ビアンエッセイ♪

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■20384 / ResNo.10)   生徒売買 11
  
□投稿者/ 優美 一般♪(11回)-(2007/12/14(Fri) 06:23:03)
    2007/12/14(Fri) 10:46:08 編集(投稿者)

    だんだんとお酒が回ってきたのか、話題は夏輝の話になっていった。
    エリナがゆるゆるとした口調で玄関先でした話題を振りなおす。

    『だからね、そろそろ決めちゃいなって♪』

    「だから何を?」
    酒に強い棗はさっきの事が気になっている様子でエリナに
    説明を求めた。

    『バカなつめ!』

    焦ったように夏輝が棗を制すが、エリナはお構いなしに話を続けた。

    『ほらほら♪棗ちゃんも知りたがってるようだし〜。
    どうせいつかはバレるんだから早いほうがいいって♪』

    すっかり出来上がっているクラスメイトは皆今か今かとエリナが話すのを
    待っている様子だ。

    「もう、もったいぶらないで教えて」

    ぷくっと頬を膨らますと、みんなが一斉に「「かわいい〜〜〜!!」」
    と声を出した

    びっくりしていると、夏輝が困ったような顔をして棗を見た。

    「何なの?どうしたの夏輝?」

    『ハイハイ、前置き長くてごめんね棗ちゃん♪
    今から大事な事話すからよ〜〜〜〜く聞いてね。』

    夏輝も気になるが、きっとこの話を聞けば夏輝のこの表情の意味も
    分かるだろうと思い、エリナの方を向きなおした。

    『いい?この学校ではみんなそれぞれパートナーを見つけるのよ。
    たとえばあたしのパートナーは、この純奈。』

    そう言うとエリナは同じくらい気が強そうで派手な純奈を自分に
    寄り添わせた。
    純奈はそれが普通というようにエリナに寄り添い、なおかつエリナにキスをした。


    「・・・・・・!?」


    『あれ?いきなりすぎた?』

    『もー、エリナはいつも急なんだから。』

    当たり前の光景のようにクラスメイトは笑っている。

    笑ってないのは呆然とする棗と、気まずそうにその
    光景を見ている夏輝だけ。


    『え〜〜。っと言うように、この学園はこういうもんなの。
    パートナーを見付けて付き合って、1人よりもより良い環境を作り出すのよ。お互い助け合えるしね♪
    普通の女子高でもありえる光景が増加しただけだと思うけど。』

    あっさり言うエリナに反抗するように棗が反論する

    「増加しただけって・・・・、えっ、だってみんながみんな
    そう言う関係になるとは限らないんじゃ・・・」

    『もちろん、中にはそうならない子もいるけど、大半がそうよ。
    ていうかそうなっちゃう』

    「え?え?なんで?」

    疑問で頭がいっぱいになりそうだ。

    『なんでかは分かんないけど、結婚なんてしなくても家業ついで、生きていける環境に私たちはいるからじゃない?』

    「お…男は好きじゃないの?」

    恐る恐る聞くと、またしてもあっさり答えが返ってきた

    『嫌いじゃないけど好きでもないかな?』


    今まで普通に生きてきた棗にはその辺の感情にはついて行け無かったが、
    なんとなく彼女たちがそうなっちゃう理由は分かる。

    なにしろ、この女子高に「平均・平凡」なんて顔が一人もいないから。

    それぞれタイプは違っても、みんな個人の可愛らしさや美しさをもっていた。
    あー・・・。だからお金があっても入れない生徒が存在するんだ。


    棗は唐突にそう理解した。
    この学園の羨まれる理由の一つ『選ばれた者しか入れない』
    とはこのことだ。

    入れないんじゃなくて、「いれない」

    性欲強い傲慢女が考えそうな理屈だ・・・。
    と、棗はしみじみそう思った。
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■20385 / ResNo.11)   生徒売買 12
□投稿者/ 優美 一般♪(12回)-(2007/12/14(Fri) 07:58:31)
    棗がぼんやりと自己解決を頭で進めていると、
    突然夏輝が立ち上がった。
    『ごめん、あたし帰るね・・・』

