ビアンエッセイ♪

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■19659 / ResNo.90)  - 61 -
  
□投稿者/ Y ちょと常連(75回)-(2007/08/07(Tue) 06:49:26)
    どうしよ…




    早く入りたいけど
    私が鍵を使って開けた時に、どさくさに紛れて一緒に入って来られても困るし。




    その人の後ろで立ち止まって悩んでいると
    私の気配に気付いたその人が


    『あ…っ、すみません!』


    と、サッとインターフォンから避けたから




    入らないわけにはいかない状況が出来上がってしまった




    ついてきません様に…




    そう祈りながらカードキーで自動扉を開けようとすると




    その人は私の顔を見るなり


    『あ…!颯ちゃん…だよね?!

    あの…覚えてないかな?』


    と言われた。




    その人を上から下まで良く見てみたけど、私には全く見覚えはない。


    『失礼ですが、どちら様ですか?』


    そう聞き返すと


    『あの店暗かったからな〜…;;

    あの、この間焼肉をご一緒させてもらった森田です。

    社長、ご在宅ですか?』


    「……………あぁ、どうも。
    いますけど、具合が悪いと言って寝てますが。」


    こんな顔やったんや




    名前、森田ってゆーんや




    つか…
    おかんを【社長】って呼ぶって事は、おかんの会社の人やねや


    『はい、社を出る際にその様に聞いたもので…
    お見舞いの品をお持ちしたのですが。。』




    確かにその人の手には、ケーキらしき箱がある。




    私が追い返すのも変な話やし




    身元が確かで誠実な人だと分かったので


    『うち、今日水炊きなんですけど。

    それで良ければ、どうぞ。』


    「……え!?

    あ…は、はいっ……!
    ありがとうございます!!」


    変な人。




    確かに【社長の娘】ではあるけど




    いくつも年下だと分かっている私にさえも、これだけ腰を低くして。




    まぁ




    悪い人ではなさそうだ。




    家に入り、その人をソファーに誘導して




    うどんと卵を冷蔵庫にしまって
    アイスコーヒーを出した。


    『ガムシロップないんですが、大丈夫ですか?』


    と聞くと


    『は…はい!
    ブラック派なので!』


    と、元気良く返事が返ってきた。


    『一緒ですね。
    私はたまにミルクだけ入れますけど。』


    と言って、久しぶりに目を細めるだけの作り笑いを浮かべると


    少しだけ緊張がほぐれたのか


    『僕もです!
    朝はミルクをいれます!』


    と、さっきまでの堅い笑顔とは違って、爽やかで大きな笑顔を見せた。






    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■19660 / ResNo.91)  ―お詫び―
□投稿者/ Y ちょと常連(76回)-(2007/08/07(Tue) 06:56:49)
    登場人物に、一部男性が出て来る事をご了承下さい…。

    尚、生々しい男性との絡みや、卑猥なシーンは出て来ないので、ご了承頂ける方のみ先を読んでいただきたく思います。

    もし、今までの進行の中で不快な思いをさせてしまった方がいらっしゃいましたら、心からお詫び申し上げます。

    自分の中で納得のいく作品に仕上げたいが為の自己満足ではありますが、悪気がある訳ではないので悪しからず…。

    これからも引き続き楽しんでいただければ光栄です。


    Y

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■19661 / ResNo.92)  - 62 -
□投稿者/ Y ちょと常連(77回)-(2007/08/07(Tue) 07:35:42)
    『母、起こして来ますんで。』


    そう言って立ち去ろうとすると


    『あの!いいんです!

    社長には少し、休んで頂きたいので。』


    そう言って立ち上がると


    『あ、すみません、これお渡しするの遅くなってしまって!
    つまらないものですが、良かったら…。

    僕、お暇させていただくので、気になさらないで下さい!

    社長に、お大事にとだけお伝えいただけますか?』


    と、ケーキを手渡して帰ろうとする。




    この人は、きっと心配でいても立ってもいられなくなって、勇気を出して来てくれたのだろう




    もしまなみが…
    と考えると、私もきっと同じ様にお見舞いに出向くやろうし




    一目でも顔を見て
    安心したいと思うやろうから


    『あ…じゃあ、もし森田さんのお時間が大丈夫なら
    ご飯が出来るまで待っててもらえませんか?
    食事が出来たら起こす約束になっていますし、母も……


    母も森田さんのお顔を拝見すれば元気になれると思うので。』


    つい何日か前までの私なら




    確実に言えていなかった台詞。




    その人は、感きわまった表情で


    『ありがとうございます…!

