ビアンエッセイ♪

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■19670 / 親記事)  TIME ∞ LAG -U-
  
□投稿者/ Y ちょと常連(84回)-(2007/08/07(Tue) 18:14:41)
    2007/12/17(Mon) 02:39:33 編集(投稿者)

    こちらは続編になりますので、初めての方は

    【TIME ∞ LAG】

    のスレからお読み下さい(*^_^*)

    もうご存じの方は、引き続きお楽しみ下さい♪♪♪


    Y

    (携帯)
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■19671 / ResNo.1)  - 67 -
□投稿者/ Y ちょと常連(85回)-(2007/08/07(Tue) 18:32:37)
    『ほな、行ってくるわ♪
    まなみゆっくりして行きや〜?』


    と言ってルンルンで出て行くおかんに


    わけもわからず


    『行ってらっしゃ〜い………?』


    と見送るまなみ


    『お母さん、こんな時間からどこに行ったと?』


    「愛する人の元です。」


    『じゃあ、今の私と一緒だ。』


    そう言って、背伸びでキスをしてくる。


    『ケーキありますけど、食べますか?』


    とさっきもらったケーキの箱を開きながら聞くと


    『わーい!食べる〜。』


    と言って覗きこんできた。




    まなみは
    苺のタルトとモンブランでしばらく悩み、苺のタルトを選んだ




    私は食べる気がなかったのだが




    あまりにもまなみが悩んでいたから、モンブランをお皿に乗せてテーブルに運んだ。




    幸せそうに食べるまなみ




    私もまなみが気を使わないように一口、二口だけモンブランを口に入れて残していたら




    案の定




    【もう食べんと?】
    と、聞かれたので
    食べない意思を示すと、勿体ない!とペロっと食べ終えてくれた。


    『私ね、実はコーヒー苦手やったっちゃん。』


    「そうなんですか?」


    『うん、颯がさ、この前海で缶コーヒー買ってきてくれたやん?

    あの時から、飲める様になったと。』


    「食わず嫌いやったんですかね?」


    『ん〜…どうやか?

    今でもね、1人じゃ飲みきらんと。

    颯がおって、颯の淹れてくれたコーヒーはめっちゃ美味しいし落ち着くのに…

    今日、1人で飲んでみたらやっぱりダメやった。。。』


    「そうですか。」


    『私、颯と一緒なら好き嫌いなくなりそうやね!(笑)』


    「良い事じゃないですか。」


    『うん、嬉しい♪
    ありがとう、颯。』


    「いえ、私何もしてませんけど。」


    『あと。。』


    と何かを言いかけて、下を向くまなみ


    まつ毛…長いな。


    なんて考えながら、次の言葉を待っていると


    『これも…ありがとう。』


    と言って、さっき記入して確かテーブルに置いたままにしてあった臓器提供意思カードを差し出す




    その目はすごく穏やかで、幸せに満ち溢れていた。




    微笑み返して
    受け取ったカードを良く見ると、保護者同意記入欄にも署名と捺印がされていた。




    ……きっと
    さっきベランダに出てまなみと電話で話してた時にでも書いておいてくれたのだろう。

    (携帯)
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■19673 / ResNo.2)  - 68 -
□投稿者/ Y ちょと常連(86回)-(2007/08/07(Tue) 22:17:55)
    そして




    嬉しかったのは




    おかんが黙って書いてくれていた事よりも




    手渡されたカードに重ねられていた




    もう一枚の




    おかんの名前の臓器提供意思カードだった。




    いつの間に……




    もう一度見たまなみの長いまつ毛は濡れていて




    こぼれ落ちる雫がキラリと光る


    『泣き虫ですね。』


    と言うと


    『…虫じゃないもん。』


    と返ってきた。


    『否定する場所間違えてますけど。』


    「いつも颯が泣かせるんやん。」


    『泣いてる顔も可愛いですよ。』


    「やだよ、泣いたら目が腫れてガチャピンに似てるって言われるもん。」


    『ガチャピン、私好きですよ。』


    「これ、何の話?(笑)」


    やっと、笑った。




    でもやっぱり不安なのかな?




