本さんはじっと見ている。

    「はは…涙止まんない…止まんないよ…」

    ボロボロと泣けてきた。堰を切ったように…
    人前で泣きたくなんかなかったのに…

    「馬鹿だねえ〜私なんかの前で強がんなくていいのに。素直じゃないんだから。そういうとこ嫌いだわ」
    私の頭を抱え込んで、胸に押し付ける。

    「ばかだねえ〜かっこつけちゃって」
    「うっさいわ〜あほ〜」
    「そんな風に彼女の前で泣いたり怒ったりしてたら、親友にとられたりしなかったんだよ。ほんと、馬鹿。」
    「バカバカ言うな、あほ〜」
    「変にかっこつけたりしなきゃ、あんただって最高にいいやつなんだからね」
    「…う…」

    山本さんの胸におでこを押し付けて、子供みたいに泣いた。山本さんの服は涙と鼻水でグチャグチャになったけど、彼女はいつまでもそのままでいてくれた。
    人前でこんなに泣いたのは初めてだった。


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■17908 / ResNo.6)  君が教えてくれるもの 6
□投稿者/ 槇 一般♪(7回)-(2007/02/13(Tue) 02:43:48)

    「どうも、すいませんでした。なんか…服ぐちゃぐちゃにしちゃって…」
    そう言って身体を離した。落ち着いたら、少し気恥ずかしくなってまともに顔が見れない。
    「あ〜ほんとだ…鼻水でカピカピ…」

    く〜…
    でも実際そうだから何も言えない…

    「すいませんでした!じゃあ、失礼します」
    そそくさと退散する。

    「あ!ねえ!私と付き合わない?」

    …。
    ……。
    ………はあ?

    「お断りします。」

    「即答?!!」

    「当たり前でしょ?今日別れたばっかなんすよ!?」
    「いいじゃない。失恋の痛みは新しい恋で癒すしかないでしょ?」
    「そうやとしても、なんで山本さんと恋愛するんですか?大体、山本さん、私のこと嫌いや言うてたじゃないっすか!」
    「まあ、人の気持ちなんて変わるもんだから。ね!付き合お!」
    「嫌です!」
    「私何気に巨乳だよ?Fカップだし」
    「私、胸より尻派なんです!」
    「あ、そうなんだ。そういえば彩ちゃん胸なかったもんね〜」
    「うっさいわ!んな事言うな〜!」
    「ね!だから!付き合お!」

    いやいやいや!意味わからんわ!人の話、全然聞いてないし!
    まあ、でも…さっき、癒されていたのは確かで…この人といると変に気負わなくていいし…何より、楽だし…

    でも、それって恋愛か?

    「ね!だから!付き合お!」

    あ、まだ言うてた…
    つくづく、おもろい人やな〜と、思う…

    「ん〜…じゃあ〜…まあ〜…前向きに検討してみますわ…」
    「よし!じゃあ!とりあえず、デートしよう!」
    「いやいやいや!まだ付き合うとは…!」

    無理やり腕をつかまれ、引きずられる。

    え〜?強引〜…

    …まあ、いいや…
    彼女に振り回されるのも、面白いかもしれない…

    かっこつけない生き方ってのを、やってみようか…
    この人なら、それを教えてくれそうだ…

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■17909 / ResNo.7)  あとがき
□投稿者/ 槇 一般♪(8回)-(2007/02/13(Tue) 02:47:25)
    久しぶりだったんで、なんか、短くまとまっちゃいました。
    やっぱり、モノを書くって難しいですね。
    個人的には山本さん好きです。
    山本さん目線でいつか何か書けたらいいなと思ってます。
完結!
引用返信/返信 削除キー/
■17910 / ResNo.8)   君が教えてくれるもの 6の 槇さんへ
□投稿者/ ゆらら ちょと常連(80回)-(2007/02/13(Tue) 13:33:56)
    山本さんのキャラ魅力的ですね〜なんか可愛いです☆
    優しいのにとぼけてて面白い人で☆

    お話も読みやすくて言葉の表現も読み手の感情をつかみやすい感じに
    描かれてて面白くて、この二人はどうなるのかな?と続きを読もうとしたら
    もう完結してたので驚きました(笑)

    またこのお二人の会話のやり取りとか読んでみたいですね♪
    (ゆーもあーとか好きなので☆)

    気が向いたらふらっとまた書きに来て下さいねっ☆
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■17935 / ResNo.9)  NO TITLE
□投稿者/ 七生 一般♪(1回)-(2007/02/16(Fri) 22:33:46)
    執筆お疲れさまでしたm(__)m

    実は、前回と前々回の作品も読ませて頂いてます!
    また槇さんの作品が読めて嬉しいです。

    今回は楽しい話(失恋の話ですが)に終わっていて続きがあるなら是非読みたい気になりました(笑)


    これからの作品も楽しみにまっています!


    (携帯)
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