ビアンエッセイ♪

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■19621 / ResNo.70)  - 45 -
  
□投稿者/ Y ちょと常連(57回)-(2007/08/06(Mon) 02:43:41)
    なんだかとても気持ち良くて




    起きれそうだけど起きたくない




    そんな気持ち




    目を開けてみると




    私は暖かい胸の中にいた




    上を見ると


    『ごめん…起こしちゃった?』


    と微笑んでいるまなみがいた。


    『いつから起きてたんですか?』


    と聞くと


    『私もついさっき。』


    そう言って私の髪に指を通す




    初めてまなみの涙を見た日




    髪を結ってくれた時と同じ…
    いや、それ以上の心地良さが私を包んで




    思わずまた目を閉じたくなる。


    『起きて、颯の寝顔を見てたら愛しくなっちゃって。』


    「こんなに安心してゆっくり眠れたのは、すごい久しぶりです。」


    『私もだよ。』


    目の前にある鎖骨が綺麗。




    触れてみたくなって




    その綺麗な鎖骨にキスをしてみた。


    『くすぐったいよ。

    でも、気持ちいい。』


    「おはようございます。」


    起き上がって、今度は口に目覚めのキス。




    もしも
    【愛】や【幸せ】というものに形があるとするならば




    私にとって、それはまなみだ。




    まなみが生きていて




    まなみが笑っていて




    まなみに触れられる




    それが、私が見つけた触れる事のできる【愛】であって【幸せ】だと思う。




    初めて食べる
    まなみの手料理




    沢山具が入ったポトフと、サラダに、クロワッサン




    とても美味しくて、優しい味がした。




    何度美味しいと言っても


    『本当に美味しい?』


    と不安そうに聞いてくるから


    『今すぐ嫁に来てほしい位です。』


    と言うと


    いつもの子供みたいな笑顔が戻った。




    外は快晴




    正しく五月晴れってやつだ




    食後に、コーヒーを入れていると




    まなみは頓服の薬を飲んで


    『発作が起きない為の薬なの。』


    と、寂しそうに笑った。


    『先輩、今日は晴れてますよ。
    このコーヒー飲んだら、あの観覧車、乗りに行きませんか?』


    そう提案すると
    ビックリしたように私を見て




    そうやね、と晴々しく笑った。




    観覧車は、ショッピングモールと一体化した中にあって




    少しプラプラとウィンドウショッピングをしながら見つけた、可愛いビーズ飾りのストラップを白とピンクのお揃いで買った。






    (携帯)
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■19624 / ResNo.71)  NO TITLE
□投稿者/ れん 一般♪(4回)-(2007/08/06(Mon) 03:12:48)
    久しぶりに泣きそうになりました!!


    毎回、楽しんで読ませて頂いているんですが、Yさん朝から夜遅くまで更新して体調は大丈夫なんですか?

    一ファンとしては、早く次回作が読めるのは嬉しのですが、どうか自分のペースで気をはらず、体には気をつけて下さい。
    では、応援してますねで。

    (携帯)
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■19626 / ResNo.72)  - 46 -
□投稿者/ Y ちょと常連(58回)-(2007/08/06(Mon) 03:19:31)
    観覧車に乗ると




    向かいに座ったまなみは、さっきのストラップを出して


    『颯、携帯貸して?』


    と、渡した私の携帯に白を




    自分の携帯にはピンクをつけて、両方を自分の顔の前に並べてニコニコしていた。




    その時、持っていたまなみの携帯が鳴る




    かけてきた相手を確認し、ちょっとごめんね、と言って電話に出た。


    『なん?

    ……うん…うん…そっか、良かったやん!

    …え?全然大丈夫。
    私もちゃんとホンモノ見つけたけん!

    …亜也、今までありがとね。

    じゃあまた学校で、ばいばい。』


    そろそろ頂上、という手前で電話が終わり


    『颯の前なのに、ごめんね?