    では、お言葉に甘えて。』


    と私に向かって深々と頭を下げた。


    『すぐに出来ますので。
    テレビでも見て待ってて下さい。』


    そう言って電源をたちあげ、リモコンを渡すと




    寝てるおかんを気遣ってか、その人はボリュームだけを落とした。




    おかんが大事に想われているのが、こういう所作ひとつで伝わってくる




    きっと
    常にこういう気配りができて相手を思いやれる、優しい心の持ち主なんだろう。




    テレビを見ているようで見ていないであろうその人。




    その証拠に


    『おいくつなんですか?』


    と尋ねると
    聞き返しもせずに


    『今年、28になります。』


    と間髪いれずに返ってきた。




    普通、テレビに気を取られてる人に突然質問を投げ掛けたら
    大抵の人は、一度聞き返してくるだろうから。


    『じゃあ…母とは、8つ差?ですか。』


    私はおかんが19の時の子だ。




    18で留学してすぐ、留学先のパリで私の父親に出会い、電撃結婚をしたと聞いた事がある




    ちなみにその年で【デキ婚】ではないらしいから、大した度胸やと思う。




    きっと【運命】やと感じたんやろう




    今、私がまなみにそう感じているように。

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■19662 / ResNo.93)  - 63 -
□投稿者/ Y ちょと常連(78回)-(2007/08/07(Tue) 08:12:55)
    『はい、そうですね。』


    「母とは、いつからそういう関係なんですか?」


    『正式にお付き合いを始めさせていただいたのは、3年程前になります。』


    「あの、私
    【彼女の父親】
    とかじゃないんで、そんなにかしこまらないで下さい。」


    『そ、そうですよね!
    すみません。』


    「母とは、将来を考えてのお付き合いですか?」


    『もちろんです!
    出来れば、この間そのお話をさせていただきたかったんですが。
    臆病者で出来ず終いになってしまってすみません、情けない…。』


    「いえ、あの時されるより今の方が良かったと思います。」


    『え…?』


    「あ、いえ。

    私事です、どうぞ続けて下さい。」


    『あの、颯ちゃん。』


    「はい。」


    そう言うと、その人はソファーから降りて


    『僕は真剣に残りの人生を香さんと生きて行きたいと思っています!

    香さんを…

    お母さんを、僕に下さい!!』


    と、床に頭をつけて土下座をした




    ベタなドラマのワンシーンやな、これじゃ。


    『森田さん。だから、私は【彼女の父親】じゃないですって。』


    「そ、そうなんですが……

    何と言うべきか散々迷った挙句、やはりこういう在り来たりな事しか思い浮かばなくて。

    結婚は確かに当人達の自由ですが、やはり僕は颯ちゃんの許可なくではしたくないんです。」


    頭を上げずに、想いのたけを真っ直ぐに伝えてくる。




    ま…
    ないがしろにしないでくれて、ありがとさん。ってとこやな。




    『私もまだ未成年なので、母を譲る訳にはいきませんが……

    共用でいいなら、好きにして下さい。』




    すると、一度頭を上げて私の目を見ながら


    『ありがとうございます!!!』


    と言って、もう一度頭を強く床につけた。




    頭上げて下さい、と言おうとした所で




    おかんが部屋から出て来て


    『昇、あんた声でかいねん。』


    と言って、その人の頭を軽くはたいた。




    ビックリして顔を上げた【森田 昇】の目には、嬉し涙らしきものがいっぱい溜まっていた。


    『何泣いてんねん、情けないなぁ…ほんま。』


    「すみません。」


    笑いながら自分の袖で涙を拭ってあげているおかんの目にも




    やっぱり、嬉し涙らしきものが浮かんでいた。








    ごちそーさん。

    (携帯)
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■19663 / ResNo.94)  - 64 -
□投稿者/ Y ちょと常連(79回)-(2007/08/07(Tue) 08:45:55)
    それから水炊きの鍋を三人で囲んで食べた