    「え?!待って夏輝!」
    夏輝を追おうと立ち上がろうとする棗をエリナが制した。

    華奢な腕からは考えられないような力で、立ち上がりかけた棗の足が
    再び絨毯に座り込む。

    「何で止めるの?追わなきゃ!」

    焦る棗をエリナは静かに説得する。

    『ここで追うのは簡単よ?けど、追い詰められてる夏輝が
    棗チャンをパートナーにしたいって切り出したらどうするの?』

    その問いに棗は固まった。

    「けど・・・そんな・・。会って一日も経たないのに人を好きになんて・・・」

    困ったように棗の顔が歪む。


    『好きっていう感情に早いも遅いもないいんだからね』

    エリナのその言葉に、純奈もうなずく。

    『そうだよ♪あたしとエリナだって入学式で告て付き合ったんだから♪』

    くすくすとまたエリナにキスをする純奈。

    『あたし達の学校はクラス替えなんてないからさ。この二年間夏輝を
    見てきたからよく分かるんだ。あの子、今までどんな美人に告白されても顔色ひとつ変えずに振ってきた。
    自分から誰かに近寄ろうなんてしなかった。』

    「だからって・・・夏輝があたしを好きなんて証拠は・・・」

    『だったら夏輝を追いかけな・・・ってか、棗ちゃんの隣人なんだけどね。』

    「・・・・・・」

    『少しも気持ちが無いなら行かなきゃいい。また明日何事も無かったように夏輝に接したらいい。
    夏輝がパートナーの話を切り出しても構わないなら、いきな』


    エリナの言葉に棗は立ち上がった。

    『パートナー・・・誕生かな?』

    みんなの嬉しそうな声が棗の部屋に響いた。







    (・・・・てか。夏輝の部屋とおい!)

    いくら隣同士と言っても、入り口は端と端にあるのだ。
    エレベーターはその二つの扉の目の前。
    同じくらいに出ても顔を合わせなかった事に納得した。

    パタパタとホテルのような廊下を走っていると、目の前から人影が歩いてきた。

    「夏輝?!」

    そう思って駆け寄ると、まったくの別人だった。
    顔立ちは夏輝と同じくらいずば抜けて綺麗だけど、
    髪は綺麗に巻かれてパッと見はギャル。


    人違いで駆け寄った事に多少恥ずかしがりながら、棗はその人物を素通り
    しようとした。

    しかし、思いがけないことにその人物から声をかけられた。

    『浅川棗ちゃんでしょ?』

    外見からは発せられなさそうな丁寧な感じの言葉に思わず素通り
    しかけた足が止まる。

    「え?なんで名前・・・」

    呆気に取られている棗に彼女は人なつっこい笑顔を見せる。

    『なんで、って。同じクラスだから』

    「あ・・・ごめん。教室広くて全員の顔見てないから・・・」

    申し訳なさそうに棗が言うと、彼女は首を横に振って許した。

    『いいって、あたしも入学したばっかの時は半年くらいみんなの顔と
    名前が一致しなかったもん♪よろしくね、あたし澄乃真琴っていうの。』

    屈託の無い笑顔にほんわかした気持ちになる。

    「うん♪よろしくね真琴ちゃん。
    あ、っと・・。ごめん、ちょっと急いでるんだ。行かなきゃ」

    夏輝の所に急ごうとすると、真琴は棗を止めた

    『夏輝のとこに行くんでしょ?』

    「え?」

    『あたし今夏輝に用があってこの階きたんだけど。
    夏輝から棗ちゃんに伝言頼まれて。』

    夏輝からの伝言という言葉に、前へ出ようとしていた脚が
    再び踏みとどまる。

    「な・・なんて言ってたの?」

    『んーとね、やっぱり近くにはいれないって。ケンカでもしたの?』


    真琴の言葉に棗は言葉を無くした。

    「え・・・・いや・。そっか・・・」

    『何か知らないけど相談なら乗るから。ケンカしたならちゃんと仲直り
    するんだよ♪』


    「うん、わざわざごめんね、ありがとう。」

    棗は精一杯がんばって笑顔を作った。

    『うん、じゃあまた明日ね。ばいばい♪』


    真琴と別れた後、棗はいい様の無い気持ちに襲われた。

    やっと素直に自分が出せる人に出会い、
    その人から好意を寄せられても

    自分が求めたときには遅かった

    過去の記憶と今の寂しさで、棗の瞳からは勝手に涙があふれてきた


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■20386 / ResNo.12)   生徒売買 13
□投稿者/ 優美 一般♪(13回)-(2007/12/14(Fri) 08:31:36)
    翌朝、夏輝と初めて出会った駐車場に棗は立っていた。

