| 何も出来んのは分かっとるけど
捜索隊の人達が静香を捜し回りよるのを 砂浜から2人で見とった。
静香が溺れるわけない、って
絶対どっかからひょっこり帰って来るって思いながら眺めよったと。
でもね、静香は 結構離れた沖の方で 遺体となって発見されたんよ。
発見された時、もう静香は変わり果てていて
ウエットスーツも脱げて裸やった。
でもね、このネックレスだけが… 静香の首についたままやったっちゃん。
それで私達は、その遺体を静香やと認めざるを得んくなってしまったと………。
2人とも狂った様に泣き崩れて…
亜也はしばらくバスケをするのもままならんくて、結局去年のインターハイ決勝には出場できんやったんよ。
それからね、お互いにこのネックレスの話はしてないっちゃけど… 未だに2人とも外せずにおるんよね。
颯…ごめんね……。 私がもっと早く話しとれば、颯に変な誤解を招いたり、嫌な思いさせんで済んだのに。。
いつか静香の話はしようと思いよったんやけど……
ほら、私が今こんな状況やけん、そういう話したら颯が敏感になってしまう気がして話せんかったっちゃん……。
ごめん……本当に。』
カーテン越しに、全てを聞いた私は
自分に腹が立って仕方がなかった
私は、世界一の大馬鹿者です。
カーテンを開けて ベットの上に座っていたまなみを抱き締め
『こちらこそ…ごめんなさい。 勝手に暴走して…嫉妬してしまって。』
まなみは
『怖かったよぉ……
嫌われたんかと思った。』
と私の背中に回した手に強く力を込める。
しばらくそのまま抱き合って
ひとつだけズレてしまった歯車をゆっくり戻す様に
お互いの体温を自分に刻み込む。
たった数時間すれ違ってしまっただけなのに
どうしようもない位 心が痛かった。
もう
何があっても疑ったりしない
世界を敵に回しても
私は必ず まなみ先輩を信じます。
(携帯)
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