    でもね、これで本当に終わり!
    この観覧車が一周したら、リセットやけん。

    私と一緒に歩いてくれる?』


    少しの複雑な想いと
    大きな安心感。




    きっと、このタイミングで亜也先輩からかかってきた電話も




    敢えて私の前で話してふんぎりをつけたまなみも




    全て必然で、意味があるのだろう。


    「誰とも、歩かせません。」


    そう言って
    まなみの隣に移り、携帯を取ってカメラを起動させ


    『私達の始まりの記念です。』


    と、2人寄り添って
    初めての写真を撮った。




    その画像を私にも送れと言うので
    まなみの携帯にも送った。




    まなみはそれを待受画面に設定すると、ずっと眺めながら


    『颯、顔ちっちゃい!
    私…顔でかすぎやけん。。。』


    と拗ねている




    実際まなみの顔は小さいので


    『写り方ですよ。』


    と言うと


    『そうやかぁ〜…。』


    と首をかしげる。


    こんなやりとり一つでさえ、2人の心は躍っていた。




    観覧車を降りて、すぐそばにあるクレープ屋さんを見たまなみが


    『颯!クレープ食べよ♪』


    と、グイグイ私の手を引っ張って行く。




    甘い物が嫌いなわけではないんやけど、クレープとかパフェとか、甘ったるすぎる物が得意ではない私は、レモンのジェラートを食べた。




    まなみが食べているいかにも甘そうなクレープ




    普段なら見てるだけでも胃もたれしそうになるんやけど




    持つ人が変わるだけでこんなに違うものか、と思うほど




    今日はクレープを美味しそうに頬張る姿を見ても、全然どうもなかった。






    (携帯)
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■19628 / ResNo.73)  れんサン♪
□投稿者/ Y ちょと常連(59回)-(2007/08/06(Mon) 03:38:58)
    心配かけちゃってごめんなさい(・_*)

    実は私、この小説を書き始めた日から入院中の身なもので、暇で時間を持て余しているのです!(笑)

    寝る→起きる→書く→食べる、の繰り返しで、朝なのか夜なのかも良く分かっていないのですが、無理はしていないのでどうか安心して下さい♪♪(笑)

    それに皆さんに応援の言葉をもらうと、小説も治療も頑張ろうって思えるので、本当に感謝です(*^_^*)☆

    れんさんも、本当にいつもありがとうございます!

    これからもちょくちょく覗いてやって下さい♪♪

    (携帯)
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■19632 / ResNo.74)  - 47 -
□投稿者/ Y ちょと常連(60回)-(2007/08/06(Mon) 04:41:49)
    抜ける様な青空には
    燦々と太陽が輝いている土曜の昼下がり




    海に面して置いてあったベンチに腰掛けて




    太陽が気持ちいいね、と微笑むまなみ。




    確かに今日の天気には
    まなみが着ている白いワンピースと眩しい笑顔が良く映える。


    『あ、そうだ!

    亜也と結希、上手くいったっぽいよ?』


    人の事は言えへんけど、亜也先輩も展開が早い。(笑)


    でも、お互いそういう運命やったんやろう。


    『そうですか。』


    これでその話題は終わって、まなみは明後日からの球技大会の話を持ち掛けてくる


    『颯は、球技大会もちろんバスケで出るっちゃろう?』


    「はい、そうですね。」


    『そっかぁ〜、結希もバスケって言いよったよ。
    まぁ学年が違うけん試合はあたらんやろうけど、初めて結希見れるんやない?』


    「そうなんですか。
    先輩は球技大会の日はどうしてはるんですか?」


    『私は、毎年先生のお手伝いしよるよ。
    でも颯の試合の時は見に行くけん!』


    「できるだけ頑張ります。」


    『それにしても、キクちゃんに会うの…
    ちょっと気まずいな。』


    「キクちゃんって菊池先生ですか?」


    『そうだよ?
    颯も知っとる?キクちゃん。』


    「知ってるも何も、うちの担任ですからね。」


    『え!?そうやったん!!』


    「そうですよ。
    …で、なんで気まずいんですか?」


    『結希の事があるけん…。』


    「ゆう先輩の事…?」


    『これ、私と亜也しか知らんけんトップシークレットなんやけどね。。

    結希が付き合いよったのって…実はキクちゃんなんよね。』


    「へぇ…そうなんですね。」


    『やっぱり颯は驚かんっちゃね。(笑)』


    「それなりには驚いてるつもりなんですけどね。」


    『どこらへんがよ(笑)』


    キクちゃん……
    真面目そうな顔して
    なかなかやる事やってんねんな。


    『まっ、なるようにしかならんよね!
    颯っ、次どこ行く??』


    と、いきなりクレープを食べ終わったまなみが立ち上がって私の手を引く。


    『ハワイ。』


    と冗談で言うと


    『私もばり行きたい!
    てか、飛行機乗った事ないとよね。。
    颯、行こうよ!夏休み!!』


    と、何とも切実な意見が返ってきた。


    『先輩の心臓と相談してみます。』


    そう言って頭をクシャっと撫でると


    もう行けると決まったかのように喜んでいた。

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■19635 / ResNo.75)  NO TITLE
□投稿者/ れん 一般♪(5回)-(2007/08/06(Mon) 05:12:16)
    2007/08/06(Mon) 05:20:22 編集(投稿者)
    2007/08/06(Mon) 05:18:17 編集(投稿者)

