| 【はるうらら】
言葉の意味は知らんけど、なぜか好きだな。
─はるうらら。
「またボーッしてる。」
灰を溢しそうになって、 急いで缶からに落とした。
「まな、最近変だよ?」 「なにがよ?」
ベットに転がりつつ、 横目で彼女の口元をみた。
「好きだったな〜、ボール追ってるまな。」 「いつの話してんだか。」
日差しが眩しいからカーテンを引いて、 彼女に背を向けた。
「社会人だし、そんな時間ないもん。」 「まな…─?」
いつもの彼女なら肘でもさすってくるんだけど、 春からそんなことはしなくなった。
「ねえ、姉さん指導者を目指せとか近い職につけなんてベタ言わないでよ。」
こんなの強がりなんかじゃない… ただの泣き言だ。
「まな…いつから。」
衝動的に込み上げる気持に蓋をした。
「姉さん帰ってくるよ、お兄ちゃん。」
春から私は就職をして、 姉さんは春からうちのお嫁さんになって
来年の春まで姉さんはここにいて
新居が建てば出ていって
春は私からいつも何かを奪う。
(携帯)
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