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愛里の父親は電気会社の社長という事もあって、自宅のマンションよりも高いビルが会社で、社長室は最上階だと言う。
受け付け嬢に、娘が来た事を知らせると、愛里にはすぐにエレベーターへ向かうように言われた。
私は、身分証明書を提示する様に言われ、ポケットにあった運転免許証を出すと手際良くコピーを取られ、笑顔でエレベーターに行くように指示された。
『厳重だな』
「念には念を…みたいな人ですから、セキュリティに関してはうるさいんです。」
3分程エレベーターは上昇し、チンっと鐘の音を鳴らした。
『緊張してきたな』
「父は、変わった人ですから。大丈夫です」
変わった人とはどういった事でだろうか?
不安交じりに、社長室のドアを愛里がノックした。
「お父さん、私です」
小さく入れと聞こえたので愛里の後ろからそそくさと中に入った。
(携帯)
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