ビアンエッセイ♪

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■20225 / ResNo.10)  スマイル様
  
□投稿者/ 琉 常連♪(103回)-(2007/10/22(Mon) 20:14:22)
    こんばんは。いつも応援してくださり、ありがとうございます。
    ようやく、次章に進むことができました。
    これから第二章、第三章…第六章って続いていくことを考えると…
    やっぱり長いですね、この話。
    当初の計画では、春夏秋冬を起承転結みたいに展開したいと思っていたのですが、
    書きたい事柄がまとまらなくて、四季では収まらなくなりまして…
    本当は現実の季節感にリンクできれば理想的だったのですが、
    世の中うまくいかないことも多いです。
    まあ、そのような感じでこれからもゆるやかに更新していきますので、
    よろしくお願いします。
引用返信/返信 削除キー/
■20238 / ResNo.11)  第二章 あじさいもよう (7)
□投稿者/ 琉 常連♪(104回)-(2007/10/27(Sat) 08:32:21)
    翌日の朝、和沙は校門に入ってすぐのところで希実に呼び止められた。
    「おっはよ〜う!…あれっ?どうしたの、その傘?」
    大きく手を振って、満面の笑みで近づいてくる彼女を誰が無視できようか…
    「…おはよう」
    風邪でもひいた?なんて見当違いな心配をしてくれている希実の目線は、
    さりげなく傘の辺りをいったりきたり。

    …やっぱり、誤魔化せないか

    「ああ、これ?」
    昨日から一転して、今朝は気象予報士もびっくりの快晴である。
    和沙の母も溜まった洗濯物が片づくと言って喜んでいた。
    そういうわけで自分の傘を使わずに済んだ和沙は、
    今日は借りた傘を持参するだけで事足りる。
    和沙が普段愛用しているビニール傘と違って、真澄の傘は目立つのだ。
    外観や造形というより、それを差してみてしっくりとくる感じが。

    …何かが違う。

    貫禄とはまた違った、小手先のような微妙な感覚だ。
    だから、希実でなくとも真澄がそれを使用しているところを
    見たことがある人には分かってしまう。
    先ほどから他の生徒が追い越す度に振り返るのは、そのせいだろう。
    和沙はそういう思惑を含めて、態度を一変したのだ。

    「それって…」
    「うん、そう。真澄先輩の」
    早めに自己申告。
    和沙は早口でまくし立てた。
    ちなみに、和沙たち候補生の一年も、最近は役員の呼び名が変わってきた。
    きっかけは斎だったか杏奈だったかが、
    下の名前+先輩を要求してきたから…のはずだ。
    名字だと堅苦しいとか他人行儀みたいとか、
    はたまたお近づきのしるしにとか理由はいろいろのようだ。

    「どうして、和沙が真澄先輩の傘を…?」
    おっと。
    まだ会話の最中だった。
    というか、希実はいよいよ核心に迫る質問をぶつけてきた。
    今までの前フリは全て序章に過ぎない。
    これからする話の内容によっては、今後の学園生活が大きく変わる…
    和沙はそんな気がしていた。
    「う、うん。ちょっと…借りちゃった。
    昨日、傘を持たずに下校しようとしたら…さ」
    嘘は言っていないけど、本当はもっと複雑だ。
    だけど、実際にあったことをイチイチ詳細に話していたら、
    始業時間になってしまう。

    さて…

    どうでる?どうくる?
    話し相手の反応がこれほどまでに気になるというのは、
    和沙のこれまでの経験上とても稀なことだ。
    しかしながら、案外こういう時に限ってその相手は
    気にも留めなかったりするわけで…
    「ふ〜ん。そうなんだ…」
    希実同様、それまで足を止めてこちらの様子を伺っていた生徒たちは、
    なんだ…といった素振りをしながら再び目指す校舎の方向へと歩き出した。

    「そんなことよりさ…」
    内心は落ち着いてはいられなかったほどの告白を
    そんなこと呼ばわりされたことに軽く傷つきつつ、
    和沙は希実の次の言葉を待った。
    「そろそろ中間テストの範囲が発表される頃だよね」

