ビアンエッセイ♪

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■19787 / ResNo.40)  - 92 -
  
□投稿者/ Y 常連♪(117回)-(2007/08/18(Sat) 00:19:55)
    『あんた、気持ちの整理がつくまでココにこのままおってもえーねんで。

    ココはいずれあんたが住む家として売らずに残しておくつもりやったから。

    それに学校もこっちの家からの方が断然近いしな。

    たまに私達とご飯食べたり、どっか行ったりしながら慣れてけばいい。

    どう?』


    うん、ベスト。


    『そうするわ。』


    独り暮らし…
    みたいなもんか。




    まぁ、あんまり今までと変わらんようで




    端から、帰って来る人がいないというのは




    なんか…




    なんかな。




    あとうかいでゆーとこの




    なんだかなぁ。




    うわ…




    さぶっ。




    ベランダに出て、煙草を吸いながら




    何となく…しんみりしていたら




    手元で携帯が鳴る




    知らない番号…




    誰やろう




    『はい。』


    「あ、もしもし?」


    『はい。』


    「おいら!ゆうやけど!分かるかいな?」


    『あぁ、ゆう先輩ですか。
    こんばんは。』


    「突然ごめんね〜?
    ねーちゃんに勝手に連絡先聞いちゃった!」


    『いえ、全然いいですよ。
    どうしました?』


    「ん〜…あのさ、電話しといて何なんやけど。。

    明日の昼休み、時間もらえんかいな?
    ちょっと話したい事があるっちゃん!」


    『………?
    いいですけど。

    急ぎじゃないんですか?』


    「あ、全然♪

    じゃあ明日昼休みに中庭で席取っとくから宜しく!」


    『分かりました。
    …じゃあ、明日。』


    「うん、おやすみ〜。」


    『おやすみなさい。』


    なんやろう?




    まなみ先輩の事かな…




    電話でせぇへんって事は…良くない話なんかな。




    まぁ、今気にしても仕方ないか。




    ただ
    なんとなく、不安やったから




    まなみにメールをしてみた




    【送信メール】
    宛名:早川 まなみ
    件名:無題

    本文:寝てますかね?
    夜遅くにごめんなさい。

    早く、会いたいです。




    時間はもう夜中だから




    寝ていて当然やねんけど




    返事がなかったから




    なかなか寝付けなかった。




    朝起きても、まなみからの返信メールはなくて




    朝練中も上の空だった。




    奏音が心配して
    何度も寄ってきては
    いつもより多くかいている汗を拭ってくれる




    胸さわぎが止まらない




    なんでやろう…






    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■19788 / ResNo.41)  - 93 -
□投稿者/ Y 常連♪(118回)-(2007/08/18(Sat) 01:24:47)
    今日の1限目は
    キクちゃんの授業やった。




    授業が終わって、席までキクちゃんが寄ってきたかと思うと


    『今日の部活終わったら、進路の事で少し話したいんやけどいい?』


    と声をかけてきた。




    何日か前




    進路希望調査があって




    私は、第一希望〜第三希望の欄全てに


    【就職】


    と書いていた。




    進学するつもりはない




    というのも
    おかんと約束してるから…




    高校卒業したら、おかんの仕事を手伝うって。




    でも本当は……




    本当の本当は




    進学したい。




    つか…




    小さい頃から
    医者になるのが夢だったりも…する。




    でも、珍しくおかんが私に強く望む事やから




    それがおかんへの恩返しになるんやったら




    それは受け入れてあげたいと思ってる。


    『分かりました。』


    そう答えると


    『あ、颯ちゃん。
    毎日まなみのお見舞いに行きよるんよね?
    じゃあ、今日私も行こうかいな♪
    行きながら話そう?』

    と返ってきた。


    ぶっちゃけ




    返事がない事が気になっていて
    早く病院に行きたかったから助かった。




    部活が終わった頃に
    職員専用の駐車場で待ち合わせする事にした




    まなみからの連絡は




    まだない…




    お昼休み




    いつも一緒にお昼を食べる奏音と美帆に断りを入れて、中庭に向かうと


    『颯ちゃ〜ん!』


    と両手を大きく振ってピョンピョン飛跳ねている結希がいた




    私はペコっと頭を下げて、小走りでゆう先輩の所まで行く。


    『こんにちは。』


    「ごめんね〜?
    呼び出したりして。」


    『いいえ。
    どうしたんですか?』


    「ん?…うん。
    まぁ座ってよ。」


    そう言って椅子を指し示す。


    席につくと


    『なんか…颯ちゃん痩せんかった?』


    と言われた。


    『そうですか?