    いつもの笑顔よりは元気がない。


    『颯の顔見れて良かった…

    明日からの入院の準備せないかんけん、そろそろ帰ろうかな。』


    「そうですね。」


    顔色悪いな…先輩


    『浮気…せんでね(笑)』


    「できませんよ。」


    『颯、自覚ないみたいやけど…
    モテるんやからね。』


    「誰にですか。(笑)」


    『一年生とか、隠れファンクラブあるんやけんね。』


    「物好きもいるもんですね。

    あ…先輩もか。」


    『違うもん!』


    「大丈夫です。

    先輩しか見てませんし、見えません。」


    『今の颯、フランス人。』


    そう言って
    また力なく笑った。




    車が出発する時




    運転席の窓を開けてキスをした




    唇が離れて




    まなみが私の腕を掴む




    その力が次第に強さを増していくまなみの手




    その手を取って
    強く握り締めたまま




    もう一度




    深く、深く




    お互いの愛を味わうような、甘いキス。




    まなみの手は
    震えていた


    『先輩、私達は大丈夫です。』


    「……ん…っ。」


    『コレ、付けておいて下さい。』


    そう言うと
    私の腕につけていた時計を外して
    まなみの腕につけかえる。




    不思議そうな顔をしてそれを見つめるまなみ


    『これは、私です。

    私の生きている時間です。

    先輩にこれからの私の時間、全部あげます。

    一緒に生きましょう。』


    「…………颯。」


    まなみは何度も何度も【ありがとう】と言って泣いている




    やっぱり泣き虫。


    (携帯)
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■19674 / ResNo.3)  NO TITLE
□投稿者/ A 一般♪(1回)-(2007/08/07(Tue) 22:24:24)
    良すぎてまた感想書きたくなりましたッ!!笑))
    毎日読むの楽しみにしてますッ。頑張ってくださいッ。

    (携帯)
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■19675 / ResNo.4)  Aサン♪
□投稿者/ Y ちょと常連(87回)-(2007/08/07(Tue) 22:58:27)
    ありがとうございます(^O^)

    嬉しいです!!

    また書き込んで下さいね★

    (携帯)
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■19678 / ResNo.5)  - 69 -
□投稿者/ Y ちょと常連(88回)-(2007/08/08(Wed) 00:06:42)
    そしてまなみは




    自分が付けていた腕時計を外して
    今度はそれを私の腕につけた。


    『これでいつも一緒やね。』


    「そうですよ。

    せやから、怖がらなくて大丈夫です。」


    安心したのか、まなみは【また明日】と言って車を発車させて行った




    まなみがくれたシルバーチェーンの大人っぽい腕時計を触ると




    愛しさとともに
    言い表せぬ不安も襲ってくる




    本当に、検査入院なのだろうか。




    本当に、すぐ帰って来れるのだろうか。




    その時計が秒を刻むごとに、まなみが生きれる時間は減ってゆく。




    嫌や




    嫌や…




    失いたくない




    この時計の針を止めるわけにはいかない




    だから、絶対に離さない。




    震える体を
    むりやり煙草で静める。




    しっかりしろ、私。




    寝る前に
    一言だけの短いメールを送信する




    【送信メール】
    宛名:早川 まなみ
    件名:また明日。

    本文:愛してます。








    次の朝起きると
    まなみから返信メールが帰ってきていた




    【受信メール】
    差出人:早川 まなみ
    件名 :おやすみ★

    本文 :私の方が愛しとるもん♪
    颯、本当に色々ありがとう。
    もう、颯がおらん生活なんて考えられんよ(>_<)
    責任とってね☆(笑)




    はい、もちろんそのつもりですよ。




    学校に着くと、すごく久しぶりな気がした




    この週末が
    人生をガラっと変える程の濃い時間やったから




    夏休み明けの感覚に近いものさえ感じる




    教室に向かう廊下で




    奏音が後ろから飛び付いてきた


    『さくらおはよ〜!
    久しぶりやね!!』


    元気で何より。


    『はよ。』


    「今日試合見に行くけんねっ♪」


    『自分の試合あるやろ。』


    「だってぇ…先輩に会いたいもんっ!!」


    恋する乙女ってやつですか


    でもね、奏音ちゃん


    『先輩、今日から入院してはるから見に来てもおらんで。』


    「へ?!…入院?!



    『そ、入院。』


    「なんで…っ…?!
    亜也先輩、事故ったと?!」


    『事故ちゃうよ、検査入…………。』


    ……………………ん?




    今、この子なんつった?




    私の耳が正しければ




    確か




    【亜也先輩】




    って聞こえたんですが?

    (携帯)
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■19702 / ResNo.6)  NO TITLE
□投稿者/ れん 一般♪(6回)-(2007/08/08(Wed) 00:46:54)
    再再再再度言いますが、Yさん最高です!!


    何年振り?ぐらいの感動受けました!!

    そこら辺の小説や映画より断然いいです(≧∇≦)


    全然脱字とか気にしなくて大丈夫ですよ!!


    Yさんが納豆出来る作品が出来上がると良いですね。
    応援しています♪




    (携帯)
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■19711 / ResNo.7)  れんサン♪
□投稿者/ Y ちょと常連(89回)-(2007/08/08(Wed) 01:25:16)
    テストお疲れ様です♪

    そんなに褒めていただけるなんて思っていなかったのでカナリやる気が出ちゃいましたv(`∀´v)(笑)

    これからも引き続きお楽しみ下さい♪

    (携帯)
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■19712 / ResNo.8)  - 70 -
□投稿者/ Y ちょと常連(90回)-(2007/08/08(Wed) 02:02:54)
    『ちょっとさくらっ?!

