ビアンエッセイ♪

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■20311 / ResNo.30)  ◆ドレミさんへ
  
□投稿者/ あおい志乃 ちょと常連(77回)-(2007/11/22(Thu) 06:03:07)
    こんにちは。
    応援メッセージ、そしてご感想をありがとうございます。
    肺はすっかり元通りです、ご心配おかけして申し訳ありませんでした。。
    私は頑張り屋ではないですが、強情な踏ん張り屋ではあるかもしれません。


    > 私はルイ子みたいに性格は良くないですが。

    ルイ子は、本当、性根が良いですね。
    悪が無いというか、灰汁が無いというか。
    良い娘だと思いますが、恐らく私とは気が合わないです。
    というか、ルイ子のような女性には、私は毛嫌いされそうな気がします。

    私の文格への勿体ないほどの高評価をありがとうございます。
    誉めて伸ばすタイプなのですね、ドレミさんは。
    頑張って伸びます!土筆のように!多分!


    雪がちらつきます。
    木枯らしにお気を付けて。

    それでは。
引用返信/返信 削除キー/
■20313 / ResNo.31)  ALICE 【83】
□投稿者/ あおい志乃 ちょと常連(78回)-(2007/11/22(Thu) 06:25:08)
    アリスはシュガーポットには一度も手を伸ばさなかった。



    一口飲んで、
    ほぉっと吐息をついて、
    カップをソーサーに戻し、

    まどろむように数秒あてもなく視線を緩め、

    それからまた一口含んで、

    吐息をつく。




    そうやってゆっくり、アリスはカップを空にしていった。



    そんな彼女の隣の席で私は、
    とうに軽くなっていた自分のカップを弄びながら、

    今しがた私とアリスの間で交わされた、
    熱に浮かされたような台詞のやりとりを、

    もっと理性的に記憶に留めようと、


    頭の中のノートにペンを走らせていた。




    そんな沈黙が続いてしばらくした時、
    不意に時間が気になって時計を振り返ると、

    朝の6時をちょうど回ったところだった。



    「6時だ」



    呟くと、
    アリスも時計を振り返り見る。



    「朝はいつも和食?」


    尋ねると、


    「朝は、食べない」


    予想通りの答えが戻ってきた。




    「やっぱりねー。所長もアリスも、朝から料理なんて絶対しなさそう。
     というか、朝でも昼でも夜でも、所長が料理してるところなんて、想像付かない」


    アリスもね、と付け加えようとすると、
    意外な返しで遮られた。


    「絢は、けっこう料理上手だよ。特に、和食は」







    「…ホント?わぁ。意外。ん?じゃあ朝は?」

    「朝は、絢は、食欲より、性欲が強い」








    「そう、なんだ」


    としか、返しようがないだろう。



    早朝から、
    けっこう刺激の強い台詞だと思うのだが、
    アリスは特に意識して発言したわけではなさそうだ。



    「そんな彼女と、昨夜はケンカでもしたの?」

    「ケンカ、してないけど…」

    「けど?」

    「私は別の部屋で一人で寝てたのに。絢が連れて来ていた女が怒鳴り込んで来たから」



    これはまた、穏やかでない話だ。


    「所長って、よくそういう事するの?誰かを連れ込む、ような、事」

    「んーーそうだね。複数の時もある」

    けろりとアリスが答える。




    所長も相変わらずで、

    アリスも相変わらずのようだ。




    私に服を返すという口実が見当たらなかった場合、
    今頃アリスは何処でどうしていたのだろう。


    体を代価として求める女達のベッドの上に、
    生気のない顔で横たわっていたのだろうか。


    私は、 “真実の愛” を見いだす対象に、
    なんて困難な相手を選んでしまったのだろう。



    …と、そんな事はさておき。

    さておく事ではないのだろうが、

    今は、考えても仕方が無い。




    とにかくアリスには、

    心もそうだが、もっと自分の体も、大切にして欲しいものだ。



    それが、彼女の自尊心に繋がっているのだし。



    とりあえず今出来る事として、

    私はトーストとスープを、
    この小さな仕事人間に食べさせた。


    ひき肉、木綿豆腐、トマトなど冷蔵庫の残り物を、
    ニンニクとチキンブイヨンで煮立てた、
    簡単だけど、
    夏バテ防止に効果のあるスープ。




    同じ栄養食でもみそ汁にしなかったのは決して、

    和食が得意な加賀美所長の存在を気にしたからではない。




    決して。






    …多分。
引用返信/返信 削除キー/
■20325 / ResNo.32)  ALICE 【84】
□投稿者/ あおい志乃 ちょと常連(80回)-(2007/11/29(Thu) 04:32:36)
    濃紺のツーピースに着替えたアリスは、