    でもめっちゃ食べてますよ。』


    「そっか、なら良いっちゃけどね!」


    『それで…?』


    「あぁ、うん。

    いやさ…ねーちゃんの事なんやけど。」


    『もしかして昨日の夜、なんかあったんですか!?』


    「え…なんで?」


    『昨日の夜から、メールが返ってきてないので。

    こんな事、初めてなんです。』


    「あぁ…そっか。

    うん、実はさ…
    昨日の夜病院から電話があってさ。

    発作が起きたらしいんよ。」

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■19792 / ResNo.42)  - 94 -
□投稿者/ Y 常連♪(119回)-(2007/08/18(Sat) 10:30:44)
    予感的中。




    昔から、嫌な予感は大体当たる…


    『なんで、昨日の電話の時ゆーてくれなかったんですか?』


    「ねーちゃんに言われとったんよ。

    軽い発作やったら颯ちゃんには言わんどって、って。

    まぁその言葉の通り、昨日の発作は軽いもんやったし…すぐに落ち着いたみたいやけん、今は大丈夫やと思うっちゃけど、清水ちゃんから伝えてほしいって言われて。

    明日からの外泊許可は、取り消しになるって。

    なんか、清水ちゃん携帯なくしちゃったみたいで颯ちゃんの連絡先が分からんらしくてさ。」


    『あぁ……。』


    「ごめんね。
    昨日言わんで…。」


    『いえ…。』


    「外泊できるって、ねーちゃんは知っとったと?」


    『いや、知らないと思います。
    当日まで教えずに、驚かそうとしてたんで。』


    「そっか…。

    あ…ねぇ、颯ちゃん。」


    『はい?』


    「じゃあ、逆に
    病院に颯ちゃんが泊まらせてもらうのはどう?

    おいら先生に掛け合ってみてあげよっか?」


    『え…本当ですか?』


    「うん、本当♪
    多分それなら大丈夫やと思うばい!」


    『ありがとうございます。』


    「こっちこそ。
    さ、食べよ!」


    そして、二人でご飯を食べながら




    亜也とのノロケ話を延々と聞かされて




    ぶっちゃけ
    話は半分しか聞いてなかったけど…




    幸せそうに話す結希の顔を眺めていたら、私も心配で張裂けそうだった心が少し和んだ。




    あっという間に昼休みは終わって




    午後の授業が始まった




    ぼーっと外を眺めていると




    ポケットで携帯のバイブが鳴った




    【受信メール】
    差出人:早川 まなみ
    件名 :ゴメン!!

    本文 :返事が遅れてごめんね(;_;)

    私も早く颯に会いたいよ…!




    まなみの口から理由を教えてもらえないのは…




    なんか寂しかった。




    心配をかけまいと思っての事だろうが




    私は全て知りたいのにな…




    何て返せばいいか分からなかったから




    そのまま携帯を閉じた。




    部活をこなして
    キクちゃんとの待ち合わせ場所に行くと




    キクちゃんはもう既に車に乗ってスタンバイしていた。




    助手席に乗込むと
    ドリンクホルダーにミルクティーが置いてあって


    『良かったら飲んでね?』


    と言って、車を走らせ始めた。

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■19793 / ResNo.43)  - 95 -
□投稿者/ Y 常連♪(120回)-(2007/08/18(Sat) 11:13:23)
    『お疲れ様!』


    「あ、いや。

    お待たせしてしまってすみませんでした。」


    『なん言いよーと?
    全っ然よかよ!

    こっちこそ突然ごめんね。』


    「いいえ。」


    『ねぇ…颯ちゃん。

    颯ちゃんとまなみって、今…その……そういう関係なん?』


    「はい。」


    『あ…そうなんや!
    じゃあお邪魔になっちゃうね!

    私、顔見たらすぐ帰るけん!』


    「いや、私は毎日会ってますし、ゆっくり先輩と話して下さい。」


    『ありがとう。

    じゃあ颯ちゃんは、まなみの妹って知ってる?』


    「ゆう先輩ですか?」


    『うん…そう。

    病院で、会ったりする?』


    「たまに。
    でも、今日はゆう先輩、部活終わってから用事があるって言ってたんで来ないと思いますよ。」


    『…そうなんだ。』


    「会いたいですか?