    先輩どうしたと?!

    ねぇ!!』


    ちょっと待て




    整理してみよう。




    確かに私と奏音は
    お互いに好きな先輩の名前は使わずに




    【先輩】




    という名称で話を進めていた。




    奏音にライバル宣言をされた日




    『昨日2人きりやったんやろ?』
    と奏音に聞かれた私は




    てっきりその前日の夜にまなみと会った事やと思っていたけど




    奏音が言っていたのは
    おそらく、中止になったはずの朝練でたまたま2人きりになった亜也との事を言っていたんやろう。




    とにかく




    私は奏音もまなみの事が好きと思っていて




    まなみは私が亜也を好きだと思ってたんや。




    ははっ…
    そゆ事ですか。


    『ちょっとさくら〜!

    笑ってないで教えてよ!!!』


    「なぁ。」


    『何!?』


    「私と奏音の好きな人、違うと思うねんけど。」


    『…………え!?』


    「奏音が好きなんって、亜也先輩やろ?」


    『ちょっと…!!

    皆まで言わんでょ…っっ!!!』


    「あー…ごめんごめん。」


    『て事は…さくらの好きな人は違うん?』


    「違うで。」


    『そぉなん!?
    なんだ〜…凹んで損したっ。(笑)

    てか、じゃあ誰なん???』


    「まなみ先輩。」




    お互いの誤解を解いて




    私は、今のまなみとの状況を軽く話した




    話していて分かったんやけど




    どうやら
    奏音は、まだゆう先輩と亜也先輩が付き合った事は知らないみたいだ




    私がここで言うべきなのか…




    考えている内に


    『コノヤロウ、おめでとう!!!』


    と言って奏音は走っていってしまった。




    まるで自分の事のように嬉しがってくれていた奏音の笑顔を見ると




    何となく…胸が締め付けられた。




    恋愛は理屈じゃないし




    告白も本人同士の問題やから




    私がどうにかしてあげられる事ではない




    奏音がこれから歩こうとしている茨の道




    そして奏音がこれから背負う傷




    頑張れるだけ頑張って




    でも、それでもダメで




    羽がボロボロになってしまったその時が来たら




    やっぱり私は何もできないけど




    一緒に泣いて




    一緒に騒いであげよう。

    (携帯)
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■19713 / ResNo.9)  - 71 -
□投稿者/ Y ちょと常連(91回)-(2007/08/08(Wed) 03:02:50)
    球技大会ってやつは




    言わば同じチームに
    経験者もいれば未経験者もいる、フリーマッチのようなもので




    そのチームの中でも
    【経験者】という立場の人間に9割の責任を委ねられて、同時に未経験のチームメイトからは絶大な信頼を得る。




    試合と言っても、相手チームに経験者がいなければワンマンショーみたいなもんやし




    フォーメーションなんてお構いなしで




    パスを出しても速攻でボールが戻ってくる




    まぁ、未経験者に何人がかりでマークされても抜けるからいいねんけど




    ボール触るの怖い〜なんて言って、ゲームが始まってから明らかに動いていない人もおる。




    そんな試合、私なら退屈過ぎて見るに耐えないのに




    ゴールを決める度に
    周りからは異常なほどの黄色い声が上がる




    それにしても
    一言物申す。




    【ディゾン先輩かっこい〜!!】


    【ディゾン先輩頑張って〜!!】


    【ディゾン先輩ナイッシュー!!】




    私の名前は違います。




    しかも良く見たら、亜也までもが爆笑しながら調子に乗ってディゾンディゾン言っている。




    そんな亜也を横目で睨むと、亜也はさっと柱の陰に隠れて
    手を合わせて【ごめん】のジェスチャーをしながら、いたずらな笑顔を浮かべた




    その隣では、見た事のないボーイッシュで小さい人がニコニコしながら手を叩いて笑っている




    あの人がゆう先輩かな?




    ペコっと頭を下げてみると




    両手をぶんぶん振って笑顔で頑張り〜!と言ってくれた。




    顔も雰囲気も
    確かに全然似てないけど




    子供みたいな笑顔は
    どことなく似ていなくもないな、と思った。




    試合は順調に勝ち進んで学年優勝した。




    一番何もしてなかった人達が、頑張って良かったね〜…と言いながら泣いていた。




    私は嬉しくも楽しくもなかったので、きっと無表情だったと思う。




    気持ちは、早くまなみの所に行きたい一心やったから。




    終わって
    優勝したチームで打ち上げするから来て、と誘われたが断った。




    一年生の子らが、何人かで携帯を持って
    【一緒に写真撮って下さい!】
    とやって来た。




    これか?まなみが言ってたのって…?




    それならやっぱり心配いりません。




    私の頭の中は
    あなたのものですから。

    (携帯)
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