ビアンエッセイ♪

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■20722 / ResNo.70)  犬に願えば 46
  
□投稿者/ つちふまず ちょと常連(63回)-(2008/03/09(Sun) 01:18:38)
    湧き上がるような、相手に襲いかかる感情。




    人間の時には─




    無かったものだ。




    …違う。





    「ウォウ!!」



    人間の時にもあったけど。



    表現の仕方が、
    私には良く分からなかったんだと思う。







    シズカに一気に飛びかかった私は。





    砂煙を上げて。


    取っ組み合いになる。




    逆さまになったシズカの上に馬乗りになる。




    はたから見たら、




    子犬と子猫が。




    じゃれ合ってるようにしか見えないだろうけど…。




    「ウー…」




    シズカを見下ろし、小さくても鋭い牙を向けた。




    「……………。」





    子猫のシズカは、
    何も言わない。




    どころか、
    完全に力が抜けていて。




    やる気は、無かった。




    すると─






    「…あの対象者は、あなたとはどういう関係?」





    やっと口を開いたと思ったら…。











    「それを言う必要がある?」






    そんな事聞いてどうする。




    シズカは何かを探るように私の目を覗いていた。









    「無いわ。でもあなた、本音は別にあるんじゃない?」











    「…………どういう意味?」




    ドキリとした。








    「対象者の結婚、私がぶち壊す事をよ。」












    「……………。」














    「そうなればいい、って。」








    どこかで思ってない?











    「……うるさい。」





    違う。











    「どうして私を置いて幸せになるんだ、って。少しも思わなかったの?」










    違う。












    「うるさい!アンタに何が分かるの?」










    違う。




    違う。




    違う。











    「……分からない。けど、今のあなたは、」










    結構惨めよ。






    「………………。」









    「好きだったんでしょ、あの女の事。」












    「うるさい…」













    うるさい!













    私はシズカの喉を目掛けて、














    思いっきり、













    噛み付いた。







    (携帯)
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■20723 / ResNo.71)  犬に願えば 47
□投稿者/ つちふまず ちょと常連(64回)-(2008/03/09(Sun) 01:23:06)
    首元に牙がめり込んで行く感覚を感じながら。




    「ウー……」




    シズカは何も言わない。




    私は何もかもを、見透かされていた気がして。




    怖くて怖くて。




    噛み付いた自分の口の力を抜く事が出来なかった。




    ……………?




    ふと疑問が浮かんだ。




    なぜなら、
    シズカはいつの間に私の首に手を伸ばしていた。



    まるで、




    “抵抗する気がない”




    それに気付いた私は、
    口の力を緩めた。




    シズカの口から小さな声で、




    「─────。」




    今。



    なんて…。









    とそこで。






    いてっ!!




    私は急激に首周りの肉が引っ張られる感覚がして。




    すぐに宙に浮いた。




    …………。




    ヴィンセン、ト。




    いつの間に。




    猫づかみされた私は。




    ヴィンセントの顔の目の前に─





    「………………。」






    怖い。




    無、表情…。





    笑顔は一つとして無く、


    冷たい目が、
    そこにはあった。








    ふいに強い力で、体が振られたと思ったら。





    私は弧を描いて、






    「………ギャン!!」




    壁に激突した。



    強い衝撃を受けた頭や背中の痛みを、
    すぐに理解出来ない。




    ヴィンセントはシズカを持ち上げて、手のひらで大切そうに撫でる。





    シズカはぐったりとしていた。







    再びヴィンセントは私を見ると、




    長い足をゆっくりと動かして私に近付いて来る。





    や、



    やだ…。







    動けない私は目を瞑ると─









    「そこまでニャ。」









    聞き慣れた声に目を開けると、






    ラフィ…。






    ずんぐりとした後ろ姿。



    確かにラフィだ。






    「ラファエル。」






    ヴィンセントが口を開いた。







    「悪いがこちらに非はニャいわ。」




    失礼するニャ。と、





    振り返って私を優しく抱えながら。






    「…もう心配ニャい。」




    静かにそう呟いて。




    光に包まれた後。





    一瞬にして天上へ。




    気付くと私はラフィの大きなお腹に顔をうずめて、










    大声で泣いた。




    (携帯)
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■20724 / ResNo.72)  犬に願えば 48
□投稿者/ つちふまず ちょと常連(65回)-(2008/03/09(Sun) 01:32:22)
    天空─