    それとも…まだ
    会いたくないですか?」


    『え…颯ちゃん。。

    知っとーと?!』


    「はい、大まかな話は聞きました。」


    『そうやったんや。

    もしかして、この間お茶した時も知っとった?』


    「はい…すみません。」


    『ううん!
    こっちこそゴメンね?!
    気使わせてしまったね…。』


    「いえ、とんでもないです。」


    『今…亜也と結希は

    付き合っとるんよね?』


    「はい。」


    『そっか…それなら、良かった。。かな。』


    「なんでですか?」


    『お互いが傷付け合って別れちゃったから…

    私だけが幸せなのはズルイやろ?

    私ね、大人気ないのは分かっとるんやけど…
    結希が亜也の事を好きなのかもって分かった時に、不安で仕方なくなって…今の旦那と浮気しちゃったの。

    すぐに妊娠が分かって、おろす事もできたはずなのに…私は楽な方に逃げたんよ。

    同性同士の将来を考えると、漠然とした不安がどうしても拭えなくて。

    結希が卒業したら一緒に住む事も、いずれ渡米して籍を入れる事も本気で考えてたけど…

    逃げちゃった。

    やっぱ教師やけん…とか、年上やけん…って、いっぱい無理してる所があったんよね。

    果たして自分は
    この子の人生に一生責任を持てるんかな…とかね。

    愛しとったし、大切やったけど…寄り掛かる事は最後まで出来んやった。

    だから、最後に別れた時…
    結希が私に未練が残ったりしない様に、最悪ついでにとびっきり傷付ける言葉を吐き捨てたの。

    もう飽きちゃったから遊びの時間は終わり。…て。

    最低やろ。』


    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■19851 / ResNo.44)  ずっと
□投稿者/ 慌 一般♪(1回)-(2007/08/22(Wed) 06:38:45)
    毎日、毎時間、毎分、更新待ってます(o>ωω
    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■19852 / ResNo.45)  慌さん
□投稿者/ 通りすがり 一般♪(1回)-(2007/08/22(Wed) 11:09:04)
    そのコメントはYさんに失礼な気がします。
    ただひたすらに小説を書くロボットではないので、
    Yさんのペースで無理をせず書いて貰いたいですね。
    楽しい小説を読ませて貰ってると意識して貰いたいです。

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■19855 / ResNo.46)  慌サン♪
□投稿者/ Y 常連♪(121回)-(2007/08/22(Wed) 16:59:29)
    待っていていただいてありがとうございます\(≧▽≦)丿☆

    最近更新できてなくてすみません…↓↓

    また今日あたりからぼちぼち再開できるようになると思うので、是非ぜひ読んでやって下さいね♪

    すごく嬉しかったです!
    本当にありがとう☆

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■19856 / ResNo.47)  通りすがりサン♪
□投稿者/ Y 常連♪(122回)-(2007/08/22(Wed) 17:01:46)
    お気遣いいただいてありがとうございました(*^_^*)

    でも失礼だなんてとんでもないです(笑)

    私こそ読んでいただけているだけですごく幸せだと思っています!
    良かったら通りすがりさんも最後までお付き合い下さい♪

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■19859 / ResNo.48)  - 96 -
□投稿者/ Y 常連♪(123回)-(2007/08/22(Wed) 17:42:55)
    まっすぐに前だけを見据えて、そう淡々と話すキクちゃんが




    私には、自分を責め立てているようにしか見えなかった。




    私は二人の間にあった事をこと細かく知ってるわけでもない。




    むしろ
    事実関係を知っていたとしても、当事者同士の間にしか分からないものを私がどうこう言う資格もない。




    何て答えていいのかなんて分からないけど




    私の見解を述べた所で、キクちゃんだって
    分かったような事言わないで…
    って思うやろう。




    だから
    きっと今のキクちゃんが他人に求める言葉はたった一つだろう…


    『キクちゃんは間違えたわけじゃないと思う…

    答えがあるとは思わないけど。

    きっとゆう先輩だって分かってくれていますよ。
    キクちゃんの優しさだったり、弱さだったり、強さだったり。

    後悔したくないのなら

    キクちゃんは、その分お腹の子と旦那さんを大事に想ってあげたらいいんちゃいますかね。

    幸せになる事や
    終わってしまう事を怖がってちゃ、永遠に満たされる事なんてないと思う。

    大丈夫です

    キクちゃんは幸せになるべき人なんですから。』


    キクちゃんは




    やっぱり前を向いたまま


    『颯ちゃん、涙で前が見えんよ。
    事故ったらごめんね(笑)


