| 「羨ましいですわ…」
シラトリさんの羨望のくちばし…、
否、眼差しが。 少々心苦しかったが…。
「素敵な人、ですね…」
いるんだなぁ。 あんな人…。
「そうなんですの。昔の鋭い雰囲気も好きでしたけれど…。」
笑顔も素敵で、
とシラトリさんは再び照れ隠しか。
巨大な羽をパタパタと上げ下げした。
「ええ。素敵な笑顔、してましたよ。」
「大切な人と一緒だから、でしょうね。雰囲気が柔らかくなったのも…」
一緒にいた女の子。 カズと呼ばれたあの子は恐らく、
恋人だろう。
私には何となく分かった。
「………人って、やっぱり人によって変わるんですかね?」
私も、 そうなんだろうか。
ふとした疑問をシラトリさんに投げかける。
「どうでしょう?ハルカ様にはそんな経験がおありなの?」
シラトリさんは首を傾げながら私を見下ろした。
ハルカ様…。 はは(苦笑)
「うーん…。どうなんですかね。根本的には変わって無い気もしますけど…」
「どちらにしても、人としての部分ですものね。今はこの姿。」
「確かに。ははは」
「オホホ。」
シラトリさんの小さな瞳も心無しか細くなった気がした。
高くなった陽が─ 私の鼻を温めていく。
「あ、そうだ。今日、会合があるって聞いたんですけど…シラトリさん、知ってます?」
ゲンさんに言われたっけ。
「ええ。月に一度の会合…私も参加させて頂いておりますわ。」
「そうですか。…私初めてなんですけど…」
大丈夫かなぁ。
「大丈夫ですわ。楽しい会ですもの…。あ、ただ…」
「?」
「気になる点が、一つだけありますわ。」
大した事じゃ、 ありませんけど。
と。 シラトリさんは川面からゆっくりと上がって、 私の前に座った。
「気になる点?」
「ええ、少々とっつきにくい方がいらっしゃるの。私も苦手で…。」
「ふーん…。そんな人いるんだ…」
「人、ではありませんわハルカ様…正確にはスコティッシュフォールド。」
「スコ…、スコティッシュ?
簡単に言えば─
猫です、と。
シラトリさんは言った。
(携帯)
|