    「…たんこぶが出来てるニャ。」






    ラフィのお腹に手を伸ばして─





    後頭部の痛みにも気付かない位。




    私はびんびん泣いた。





    「辛かったニャ。」





    優しく言われたから。




    ………余計涙が出た。






    「……誰でも見透かされたくない真実があるニャ。」





    …………うん。






    「…お前さんは悪くニャい。」







    …………うん。







    「…ラフィは優しいんだね。」






    見上げると、




    でっかい口で。




    「…ずっと見ておったからニャ。」




    ニッと。
    口角を上げて笑った。




    私はラフィのお腹に寄りかかりながら、






    「………私ね。」




    「ニャ?」




    「幸せなんて、サトに訪れなければいいって。本当はずっと思ってた。」






    「…………。」






    「思いたかったよ?別れてからずっとさ。…でもなかなか思えなかった。」


    幸せに、なんて…。





    「それが普通ニャて。忘れられない人ならニャ。」







    ぽんぽん、と。
    ラフィの肉球が、私の背中を撫でた。






    「…だから正直、私が死んでいる事を気にしてるサトを見てホッとしたんだと思う。」





    未だに─
    動かない時計を持っていたサト。





    「………別れた恋人にそう思わせたくて死んでいくバカもいるニャよ」






    「私もそう思った事あるよ。でも、虚しいね。」






    「そうニャ。」





    唯一生きて行く事だけが可能性のある道なのに。





    死んでからでは、
    何もかもが遅い。





    だけど─






    「ラフィ。もうヴィンセントを止める事は出来ないの?」




    体を離して、
    ラフィを見ると。




    「お前さんはもう無理をしなくてもよいニャよ?対象を外す事も出来る。」




    「…ううん。」


    もう、大丈夫。





    「………ふむ。実は少し手を打ってあるニャ。」




    「え?」






    「ヴィンセントの影響を受けない人間がおる。稀に存在するニャ。」




    「…………本当に?」






    「お前さんの対象者と関わるように、運命をいじっておいたニャ。神には内緒でニャ。」




    ふふん、と。









    ラフィは笑った。




    (携帯)
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■20725 / ResNo.73)  追いついた〜
□投稿者/ アイズ 一般♪(1回)-(2008/03/09(Sun) 22:24:47)
    お久しぶりです。読み速度が遅くなりました、アイズですm(__)m
    やっと追いつきました〜って、元気でしたか?楽しく読まさせていただいてますwまさか、あのカップルが出るとは^皿^
    そのカップルの1人をちょっと某ファストフード店で見かけましたので、画像を添付させていただきますm(__)m多分、自分がイメージしたナツさんはもう少し細くて色白だと思っていますが・・・どうでしょうか??(苦笑)
    ではまた、体調には気をつけてください

120×160

1205069087.jpg
/8KB
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■20726 / ResNo.74)  アイズさん
□投稿者/ つちふまず ちょと常連(66回)-(2008/03/10(Mon) 08:25:10)
    おはようございます☆
    久しぶりですね(笑)
    画像付きだからドキドキしましたよ(^0^)♪

    ナツさんのイメージですか!なるほど…。

    この方素敵ですよね☆
    私もいつだったかエビフィレオを頬張りながら…、

    「む!」と目に留まった記憶があります。

    私のナツさんのイメージはですね?
    実は朝に必ずと言っていいほど立ち寄る、

    『DEAN & DELUCA』というデリのお店にいます☆

    いつもその人にラテを注文するんですが、
    あまりに美形過ぎて顔をまともに見た事がありません(笑)

    カウンターの高さがちと悔しい所です↓

    スタバやタリーズも敵わない位…、
    1日の初めに元気を頂けるスペシャルラテな訳ですが。

    でも今日は、たまには朝マックにしましょうかと思っております(^0^)