    「近くには居れないか・・・・」
    そこに一台の車が入って来た。
    考えるまでも無くそれは夏輝の車だ。


    この駐車場を使うのは自分と夏輝と学長。
    学長は棗達の登校より一時間早く来る分、必然的にそれは夏輝の車を
    示していた。

    棗は慌てて立ち止まっていた足を入り口に向かわせる。


    『棗!!』

    あの天使のような可愛い笑顔が棗に向けられた。

    思わず振り返って言葉を交わしてしまいそうだ。



    『近くには居れない』

    真琴から聞いた言葉が胸にのしかかる。


    棗は夏輝の呼びかけに気付かなかったふりをして入り口に入っていった。

    入ったとたんに夏輝に追いつかれないようダッシュした。
    自分がどんなにガキっぽい事をしてるか十分に分かっている。

    けれど、突き放すような言葉を言って次の日普通に話しかける
    夏輝が許せなかった。



    教室に着いた棗は、夏輝の席に置いてあった自分の教材を前にある自分の
    席へと移動させた。

    そこに夏輝が急いで入って来た。

    『何で避けるの?!まだ棗はパソコンのやり方とかわかんないじゃん!』

    切なそうな夏輝の顔が可愛くて愛しくて堪らなかった

    「じゃあ何で昨日・・・!」

    『あたしが教えてあげる♪』

    真琴から聞いた言葉を夏輝に問いただそうとすると、真琴がその言葉をさえぎった


    『真琴・・・・』

    夏輝の顔が歪む。

    『棗ちゃんのお世話はあたしがするから♪
    棗ちゃんそれでいい?』

    「・・・・・うん」

    夏輝に背を向けて棗は真琴の席に移動した。


    『棗・・・なんで?』

    「自分がいらないって言ったんじゃん」

    『何それ・・・・?』

    夏輝が言おうとした瞬間に始業開始のチャイムが鳴った。


    《ハイハイ、みなさん席に着きなさいね!浅川夏輝さん!着席!》


    嫌な空気が教室に流れた。
    昨日歓迎会をしたクラスメイトやエリナ達が不安そうに二人を見詰めていた。


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■20387 / ResNo.13)   生徒売買 14
□投稿者/ 優美 一般♪(14回)-(2007/12/14(Fri) 10:13:21)
    『棗、次は体育だから一緒に行こうよ♪』

    真琴が授業が終わると同時に棗に話し掛ける。
    すぐに棗に話かけようとしていた夏輝が気遅れる。

    棗も夏輝の言いかけた言葉が気になったが、真琴がぐいぐいと引っ張るので
    話すきっかけが無かった。

    体育館に移動途中、真琴が急に立ち止まった。
    「どうしたの?」

    『ごめん棗ちゃん・・・。あたし生徒会室に呼ばれてるんだった・・。』

    申し訳なさそうに真琴が手を合わせる。
    「え?いいよ全然。良かったら一緒に付いて行こうか?」

    棗がそう言うと、真琴は笑顔になるが、話が長引いて棗を遅刻させたら悪いと
    断った。


    真琴と別れた後、棗は一人で体育館に向かっていた。

    (さっき・・・夏輝は何か言おうとしてた・・・
    もしかしたら真琴ちゃんに変な風に伝わっちゃたのかもしれない。)

    前向きに考えた棗は急に気持ちが軽くなり、夏輝に真実を聞こうと
    体育館へと急いだ。


    「ん〜〜〜〜。学園図によるとここの階段下りればいいはず・・・」

    あっさりと棗は迷っていた。
    始業チャイムは5分程前になり終わっていた。


    「こんな事なら休み時間中に誰かに聞けばよかったな・・・」

    後悔しながらも学園図とにらみ合い、なんとか体育館がある塔までたどり着いた。

    ほっと安堵した瞬間、後ろに人の気配が感じられた。

    「誰?!」

    振り向いたと同時に急激な眩暈と痛みが棗を襲う。











    (ん・・・・・あれ・・・?ここ何処だろ・・)