    予想通り、外国の絵本から飛び出して来た少女のようで。

    ベッドの隅に腰掛けて、
    長く柔らかな髪を片方で三つ編みながら、

    ドレッサーの前でファンデーションを塗る私と、
    鏡越しに時折目を合わせる。



    メイク道具を一つも持参していなかった彼女は、
    私の物を借りて既に支度を整えていた。

    出勤メイクに費やした時間は、およそ3分。

    種類によっては即席麺さえ出来上がらない。


    それで、あの仕上がりか。
    土台が違うってか。


    やかましい。


    次にこっちを見たら、
    変な顔でもしてやろうかと構えていたが、

    アリスは携帯電話を耳に当て、
    何処かに電話を掛け始めた。



    「○×区、二丁目、…まで1台お願いします…」




    …タクシーで、出勤するのか。


    出勤の支度を始めた辺りから、
    考えてはいたのだ、私も。
    私の車に乗って、揃って出勤するのは、
    やはりまずいのだろうか、どうなのだろうかと。

    まずい、らしい。

    まずい、よなあ。


    所長は決して面倒な性格ではないけれど、
    アリスの事となると、彼女の冷静さはふとしたタイミングで失われてしまうから。

    多分、
    アリスが私の家に泊まったのを知ったところで、
    何も言わないだろうとは思う。

    自身の女癖の悪さが原因なのだし。

    けれど、
    面白くは、ないだろうな。





    “ 自分では気付いていないんだろうけど、ルイ子は、アリスを惹き付ける何かを持ってる ”



    アリスの裁判を初めて傍聴した日の帰りに、
    所長はそう言った。

    その言葉通り、私がまだ気付かないうちから、
    (正確に言えば、気付こうとしていなかったうちから)
    彼女は何かを感じていたのだ。


    私とアリスが互いの内に不思議なほど安らぎを見い出し始めている、
    この感じは、
    周囲から見ていても、薄々勘付けるものなのかもしれない。

    人によるとは思うが。


    少なくとも所長は早い段階で察知していたのだし、

    リリー辺りも、多分…。


    リリー、か。
    少し、彼女の意見を聞いてみたい気もするが。
    まあ、いずれ機会があればだな。


    なにはともあれ、
    私という人間はもしかすれば、
    所長にとって、脅威の存在だったりするのだろうか。




    同じ日に、

    “ あの夜(Qeen's Birthでの夜)にルイ子は私を打ちのめした ”

    というような事を所長に言われた時、
    それは誤解だと、勘違いだと、
    私は真っ向から否定したのだ。

    自分とアリスは、希薄な関係なのだと。




    それが、今となってはどうだろう。

    私は、アリスの母親の顔を知って、
    アリスの夢のガーデンと、現実の園に案内されて、


    “ こうやって、ただ抱き締めてくれる誰かを探していたのかもしれない ”

    “ ルーイと居る時も、私、凄く落ち着くんだけど ”


    そんな台詞をアリスから贈られたのも、
    それは紛れもなく私で。





    ほんのひと月ほど前の私は、心の中で悲観した。


    “ 十代の頃のアリスも知らなければ、
     同じタクシーで同じ屋根の下へ帰る事もなければ、
     寝起きにあくびをするアリスを見る事もない ”


    ―――確か、そんな風に。



    その絶望的な願望の一つが、
    何の前触れもなく実ったのは、
    ついっさっきの出来事。

    あまりに唐突で、だけど自然で、
    今までその事実に気付けなかった。
    それくらい、流れるように、まるで予め定められていたみたいに、
    私の願いは叶ったのだ。




    勿論私にしてみれば、
    ここまで来る間に、そして今だって、
    色々な不安や不満やジレンマと戦っていて、
    決して夢見心地な日々だとは感じていないのだが、

    これらの変化のスピードを、
    感情抜きに、客観的に考えてみると、
    確かにこれは、所長にとって脅威かもしれないと、

    思う。




    だからこそ、

    この変化をなるだけ悟られてはいけない。


    私は所長を敵だとは思っていないが、
    彼女からすれば、そうはいかないはずだから。

    恋人兼所有者である彼女に、
    物理的にアリスとの距離を引き伸ばす行動に出られては、
    私は打つ手が無い。



    アリスは、

    こんな事までは考えていないだろうが、

    少なくとも私とのこの穏やかな時間を、
    崩されたくないという気持ちがあった為に、

    別々に出勤する事を決めたのだろう。




    それは、

    素直に嬉しい。







    スライド式の携帯電話を畳み、

    アリスがベッドから腰を上げた。
引用返信/返信 削除キー/
■20338 / ResNo.33)  ALICE 【85】
□投稿者/ あおい志乃 ちょと常連(82回)-(2007/12/06(Thu) 03:59:15)
    「園にさ」