    おかんは焼酎が飲みたいと騒いでいたが




    森田さんと私で断固阻止した。




    食べ終わると、森田さんは




    『社長が元気そうで安心しました。

    でも、お酒と煙草は控えて下さいね。』


    と言い残して帰って行った。


    『なぁ…あの人いつもあんなに腰低いん?』


    と聞くと


    『会社では偉っそーにしてるで。
    でも、私にはいつもあんなんやな。』


    と笑っていた。




    どうやら彼はああ見えて、おかんが将来会社を担わせてもいいと思える位のやり手らしい。




    まぁ…公私混同しないタイプなら良しとするか。




    その日は
    おかんが珍しく鼻歌を口ずさみながら後片付けをしていた




    異様な光景とは
    まさにこの事だ




    物心がついてから
    一度も目にした事がなかったから。




    彼女なりに相当嬉しいんだろう




    口ずさんでる歌は古かったけど、その姿を見ていると自然と私も嬉しくなった。




    携帯を見ると、つい数分前にまなみからの不在着信があった




    ベランダに出て
    煙草を吸いながらかけ直すと


    『まぁ〜た煙草吸っとる!』


    といきなり言われた。


    またこの間の学校でのパターンか?
    と思い下を見下ろしてみたが




    黄色いビートルも
    まなみらしき姿も見て取れなかった。


    『何で分かったんですか?』


    と聞くと


    『当たったんや♪』


    と笑っていた。




    この声が
    一番落ち着く。




    『エスパーですね。』


    「妖精です。」


    『先輩、いくつですか。』


    「それ酷くない!?」


    『嘘です。
    先輩は天使ですもんね。』


    「そうやろう?」


    『嘘ですけど。』


    「颯のアホ!」


    『…(笑)。

    声、聞きたかったんで嬉しいです。』


    「あ、ずるい。」


    『そんな事言われても、本当の事ですからね。』


    「私も、声聞きたかったっちゃん。」


    『それは光栄です。』


    「なんか、颯の声嬉しそう。
    何かあったと?」


    『一番は先輩と話してるからですけど…他にちょっとだけ良い事もありました。』


    「なになに?」


    『おかんが、松田聖子の歌を口ずさみながら皿洗いしてる事です。』


    「なんそれ!(笑)」


    『皆…

    皆が幸せになれるといいですね。』


    「そうやね。」


    『先輩は、今幸せですか?』

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■19664 / ResNo.95)  - 65 -
□投稿者/ Y ちょと常連(80回)-(2007/08/07(Tue) 09:20:13)
    『幸せ過ぎて、不安になる位だよ。』


    「何が不安ですか?」


    『颯と、離れる事。』


    「あ、じゃあ安心して下さい。」


    『なんで?』


    「先輩が離れてって言っても、私離れてあげませんから。」


    『約束?』


    「約束。」


    『明日ね、颯のバスケの試合見れんくなっちゃった。』


    「どうしてですか?」


    『この間の検査結果があんまり芳しくなかったみたいでね、明日から詳しい検査する為に何日か検査入院する事になったっちゃん……。』


    「……そう、ですか。」


    『あ、でもね!
    来週の日曜日の練習試合までには絶対に退院してくるけん!』


    「無理はしんといて下さいね。」


    『うん、しない。
    何ならもう一年留年して、颯と同級生になっちゃおうかな(笑)』


    「大歓迎です。」


    『入院…嫌やなぁ。』


    「きっとすぐに帰って来れますから。」


    『そうやね。』


    「毎日、会いに行きますから。」


    『約束?』


    「約束。」


    『個室やけん、なんなら泊まってもいいけんね♪』


    「夜這いしますよ。」


    『それこそ大歓迎だよ。(笑)』


    「退院したら、また色んな所に一緒に行きましょう。」


    『ハワイとか?』


    「佐世保とか。」


    『なんで佐世保なん?』


    「佐世保バーガー。
    さっきテレビでやってて食べたくなりました。」


    『なんねそれ(笑)
    いいよ、行こう。』


    「呼子も。」


    『イカしかないよ?』


    「そのイカが食べたいんです。」


    『颯ってそんなに食いしん坊キャラやったっけ?(笑)』


    「先輩の食べてる顔

    好きなんです。」


    『いつも見てたん?!
    恥ずかしいやん!!』


    「人は美しいものに自然と目がいくでしょう?」


    『颯ってさ、たまに甘〜いよね。』


    「そうですか?
    まぁ…父親フランス人なんで、血かもしれないですね。」


    『でさ、たまにSやんね(笑)』


    「そうですか?