    まだ多少ふらつく体を必死に起き上がらせる
    それと同時に腹部に強い痛みが走った。
    「いたっ・・・・」

    シャツをまくると、そこには殴られたようなアザが出来ていた。

    「誰よ、こんな事するの・・・。」

    段々と怒りが込み上げてくるが、真っ暗な部屋のせいで視界が悪い。
    仕方なく手探りで出口を探すが見当たらない。

    変わりに棗の瞳には人影が写った。

    「っ・・・・誰?!」

    怒りに抑えられていた恐怖が、暗闇のせいで再び甦る。

    『誰・・・?って名乗った所で転校したばかりのあなたに解らない
    んだから無駄でしょ?』

    人影は嘲笑うかのような声で棗を見下ろした。
    「うっさい!卑怯者!変態!」

    棗は腹の痛みを堪えて立ち上がろうとする。
    しかし、先ほどの棗の悪口に気を悪くしたのか、人影は起き上がろうとする
    棗の上に覆い被さった。

    「何するの?!離せ!」

    『口が悪いのね、コレだから貧乏人は・・・。』

    はぁ・・と短い溜め息をしてからすごい勢いで棗の手首をひねり上げる。
    「いっ・・・・!!!痛い!!やめて!」


    痛がる棗に構わず、人影は素早く棗の両手首を後ろ手に縛り上げた。
    そして黒い布を取り出すと、暴れる棗を押さえつけて目隠しをする。


    「ちょっと・・・!離しなさいよ!」
    そう言って再び暴れようとした棗だったが、冷たい感触が太腿に伝わり
    体が固まった。

    『ふふ・・・さすがね♪昔使ってたでしょ?』

    ピタピタと棗の太腿にナイフを叩きつける。
    「そんな物使わなかったわよ・・・。」


    『あら、意外に強いのね♪』


    そう言って人影の気配が一瞬遠ざかる。
    すると、目隠し越しでも分かるくらいの明かりが灯された。

    『いつまでも暗いままじゃ私が物たりないんだから♪』



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■20389 / ResNo.14)  生徒売買15
□投稿者/ 優美 一般♪(15回)-(2007/12/14(Fri) 12:28:38)
    明かりを付けられたことで、布越しだが人影の動きはある程度分かる。

    棗は人影が動く度に視線をずらして気配に集中した。

    『クックッ…。そんなに緊張しないでよ。』

    楽しそうな声を出すが、棗からしたらそんな風に楽しまれても気持ち悪いだけだった。


    「あんたねぇ!こんな事して何が楽しいのよ!」

    恐怖と緊張を抑えて必死に人影に反抗する。

    『可愛い♪まだ強がり言っちゃって。それと、あんた何て呼び方嫌いだわ。私には澪華(れいか)って名前があるんだから』

    すると、いつの間にか澪華は棗の後ろに回り込んで縄に短い鎖を付けた。


    「っ………!ちょっと!こんな事して!」


    ガチャガチャと鎖を鳴らす棗の太ももに、再びナイフがあてがわれた。


    『いい加減うるさいのよあなた。』


    さっきまでの柔らかな口調とは変わり、一気に冷酷な口調に棗は緊張する



    『ククッ……。それでいいのよ棗ちゃん♪』


    冷たい刃物が棗の太ももからスカートまでゆっくりと滑らされる。


    『動いたら綺麗な肌に傷がつくから抵抗なんかしないでね♪あなたに傷つけたら損害賠償請求されちゃうもの』


    「損害……賠償?」


    『あら知らない?あなた売られたのよ』


    「なっ…?!そんな事あるわけ無い!あたしは誰の物でも無い!」


    『本当に?』




    ――――あなた達は私の所有物――――――



    「……あ…………」


    信じがたい事実を受け入れられない棗は混乱した


    『あなたが学園長の物だなんて誰が見ても分かるわよ。そんな綺麗な顔を学園長が黙って野放しにするわけないもの』


    皮肉混じった声で澪華は呟き、棗のシャツを一気に引き裂いた。


    「きゃあー!!」

    棗の悲鳴が部屋に響くが、誰1人として助けに来る気配は無かった。


    『何しろ三時間で五千万だからね。あんた学園長に相当いい思いさせてるわ』



    言うと同時に、棗の服が引き裂かれていった

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■20391 / ResNo.15)  おもしろい
□投稿者/ Kaoru 一般♪(2回)-(2007/12/14(Fri) 21:39:01)
    続きが気になります(´∀`)また更新して下さいね!

