| わあああぁぁっ
校庭から生徒たちの歓声が聞こえる
体育の授業。 種目はハンドボール
白熱する試合
きっと彼女らは、屋上にいる私達の存在に気付いていないのだろう
「………」
屋上の二人。 しばしの沈黙
びゅうっ、と吹き抜ける風
「……相田を…どうしたい、とかは無いよ…」
私の口から、ようやく言葉が紡がれた
ドッ ドッ ドッ
心臓の鼓動が徐々に強くなっていく
「それは嘘だね」
まるで私を見透かしたような目で、南が言い切った
「……嘘じゃない」
「虚勢だよ、かっさん」
すっかり短くなった煙草を、持っていた空き缶の中に詰める
「我慢してるようにしか見えないよ」
“我慢”
その言葉に心臓が強く脈打った。 思い出したのは、先程の相田の姿
私を置いて他の誰かと共に行く、あの背中
「……」
何も言い返せなかった
強がっても無駄だろう。 南には全て見抜かれている
「……どうすればいい?」
ふと口を突いて言葉が出た
私の中の淫らな妄想と、薄汚い感情
そうした爆弾を抱えながら相田と接していれば、いつか爆発するのではと不安になることがある
そして、そのたびに思うのだ
“なら、どうすればいい?”
私は、今もその答えを出せずにいる
(携帯)
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