    ……ありがとう。』


    と鼻を啜りながら笑っていた。




    病院に着くと




    そこにはいつもと変わらない笑顔のまなみがいて




    珍しいお客さんに喜んでいた。


    『キクちゃん!』


    「まーなーみー!
    大丈夫なんね!?」


    『うん☆
    元気そうやろ!?』


    「まぁ…元気そうやね(笑)
    でもちょっと痩せたんやない??」


    『…そうかな?

    だって病院食まずいんやも〜ん…!!

    やけんいつも夜は颯のお弁当っちゃん♪

    …あ!これ内緒ね(笑)』


    「あ〜!!
    じゃあ弱味握ったって事で、早く治して退院してこな病院の先生に言うけんね!(笑)」


    『学校の先生が生徒脅しよる〜!!(笑)』


    まるで女子高生同士のようにキャッキャ言い合ってる2人をしばらく見ていると




    一瞬だけど




    まなみの顔が苦痛に歪むのが見えた。




    すぐにまた笑顔に戻してはいたが




    いつも見ている私には
    その笑顔に無理がある事がすぐに分かった。

    『キクちゃん、ゆっくりどうぞって言っといて何なんですが、私先輩とイチャつきたいんでそろそろ帰って下さい。笑』



    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■19863 / ResNo.49)  - 97 -
□投稿者/ Y 常連♪(124回)-(2007/08/23(Thu) 03:23:10)
    ベットの端に座り
    まなみの肩を抱いてキクちゃんに言う。




    まなみは
    普段絶対に人前でこんな事言ったりしたりする事のない私をビックリしたような目で横から見上げている




    キクちゃんはニヤニヤしながら


    『はいは〜い、ごめんね♪

    ごゆっくり〜(笑)』


    そう言って、さっき病院の売店で買ってきた大量のお菓子やプリンが入った袋を置き、ひらひらと手を振って病室を後にしようとして




    扉に手をかけた所で
    動きを止めて振り向き


    『そーだ、颯ちゃん!
    進路の事話すの忘れてたね(笑)

    ん〜まぁ…また明日ね(笑)』


    と言った。


    「はい、でも進路変えるつもりはないんで。」


    そう返すと
    困ったような笑顔を残して部屋を出ていった。




    いつもの様に2人きりの病室に戻って




    私は抱いていた肩から手を離し、まなみと向き合った。




    不思議そうな顔をして


    『颯、今日どうしたと?
    あんな事言って…?

    あ、分かった〜!
    キクちゃんとあまりに楽しく話しよったけんヤキモチ妬いたんやろ♪(笑)』


    「………。」


    『………颯?
    なんで黙っ………痛っ…!?』


    私はまなみのおでこを軽くはじいて言葉を制した。


    『先輩。

    なんで辛い時に無理するんですか?』


    「…え?」


    『私、そない頼りないですか?』


    「いや…ちがっ……。」


    『心配かけたくないから?

    先輩のその優しさは嬉しいですけど、余計に寂しいです。』


    「ごめん…なさい。」


    『私に、全て知ってほしいって言ってくれましたよね?』


    「うん…。」


    『私も、先輩の全てを知りたいです。

    それがどんな現実でも、必ず受け入れます。

    せやから、約束して下さい…

    何も言えなくたっていいですから、苦しい時に笑わないって。

    私を信じる、って
    約束して下さい。』


    「…はい…っ。」


    『分かってもらえたなら良いんです。』


    そう言ってまなみの小さな頭を撫でると




    まなみは抱き付いてきて
    私の首に顔をうずめたままで


    『絶対…死にたくない。

    誰にも、颯をあげたくない。』


    そう呟いた。


    『誰のものにもなりませんよ。
    私の人生は、先輩にあげたでしょう?』


    そう言って
    まなみの左腕にはめられている腕時計を触ると




    まなみはそれを自分の耳元に当てて
    静かに刻む秒針の音を聞いて微笑んでいた。

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/

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