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■20394 / ResNo.16)   生徒売買16
□投稿者/ 優実 一般♪(1回)-(2007/12/15(Sat) 01:55:37)
    蛍光灯の光の中、棗の美しい肌が妖しく光る。
    『本当に綺麗・・・あなたが学長の物でなかったらどんなに良かったか・・・』

    うっとりするように澪華が呟く。
    「体は学長の物でも、あたしは心なであげたつもりは無いわ!」

    誠意一杯の言葉を言うが,棗の肌に夢中な澪華には聞こえていないようだ。

    『さてと・・・いつまでもあなたの肌に触れて喜んでる場合じゃ無いわね。』

    そう言うと澪華は棗の目隠し越しに唇を這わせた。
    目隠しをしている棗は、次に何をされるか判らない恐怖で身を硬くした。

    『怖いの?大丈夫よ。痛いことなんてしないから。』

    「こんな事して!後でどうなるか知らないから!」

    短い鎖のせいで全く身動きが取れないが、棗は身をよじり誠意一杯の抵抗を示す

    『あははは♪そんなの出来る訳無いじゃない』

    棗の言葉を嘲笑う。

    「澪華なんてこの学校で探せばすぐ分かるわ!例え同姓同名でもあんたの声は忘れない!」

    『これが偽名なら?』

    冷たい笑い声が棗の耳に障る。

    『人の記憶なんて曖昧なものよ。あなた、転校してたった二日でしょ?
    どれだけの人間に接した?顔、声、名前、一致する人なんてほんのわずかでしょ
    例えばその人間が意図的に声を変えていたら・・・・あなた分かるの?』


    「そんな・・・・」

    分かる訳ない・・・。

    嫌な汗が出てきた。
    この人物がわざわざそんな事を言うって事は
    自分の近くにいた人間の仕業であると言っている様なものだ。

    『残りの時間、たっぷり楽しませてもらうわ。』

    くく・・・っと笑い、澪華は棗の首筋に吸い付いた。

    「いやーーーーーーー!!!!!」













    棗の体から澪華が離れる。
    『ふふ♪嫌がりながらよくこんなに濡らしたものね。
    所詮あんたは商品なんだから。相手にされてるうちが華よ』

    汚れた口元と、指先を拭きながら言う。

    『それと、馬鹿な事考えないでね。あなたの卑猥な映像が誰かに見られちゃうかもよ♪』


    そう言うと澪華は隠してあったビデオ取り出し、扉を開けて出て行った。
    バタンと重い扉が閉まり、長い時間堪えていた涙が溢れ出した

    「う・・・・ぁ・・・ああ・・・!」

    棗の精神は引き裂かれた服と同様にボロボロだった。





    澪華が廊下を歩いていると、前から学長が歩いてきた。

    『どうだった?最高の体でしょ?』

    くすくすと笑いながら意見を求める学長に、嫌気がさしたような笑いを浮かべて
    澪華は小切手を手渡す。

    『ええ、本当に。私が欲しいものを無意識に手に入れるあの女・・・私が欲しいのは棗じゃない。分かってるでしょ?』

    イライラした口調で言うと、学長は手のひらを差し出した。

    『何よ・・・。金なら払ったでしょ?!』

    『ビデオテープ♪その行為は私にとって好ましくない事よ。』

    『あんたまさか・・・』



    監視カメラがあの部屋には設置されていた。
    学長にあの部屋を使うよう指示された時から怪しいとは感じていたが。

    『抜け目無いわね・・・さすが学長さんね』

    嫌味をこめてテープを差し出すと、学長は満足そうに微笑んだ。

    『あなたもね、澪華さん・・・・いえ、真琴さん』

    フンっと笑いを浮かべ、真琴は学長に背を向けて歩き出した。


引用返信/返信 削除キー/
■20395 / ResNo.17)  Kaoruさんへ
□投稿者/ 優実 一般♪(2回)-(2007/12/15(Sat) 02:11:10)
    初の感想書いてくれてありがとうございます(・▽・)b★
    パソコンと携帯で書いているので読み辛い部分もあるかもしれませんが、
    これからもよろしくお願いします☆★☆♪

引用返信/返信 削除キー/
■20396 / ResNo.18)   生徒売買17
□投稿者/ 優実 一般♪(3回)-(2007/12/15(Sat) 02:42:09)
    泣きつかれた棗の元に、学長がやってきた。