    中間テスト…

    そうだった。
    再来週には、いよいよ高校入学してから最初の中間テストが行なわれる。
    百合園高校は、夏季講習を含めると八月初旬まで授業があるため、
    中間試験はわりと遅めの六月中旬になる。
    ただ、一年生は高校に入学してからまだ間もないということもあり、
    授業内容があまり進んでいなければ範囲も少ない。
    実質、高校受験の応用問題が大部分を占める。
    つまりは、特待生である和沙の真価を発揮する絶好のチャンスなわけで、
    いやがうえにも気合が入るのだった。
    本当に、真澄の傘の言い訳など、そんなことである。
    優等生の最重要行事であるといっても良い中間・期末の試験の前には、
    先ほどの悩みなんて霞んでしまう。
    和沙は自らの靴箱の蓋を勢いよく開け、思いっきり上履きを取り出した。

    パサ…

    「…ん?」
    ふと、床に落ちている一枚の紙切れが眼に入る。

    …何、コレ?

    持ち上げて至近距離で見ると、何やら真っ白な封筒のようだと判明する。
    推測するに…今さっき和沙が靴箱を開けたことにより飛び出したわけだから、
    この手紙は自分の靴箱に入っていたのだろうということは理解できるが。
    糊どめされている部分を開くと、中からは一枚の便箋が出てきた。

    『昼休み 多目的教室』

    宛名も差出人の名前も書いていないその手紙には、
    封筒と同じく真っ白な便箋に映えるように真っ黒な字で
    はっきりとこう書かれていた。
引用返信/返信 削除キー/
■20299 / ResNo.12)  第二章 あじさいもよう (8)
□投稿者/ 琉 常連♪(105回)-(2007/11/18(Sun) 00:25:10)
    「どうした?」

    ふと、背後から肩を叩かれたような感覚があった。
    何事かと思いそちらを振り返ると、希実が心配したような顔で立っている。

    「へっ?…ああ、何でもないよ」
    和沙は手紙を胸元に押し当て、希実の死角になるように慌てて隠した。

    …いけない、いけない

    こんな人通りの多い朝の靴箱で立ち止まったりしたら、不審に思われてしまう。
    現に、希実は何事かと訝しげな顔を崩していない。
    「何かあったの?」
    「別に〜?希実こそどうしたの?」
    疑問系には疑問系で。
    和沙が焦って何かを隠そうとする時、本能的にとってしまう行動だった。
    「さっ、教室へ行こう」
    両手で肩を押しながら、希実を近づけさせないという荒業をしてまで、
    和沙は無理やり彼女を遠のけた。
    希実は心配性だから…
    特に、和沙のこととなると見境がなくなる。
    友達を思っていろいろおせっかいしてくれるのは、正直嬉しい。
    けれど、だからこそ今回は彼女の手を煩わせたくないのだ。

    授業が始まってからも、和沙は時々例の紙を取り出しては考え事をしていた。
    あまりにも不可解な内容。
    はっきりいって、未だこれが何を意味しているのか
    和沙には伝わらなかった。
    昼休みと多目的教室って…
    主語と述語と目的語が抜けている。
    これじゃ、大抵の文章は成り立たない。
    このメッセージはここで何かがあるというのか、
    それとも来いと呼び出しを要求しているのか、
    はたまた間違って投函されたか。
    新手のラブレターにしては斬新すぎる。
    というか、ラブレターだったらまだどんなに良いか。
    少なくとも…そこに好意はあるのだから。
    問題はこれが悪意を含んだ嫌がらせだった場合だ。
    その確率は決して低くないが、
    それにしてはあからさまな嫌味を感じない。

    ラブレターって…

    自分で考えたものの、和沙は途端に可笑しくなってしまった。
    ここは女子校で、今は平成だ。
    これだけ女生徒だけで溢れかえっている中で、
    これだけメールやらチャットやらが発達している中で、
    誰が自分になど恋文を出すというのだ。
    とにかく、ラブレターどうかは置いておいて、
    もしもこれが間違いなく自分宛で、
    おまけに用があってのものだった場合を考えて、
    和沙はとりあえず昼休みに所定の場所に向かうことにした。