    そうなんですか…何か無理矢理言わせてすみません。
    でも、明日テストっていうのに続きが気になって、1時間間隔で更新されているかチェックしています♪
    それぐらい、惹かれる作品です。
    勉強しろよって話ですけど(笑)
    作品もYさん自身も応援してますので。



    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■19639 / ResNo.76)  れんサン♪
□投稿者/ Y ちょと常連(61回)-(2007/08/06(Mon) 06:09:26)
    テストですか〜…懐かしい響きです(笑)

    いえいえ、気になさらないで下さい(*^_^*)
    大した事ではないので♪

    そんなに頻繁にチェックして頂けていて、尚且惹かれる作品と言ってもらえてかなりテンションが上がってます(笑)

    れんサンもお勉強無理せずに頑張って下さい!

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■19640 / ResNo.77)  - 48 -
□投稿者/ Y ちょと常連(62回)-(2007/08/06(Mon) 06:29:19)
    『ちょっと遠出しよっか。
    私、颯を連れて行きたい所があるっちゃん。』


    そう言って車を発車させるまなみ




    どこに行くかは、聞かなかった。




    車を走らせながら
    まなみが幼少時代の話を始めた


    『私ね、5歳の時から高校で手術するまで、バレエしよったっちゃん、踊るバレエね。

    踊るのが本当に大好きで、ずっと将来はバレリーナになるのが夢やったと。

    やけんね、病気になって何が一番辛かったかって、バレエ辞めないかんかった事なんよね。

    高校に入ったらパリにバレエ留学するのも決まっとってね、余計に自分の体を恨んだなぁ…。』


    まなみが綺麗なチュチュを着て踊る姿を想像してみる

    この綺麗なボディラインや、内から滲むしなやかさはきっとそこからきているんだろう


    『綺麗なんでしょうね、先輩が踊る姿。

    見てみたかったです。』


    まなみは惚れ直しちゃうよ、と小さく笑ってこう続ける


    『最初は手術するのも難しいって言われよって、もし…できたとしてもやっぱりバレエは続けられないって言われてね。

    人よりは長く生きれない事も聞かされた。』


    若干16歳でそんな事を宣告されてから今までの5年間、毎日死と隣り合わせの闘病生活を
    一体どんな想いで生きてきたのだろう。


    私が想像できる範囲の事なんて、きっとまなみが経験している足下にも及ばない程度なんやろう。


    『入院してた3年間は
    毎日寝る瞬間に、もう起きれないんじゃないかって不安で仕方なくなって、明日の事を考えたら苦しくて過呼吸になったりもしてた。

    死にたくはないけど
    生きたくもない、なんて思ったりもしとった。

    でもね、今つくづく思うっちゃん。

    生きたい、って…

    生きてて良かった、って……

    そう思えたのは、颯に出会えたからなんだよ。』


    きっと言葉なんかじゃ説明できない位
    あなたは独り、窮地で必死に闘い続けてきたんやね。


    『先輩、良く頑張って私まで辿り着いてくれましたね。

    もう大丈夫ですから

    もっと力抜いていいですよ。

    私が、絶対に先輩を死なせません。』


    根拠なんて、ない。


    理屈なんて、ない。


    だから、私の中には限界もない。


    『颯の言葉でそんな風に言われると…

    本当にずっと生きていられる様な気がしてきちゃうよ。

    どうしよう…

    私、どんどん欲張りになっていっちゃう。』

    (携帯)
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■19641 / ResNo.78)  - 49 -
□投稿者/ Y ちょと常連(63回)-(2007/08/06(Mon) 07:13:13)
    この世の中に
    【絶対】はありえない事も知ってる。