    I'm lovin'it !
    1日頑張りましょう。





    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■20783 / ResNo.75)  私もファンです。
□投稿者/ みい 一般♪(1回)-(2008/04/09(Wed) 09:51:08)
    久しぶりにこちらを覗いたら
    つちふまず様の作品を目にしてニンマリ

    本当に毎回楽しみにしていて過去の作品幾つか
    テキストにして保存してあります(笑)
    学校の先生の、タイトルがどうしても思い出せず…
    お気に入りだったのに何処か消えちゃって(涙)
    また書いていただける日がくるの楽しみに気長に期待してます〜
引用返信/返信 削除キー/
■20796 / ResNo.76)  犬に願えば 49
□投稿者/ つちふまず 一般♪(1回)-(2008/04/16(Wed) 21:10:10)
    ヴィンセントの影響を受けない人間─


    そんな人がいるんだろうかと、ふと疑問に思ったけれど。


    ラフィからその人の存在を知らされた時、




    「あ!あの人…ですか。はいはい。」




    妙に納得してしまった。




    私も“出会った事のある”人物だったのだ。




    「お前さんも感じたニャ?変わった空気の持ち主ニャったろう。」




    ラフィも上から見ていたのか。




    「ええ。何て言うか…人間離れ?してました。」




    「とりあえず、その人物と接触するニャ。いずれヴィンセントと対象者も現れるニャろて。」




    「飼われるんですか?」




    「一時的にニャがな。そのための子犬ニャろて。」




    よいしょ、とラフィは腰を上げて。




    座っていた私の人間の頭を撫でた。




    「シラトリさんに怒られそうだけどなぁ…」




    キーッ羨ましいですわ!とかなんとか…。







    「シズカはお前さんに惚れてるのかもニャ。」






    え。




    「はい?」




    …………今。




    なんと?






    「抵抗してなかったニャろ。お前さんに噛みつかれて。」






    ……………。







    「それが好きに繋がるとは到底思えませんが…」





    「送り手には人間の姿としてしか見えんニャよ。下界にいる時はニャ。」




    「そうなんですか?」





    それは知らなかった…。






    「私にはシズカがお前さんを抱きしめてるようにしか見えんかったニャよ。」




    恐らくヴィンセントにもニャ、と。




    ラフィは言った。






    「………良く思われてるなら、こんな事しないでしょうよ。」





    「確かにそうニャ。ふぉっふぉっふぉ!」






    シズカの本心は良く分からないけれど。





    あの時─






    私が首元に噛み付いた口を離そうとした時。






    小さな声で、
    確かにシズカは言った。









    ─あなたも同じね









    一体何が、
    同じだと言うのだろう。



    んー…。










    「久しぶりニャ♪」



    え。



    「はい?」



    どこかに向かって呟くラフィ。




    「挨拶ニャ♪」



    「…誰に?」



    見渡せど、
    誰もいる訳もなく…。










    「下界ニャ♪」






    ラフィは笑った。




    (携帯)
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■20797 / ResNo.77)  みいさん
□投稿者/ つちふまず 一般♪(2回)-(2008/04/16(Wed) 21:22:53)
    どもども(^0^)
    返事遅くなってすんまそん。
    ニンマリ。
    ニンマリ…。
    ぐふふ(懐)

    やれ人事の季節だの新しい仕事だの、
    簡単に言えば忙しい。
    言い訳ですハイ。
    更新滞ってましたね。
    亀さんペースですが暇な時に書きます♪
    応援して下さいね☆

    あ、そうそう。
    nasty girls…。
    だー恥ずかしい。
    画面メモもプリントアウトも厳禁ですよ…。
    (著権は無いけど)

    最近携帯小説の作者が良くメディアに出てますね。(新聞で読んだ)
    私も1000ページ以上書いたんだからとっときゃ良かったかなぁとふと思ったり。

    けど録音した自分の声を聴くみたいに恥ずかしいから絶対無理だと思ってみたりと。
    ダハハ。


    『イカれてる彼女達』


    が。
    つちふまず的和訳です。ニシシ。




    (携帯)
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■20915 / ResNo.78)  NO TITLE
□投稿者/ 美紀 一般♪(1回)-(2008/06/08(Sun) 23:36:22)
    続き、楽しみにしています(≧ω≦)

    (携帯)
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