    キーンコーン…

    授業が終わるチャイムが鳴る。
    決戦の時は、もう近い。
    和沙はおもむろに立ち上がり、誰にも気づかれないよう
    教室の後方ドアからそっと出ていった。
引用返信/返信 削除キー/
■20300 / ResNo.13)  NO TITLE
□投稿者/ のん 一般♪(1回)-(2007/11/18(Sun) 02:49:21)
    更新されてる!続きが気になります 体調に気を付けて、頑張ってください。

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■20307 / ResNo.14)  のんさま
□投稿者/ 琉 常連♪(106回)-(2007/11/21(Wed) 19:59:47)
    こんばんは。
    そして、またまた嬉しいお便りをありがとうございます。

    最近、寒くなりましたよね。
    私の部屋も毛布をだしたり、コートを用意したりと
    やっと冬支度らしいことを始めました。
    この時期になってくると、街中がイルミネーションに
    彩られている風景をよく目にします。
    そうすると、ついつい後々の章について考えてしまうのですが…
    まずは二章を完結させなければ、ですね。
    ちなみに、この物語では、第五章にクリスマスの
    お話を書きたいと思っています。
    それに辿り着くのが一年後になってしまったら、すみません。

    長くなりましたが、のん様も風邪をひくことがなきよう、
    今後ともよろしくお願いします。
引用返信/返信 削除キー/
■20308 / ResNo.15)  第二章 あじさいもよう (9)
□投稿者/ 琉 常連♪(107回)-(2007/11/21(Wed) 20:09:19)
    2007/11/21(Wed) 21:12:00 編集(投稿者)
    2007/11/21(Wed) 21:11:40 編集(投稿者)

    多目的教室の中は薄暗かった。
    入学してから三ヶ月も経つと、新入生も校内にある施設の位置を
    覚えてくるものだが、和沙は未だにこの部屋には入ったことがなかった。

    パチ…
    とりあえず、暗いままというのも何なので、電気をつけてみる。
    蛍光灯によって照らされると、なるほど結構広い部屋なのだと確認できた。
    おそらく、五十畳ほどはあるだろうか。
    給湯室の部分も合わせると、生徒会室とさほど変わらないだろう。
    ここは確か…演劇部や放送委員会、各種同好会が交代で使っているという話だ。
    先月の予算編成をまとめる作業を手伝った際に、
    生徒会役員の誰かが言っていた。
    ちなみに、百合園高校の部活動にはそれぞれ活動に必要な最低限の
    スペースは与えられている。
    並大抵では払えない学費がかかる学校なのだから、
    当然といえば当たり前のことなんだけど。
    いつだったか、役員に連れられてインターハイで毎年上位を獲っている
    新体操部の部室を覗いてみると、この部屋の数倍はあった。
    実際の練習は別に第三体育館を貸しきって行なうというのに、だ。
    大所帯の部活になると、それだけ活動場所も予算も規模が大きくなるというワケだ。
    けれど、小規模な部活、細々と活動する委員会にだって、
    普通の学校でいえば充分すぎるほどのスペースは確保してもらえる。
    演劇部や放送委員会はもちろん、同好会だって独自の部屋を所有しているのだ。
    だから、この多目的教室を借りるのは、大半が一年生。
    部活がない日でも熱心に練習している先輩を邪魔しないように、
    または一日でも早く彼女たちに追いつくようにと、
    いつの時代からか下級生はここで集まりを持つようになった。
    台本のような冊子が机の上に忘れられていることから、
    昨日ここを借りたのは演劇部だろうか。
    でも、中をめくると漫画の下書きのような絵が書かれているから、
    最近できたコミック同好会の可能性もある。
    百合園高校で最も大きいクラブ棟に、さらに新しく別館が建設される話が
    持ち上がっているのは、きっと彼女たちの努力の賜物なのかもしれない。

    来ない…か

    左手の腕時計を見ると、ここへ来てからすでに十五分は過ぎていることが分かる。
    昼休みは五十分しかないのだから、いくら他人と面会する機会を捻出するといっても
    割ける時間には限度がある。
    おまけに、今日はお弁当も食べないで教室を飛び出してきた。
    成長期は…もう終わってしまったかもしれないが、今は食べ盛り。
    大食い女王の異名を持つ希実でなくとも、
    ランチ抜きで午後の体育をこなすのはキツイ。
    これはもう、勘違いだったことを認めて早々と引き返した方が良さそうだ。
    そう思って、電気を消そうと再び押そうとした時…
    急に出入り口の扉が開いた。