    『あーあー。あの子ったら相当手荒にしてくれちゃって。』

    まるでいたずらしたわが子に言う様な言葉で学長は棗の縄や目隠しを
    といていく。

    「・・・・こんな事よくできるわね!誰にあたしを売ったのよ!」
    棗は学長をきつく睨み付けた。

    『それは守秘義務があるから答えられないわ♪
    それに、しかたないでしょ?あなた人気なんだもの。』

    やれやれと言う様に学長は棗の傍にある椅子に腰を下ろす。

    「・・・・夏輝にもこんな事させたの?!」

    痛む下腹部を押さえ、棗が学長に詰め寄る。

    『あら?自分がこんな風に傷ついてるのに、まだ夏輝の心配する余裕があるのね。』

    にやにやと学長は笑い、棗の肩に手を置いた

    それを棗はふりほどく
    「ふざけないでよ!!あたしはあんたの・・・!」

    『所有物よ?他に何かある?』

    当たり前の事だと言わんばかりに学長は余裕の笑みを浮かべる。

    『あなたの生活費、家賃、学校経費。すべて私が持つ。だからあなたにはそれ相応の働きをしてもらわなきゃいけない。お分かり?♪』


    そう言うと学長は立ち上がり、戸棚から新しい制服と下着を取り出した。

    「まるで制服がボロボロになるって分かってたみたいな用意の良さね」

    『あの子は毎回そうだから。こっちだって大変なのよ』

    制服を棗に差し出した後、学長は何かの書類にペンを走らせた。


    『今日はもう帰っていいわ。担任にこの書類を渡して駐車場に行きなさい。
    迎えはもうよこしてある。』

    学長に言いようのない怒りを覚えながら、棗は部屋を後にした。



引用返信/返信 削除キー/
■20397 / ResNo.19)   生徒売買18
□投稿者/ 優実 一般♪(4回)-(2007/12/15(Sat) 03:06:38)
    2007/12/15(Sat) 04:04:26 編集(投稿者)

    <昼休み>


    『ねー、棗どこいっちゃったの?』

    エリナと純奈が心配そうに夏輝に尋ねる。

    『それが・・・携帯もつながらないし・・鞄もそのままで。』

    棗の席を見ながら夏輝も不安そうに両手を握り合わせる。
    そんな夏輝の姿を見ながら、2人も顔を見合わせた。

    『でもさ、棗がいなくなったのって真琴と体育館行く途中だったじゃん』

    ふいに純奈が自分の席で眠りこける真琴に目をやった。

    『そうだよ夏輝、真琴に聞けば何かわかるかもよ?』

    あまり気が進まなかったが、夏輝は2人におされて真琴の席に近寄った。




    『気持ちよさそうに寝てるとこ悪いんだけど、ちょっといい?』

    夏輝は真琴の椅子に座る。
    ソファが沈む前に、真琴は夏輝に目をやった。

    『夏輝から話しかけてくれるなんて♪どうしたの?』

    嬉しそうに真琴は体を起こして夏輝と向かい合わせになった。


    『・・・えと、棗の事なんだけど。』

    棗と言う言葉を聴いた途端、急に興味が削がれたのか、向かい合った体を
    パソコン画面に向けた。

    『せっかく話しかけてくれたのに話題それ?』

    嫌そうに真琴がため息混じりに返事をする。

    『ごめん、けど真琴しか頼れる人いなくて。』

    俯きながらなんとか真琴に話してもらおうとすると、真琴は再び嬉しそうに
    夏輝に向きなおした。

    『あたししか頼れる人いないんだ?』
    そのフレーズにやられたのか、急に真琴が話し出した。

    『そーだね、あたしが棗と一緒に体育館行こうとしたらさ、あたし急に生徒会室行く用事を思い出したんだよね。

    棗は一緒に来てくれようとしたんだけど、長引いちゃ悪いからあたし一人で行ったの。そしたらやっぱり長引いて〜〜』

    うだうだと話す真琴に痺れを切らしたのか、夏輝は答えを急いだ。

    『つまり、真琴は廊下で棗と別れて以来棗に会ってないのね?』

    『え?うん。そーゆうこと。』

    あっさりとした答えに手がかりが途絶え、落胆する夏輝。

    『そっか、分かった。わざわざごめんね。ありがとう』

    そう言って席を立とうとする夏樹を真琴が呼び止めた。

    『あ、でも体育館近くの廊下で誰かが人に担がれてたよ?』



    真琴は嘘をついた。
    誰かではなく棗
    担いだのは
    自分



    そうとは知らない夏輝は顔色を変えて教室を飛び出した。


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