    サンダルのベルトを留める為に、
    前屈みになりながら、

    アリスが言った。




    「また、私を起こしに来て」




    玄関のフローリングの上がり框に立ちながら、
    腕を動かす度に布地に浮き上がるアリスの肩甲骨を見つめていた私は、


    その骨に唇を乗せたい衝動に駆られた。



    それは、アリスが初めて口にした、

    私への要求だった。



    私はそれを、

    アリスの心の窓の隙間、
    そこから流れ出た風に乗ってやって来た、

    言葉だと感じた。


    その窓が私に向かって開き掛けているのを、

    私は心の目で見た。




    「勿論。また、お弁当作っていくよ」

    「キャベツ抜きのね」


    立ち上がって笑い、

    アリスはドアレバーに手を掛けた。



    その時、私の中で閃くものがあった。



    「あっ、ちょっと待って」


    私は咄嗟に、傘立てから薄い水色の日傘を抜き取り、
    アリスに差し出した。


    「え?」 不思議そうな顔でアリスが顔を傾ける。


    「これ、持っていって」

    「ありがとう。でも私、焼けるの気にしないから」

    「これ、雨晴兼用」

    「今日は快晴よ」

    「知ってる、でも持っていって。そして今度、返しに来て。また、夜中にでも」




    虚をつかれたように、
    アリスは一瞬目を大きく開いた。

    そしてすぐに、
    切ないほど綺麗な笑みに顔を崩し、

    水色の入場券を、私の手から受け取り、言った。



    「星の降る夜に、差して来る。ありがとう」




    そんな、歌のような言葉を残し、

    アリスは扉の向こうに姿を消した。



    一人になった私は、


    アリスの最後の台詞が、
    流星の尾のように辺りに漂う幻を、


    立ちつくしたまま見つめていた。
引用返信/返信 削除キー/
■20405 / ResNo.34)  NO TITLE
□投稿者/ S 一般♪(1回)-(2007/12/15(Sat) 21:15:28)
    はじめまして
    作品を読みました!
    凄くおもしろくて,一気に読みました!!


    めちゃくちゃ応援してます。
    頑張ってください。わら

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■20432 / ResNo.35)  応援しています
□投稿者/ ミコ 一般♪(1回)-(2007/12/24(Mon) 00:50:43)
    しばらく更新がないので寂しいのですが、最後まで応援しています。ルイ子とアリス関係がどうなるのか気になって・・・。
引用返信/返信 削除キー/
■20549 / ResNo.36)  あおい志乃さんへ
□投稿者/ たまき 一般♪(1回)-(2008/02/05(Tue) 19:06:36)
    初めてまして,小説を読みました。

    文章がとてもきれいで読みだしてから止まりませんでした。

    これからも楽しみにしています!


    あと気になった事がありまして…
    ダイナさんっているんじゃないですか,その名前って「鏡の国のアリス」の中の猫の名前と何か関係しています?


    図々しくてすいません!


    無理をなさらず更新頑張ってください!

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■20550 / ResNo.37)  ◆ミコさんへ
□投稿者/ あおい志乃 一般♪(1回)-(2008/02/09(Sat) 00:20:42)
    こんにちは、コメントありがとうございます。
    来月が桜花の季節だなんて信じられないくらい、
    寒い毎日が続いています。
    それでも開花前線は必ずやって来るのですね。
    ピンクの花びらが散り始める頃には、
    私の生活にゆとりが出来そうですので、
    まとめて更新したいと思います。
    それまでにも余裕があれば少しずつ書き加えたいです。
引用返信/返信 削除キー/
■20553 / ResNo.38)  ◆Sさんへ
□投稿者/ あおい志乃 一般♪(5回)-(2008/02/09(Sat) 00:24:50)
    応援のメッセージをありがとうございます。
    嬉しいです。
    完結までにはまだまだ時間が掛かりそうですが、
    お付き合い頂ければ幸いです。

引用返信/返信 削除キー/
■20554 / ResNo.39)  ◆たまきさんへ
□投稿者/ あおい志乃 一般♪(6回)-(2008/02/09(Sat) 00:31:54)
    はじめまして、こんにちは。

    実は、ダイナだけでなく、
    “ALICE”に登場する人物の名、
    またその他の固有名詞は全て、
    『不思議の国の・・・』と何らかの繋がりがあるのです。
    分かり易いものもあれば、捻りを加えてあるものも。あります。
    ただのちょっとした遊び心なんですけどね。
    最後まで指摘が無ければ、
    完結した時にさりげなく明かそうかな、と思っていたのですが。
    気付いて頂けて嬉しいです。
引用返信/返信 削除キー/

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