    だから
    私は絶対という言葉を使うのは嫌いだった。




    だけど、今敢えて使ったのは




    そう言って自分に喝を入れる為でもあった




    私が諦めたら、そこで終わってしまう気がするから。


    『私は、諦めませんよ。』


    そう一言だけ伝えて
    窓を開けて煙草に火を点けた。




    まなみが私を連れて行きたいと言った場所に着く頃には、もう日が沈みかけていて




    深いオレンジ色が、世界を暖かく染めていた。




    車が停まった場所は、二見ヶ浦という海沿いの道。




    うちの近くにある海とは全く違う




    真っ白な砂が永遠と続いていて




    先や周りには何も見えない広い海。




    辺りを見渡してみても、高い建物なんて一つもなくて




    海の反対側は、小高い丘になっている。


    『すごい。』


    思わず口をついた私の言葉に


    『綺麗でしょう?』


    と、窓を開けてエンジンを切るまなみ。




    潮風の匂いも
    やっぱりうちとは格段の差があって




    言葉にするなら




    【永遠に一番近い場所】




    そんな感じがする所。




    一時間もかかっていない位、少し高速を走ってきただけなのに




    すごく、非日常的な気分になれる場所だ。




    ハワイとはまた違うけれど




    気分は同じ位晴々しくなれる。




    ただ、何故か少しだけ




    胸を締め付けられるような




    少し切なくなるような




    何か押し寄せてくるものがあった。




    それが何故なのかは周りを見て分かった。




    私達以外に、人気は全くなくて




    さっきから車の一台も通ってない




    ここは、静かだった。




    この静けさは、今まで感じた事がない。




    そして、車は再び動き出す。




    少し行くと、丘に登る入口があって




    車はそこから丘を上へ進んで行く




    すぐに辿り着いた頂上に広がる景色……








    そこは、墓地だった。




    車を停めて、まなみが降りる。




    私も降りると
    まなみは私の手を繋いで、海が一番綺麗に見渡せる場所へ向かって歩き出した。




    まなみが止まった場所は、一つの墓石の前。




    まだ随分新しく見える、その横長に長方形の形のお墓には文字が彫られていて




    良く見ると、思考が停止してしまった。

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■19642 / ResNo.79)  - 50 -
□投稿者/ Y ちょと常連(64回)-(2007/08/06(Mon) 08:07:41)
    そのお墓の左半分には




    大きく漢字で一文字




    【舞】




    と彫られていて




    右下には




    【m a n a m i. H】




    そう、確かに彫ってあった。




    一瞬にして、変な冷汗が吹き出てくる。




    まなみの……お墓?




    状況が理解出来ずに固まっていると


    『颯がそんなに驚いてる姿、初めて見た。

    颯って驚いたら黙って固まるんやね?』


    と、ケラケラ笑いながら私を見ている。




    笑い事じゃ…ないやろ




    笑えるわけない。


    『なんで…?』


    やっと言葉が出せた。


    『成人祝い。

    二十歳まで生きれたら、買ってもらう約束しとったんよ。

    いつ、ここに入るかは分からんけど…
    入るならどうしてもココが良くて。』


    そこから見る風景は




    空と海が綺麗に上下半々で
    ずっと見ていると、まるでその間に引き込まれていくような、何とも不思議な感覚にとらわれる。




    そこに吹く風は




    少し強くて、爽やかな潮の香りがする。




    二人の間に言葉はなくて




    しばらく手を繋いだまま




    近いようで遠い夕陽が、海に沈んで行くのを眺めていた。




    涙は、出なかった




    繋いでいる手は、暖かかったから。




    帰り道、先に言葉を口にしたのは私だった


    『先輩、私せめて60までは生きたいんで

    私が60歳になったら一緒にあそこに入りましょう。

    あと43年も一緒にいられれば、十分でしょう?』


    まなみは、前を向いたまま


    「えー…

    私はたった43年じゃ足りないなぁ。

    私はもっと颯と一緒にいたいよ。」


    と言った。


    『死んでも同じお墓なんだし、いいじゃないですか。』


    そう言うと


    「そっか、ならいっか。」


    と笑っていた。




    気付けば
    今日はまなみお手製のブランチしか食べていなかったから、さっきから二人のお腹が悲鳴をあげている。




    何か食べて帰ろうという事になり、散々話し合った結果
    食べたい物が決まらず、やっぱり家で作る事に。




    帰宅すると、おかんの靴があった


    玄関が開く音に気付いたのか、おかえり〜と奥の方から声が聞こえる。




    まなみは何故か慌てて髪や身なりを整えると、少し緊張しながら


    『おじゃまします。』


    と小さな声で言った。


    きっと聞こえてないけど、気分的なものだろう。


    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/

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