    普通だと思いますけどね。」


    『まぁ、そういうの全員ひっくるめて颯が好きよ。』


    「私は、愛してますよ。」


    『私も愛しとるもん!
    愛しとる前提での話やもん!』


    「そんなにムキにならんといて下さい。」


    『颯がイヂワルするけんや〜ん!』


    「先輩、早く寝て下さい。
    で、早く帰ってきて下さい。」


    『うん、すぐ帰ってくるけん待っとって。』




    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■19665 / ResNo.96)  - 66 -
□投稿者/ Y ちょと常連(81回)-(2007/08/07(Tue) 09:49:43)
    『待ってます。』


    「メールとか、夜になったら電話とかしてもい…?」


    『もちろんです。

    私、メール無精ですけどちゃんと返します。

    寂しくなったら、いつでも飛んでいくんで呼んで下さい。』


    「本当に?」


    『じゃあ…今すぐ
    会いにきて。』


    「いいですよ、先輩の家教えて下さい。」


    『嘘でしょ?』


    「何回言わせるんですか。

    嘘は、嫌いです。
    それに私も会いたいですし。」


    『本当はね、それが言いたかったと。
    颯に会いたくて電話したと。
    でも、ウザがられるの怖いけん…
    なかなか言えんやった。』


    「私、そんなのでウザがりそうな奴に見えますか?」


    『見えないけど…』


    「そんな不安は、今後必要ないですからね。」


    『先輩が私に会いたいと思う時は、私も先輩に会いたい時です。』


    「ねぇ…本当に会える?」


    『本当に会えます。

    会いたいと思えば、いつでも会えます。

    生きてるんやから。』


    「そうやんね。
    じゃあ、行ってもいい?」


    『先輩が来てくれるんですか?』


    「私が車で行った方が、颯に早く会えるんやもん。」


    『………今
    抱き締めたくなりました。』


    「じゃあ、今から抱き締められに行くね。」


    『気をつけて。』






    ベランダからリビングに戻ると、おかんが


    『嫁はんと電話?』


    とニコニコしながら聞いてきた。


    『嫁はん今から帰ってくるって。』


    と返すと


    『あらそーなん♪
    じゃあ嫁の顔を見たら、お邪魔虫は消えるわな。』


    と、おかんは出かける準備をし始める。


    『とか言って、旦那に会いたいだけやろ?』


    と、指摘すると


    『バレた?(笑)』


    と言って笑ってる。


    今日ぐらいゆっくり一緒にいたい気持ちは分かる気がするから


    『よろしく伝えて。』


    とだけ言った。




    下に着いた、とまなみから連絡があり
    エントランスまで迎えに行った




    会った瞬間に抱き締めると


    『どうしたの?!』


    と言うから


    『抱き締められに来たんじゃありませんでしたっけ?』


    と返すと




    そうやった!と言って抱き付いてきた。




    玄関に入るや否や
    【お帰りまなみ〜♪】
    と、おかんがまなみのほっぺたにぶちゅーっとキスをして




    まなみも
    【ただいまー♪】
    とハグしている




    打ち解けすぎやろ(笑)

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■19666 / ResNo.97)  ―お詫びA―
□投稿者/ Y ちょと常連(82回)-(2007/08/07(Tue) 10:00:14)
    自分の書いた文を読み返してみたら、著しく誤字、脱字が多い事に気付きました…(・_*)

    読みづらくてごめんなさい。

    明らかに間違えている場所なんかも、なんとなーく…察知して読み進んでいただければ幸いです(笑)

    気をつけます。。



    Y

    (携帯)
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■19667 / ResNo.98)  NO TITLE
□投稿者/ 美紀 一般♪(1回)-(2007/08/07(Tue) 12:14:14)
    初めまして(*^_^*)
    このお話すごく好きです♪続き待ってるんで、頑張ってください(*^_^*)

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■19668 / ResNo.99)  NO TITLE
□投稿者/ あ 一般♪(4回)-(2007/08/07(Tue) 12:15:44)
    きにすることはないですよ。
    そんなの気にならないくらい面白いですから。
    更新気になって仕事中こそっと携帯いじってます。
    続き頑張って下さいp(*^-^*)q

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/

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