    ガチャッ…

    突然のことだったので、和沙はビクッと身体を震わせた。
    「あ…」
    ドアノブを握っていた少女が最初に呟いたのは、それだけだった。
    「あ、どうも」
    とっさに挨拶をしてしまうところは、普段の性格がでる。
    何がどうもなのか、和沙は自分でも分からなかったが、
    とりあえず今は彼女の反応を待つことにした。
    果たして、彼女があの手紙を投函した張本人なのか。
    どこかで見たことがある顔のような、ない顔のような…
    あるとしても校内ですれ違ったとかその程度のものだ。
    そんな相手ではあるが。

    「あれ?…ないっ!」
    どうもキョロキョロして落ち着かないと思ったら、
    彼女はどうやら先ほど和沙が見つけ拾った
    台本のような冊子を探しているらしかった。
    机の棚を漁ってみたり、眼を凝らして椅子の下ばかりを
    見ていたらひょっとしたら…と考えるのが筋だろう。
    「あのう、もしかして…」
    「あっ…それ」
    和沙が声をかけるのとほぼ同じくらいのタイミングで、
    彼女はようやく和沙の手元に気づいた。
    放課後にでも生徒会室に持っていって、
    落し物倉庫で管理しようかと思案していた和沙としても
    持ち主が見つかってくれたことで手間が省けて助かる。

    「これ、そこのテーブルに置かれてました」
    ちょうど良かったとばかりに彼女に近づこうとした途端、
    突如和沙の身体は宙に舞い上がった。
引用返信/返信 削除キー/
■20312 / ResNo.16)  NO TITLE
□投稿者/ のん 一般♪(2回)-(2007/11/22(Thu) 06:20:34)
    長いお返事、ありがとうございます。
    最近、本当に寒くなりましたよね。私の住んでいるところは、もう雪が降りました。
    第五章のお話、楽しみにしています。
    琉様のペースで、頑張ってください(^0^)/

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■20345 / ResNo.17)  NO TITLE
□投稿者/ スマイル 一般♪(1回)-(2007/12/08(Sat) 12:32:26)
    琉サン
    だいぶ寒くなってきましたねぇ(*_*)
    風邪などに気をつけて、投稿ほう頑張って下さい!
    応援しますね(^0^)/

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■20406 / ResNo.18)  のん様
□投稿者/ 琉 常連♪(108回)-(2007/12/15(Sat) 23:29:25)
    こんばんは。お返事ありがとうございます。
    そして、更新が遅れてしまい、すみません。

    和沙が宙に浮いた状態で約一ヶ月…
    やっとのことでその続きを明らかにできました(笑)
    この『色恋沙汰』シリーズは、各章を季節別に綴っているわけですが、
    実はその全てに裏テーマがあったりします。
    第2章の場合は…秘密です(ごめんなさい)
    そのうち明らかにできればと思います。

    余談ですが、最近友人と我が家で鍋をしました。
    鍋料理って、私は毎日でも飽きません。
    のん様がお住まいのところは、もう雪が降っているとのことですが、
    そういう中で食べる鍋はまた格別なんだろうな…
    美味しいものをいっぱい食べて、風邪知らずで冬を越せたら良いですよね。
    それでは、またできるだけ近いうちに更新します!
引用返信/返信 削除キー/
■20407 / ResNo.19)  スマイルさま
□投稿者/ 琉 常連♪(109回)-(2007/12/15(Sat) 23:32:50)
    こんにちは。レス、どうもありがとうございます。
    更新が遅くなってごめんなさい。
    私は寒いのは嫌いじゃないんですけど、
    この頃の冷え込みで、毎朝起きるのがツライです。

    物語の方は、ようやく進めることができました。
    …今回、正直表現などの問題でいつもよりも反応が怖いです。
    ただ、私は何か伝えたいメッセージ性を決めてから話を書くタイプなので、
    その辺をご理解いただければと思います。
    さて、これから年末にかけてますます忙しくなるので苦しいですが、
    年内にあと一回は更新したいと考えています。

    長編なので、膨大な時間を要しどうしてものんびりな執筆になりますが、
    全六章、責任を持って仕上げますので、今後もよろしくお願いします。
引用返信/返信 削除キー/

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