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■20964
/ 親記事)
手作りの愛を君に
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□投稿者/ Kaoru
一般♪(1回)-(2008/06/30(Mon) 16:43:42)
久しぶりの投稿なんで
拙いですが、よろしくお願いします。
(携帯)
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■20965
/ ResNo.1)
1
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■
□投稿者/ Kaoru
一般♪(2回)-(2008/06/30(Mon) 16:44:54)
その日は、すごい雨だった。
いつも行く河原に、段ボールを敷いて座って一人考え事をするのが日課であった私には最悪の天気。
仕方がないので、河原まで歩いてついでに近所のたこ焼きやさんに寄ろう、なんて考えていた。
大雨で周りの音はかき消され、湿気臭いのが鼻をかすめた。
「……いっ」
今想えば、何でこの一言だけ聞こえたんだろう。
河原の近くを歩いている時に微かに聞こえた声。
耳を澄まして河原を見る。
誰も居ない。
この雨だし、居るとしたら橋の下。
私がいつも座る場所だ。
「……いやっ!」
今度ははっきり聞こえた。女の子の声。
まさか……。
真相を確かめるのは少し怖い。が、行かなくては冗談で済まされなかったら嫌だ。
私の中の少ない少ない正義感を振り絞り、今すぐにでも逃げたい気持ちを押し殺した。
(携帯)
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■20966
/ ResNo.2)
2
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□投稿者/ Kaoru
一般♪(3回)-(2008/06/30(Mon) 16:46:03)
橋の下には、若い男女が寝ていた。
――いや、犯されてる。
茶色の長髪野郎が、若い女性の服を脱がしていた。
女性は精一杯の抵抗を見せるが、男の力には勝てない。
『おい!何してんだよ』
知らず知らずに私は、彼らの前に飛び出していた。
「あぁ?邪魔すんなや」
『嫌がってるやろ?警察呼ぶで?』
「呼ぶなら呼べや!」
私は、男の迫力に負けそうになりながら、携帯を開いた。
それでも男は、女性から離れようとはしない。
青い目をした男。
不気味以外の何者でもない。
110番はすぐにつながり、場所を言うとすぐ行くと電話を切られた。
『ほら!警察来るよ?早く離れて!』
「………」
それでも男は私を睨んで動かない。
その隙に、女性は思いきり男のアレを蹴り上げ、離れる事が出来た。
一瞬の出来事に、私は口があいたままだった。
青い目の男は悶えながら、小走りに雨の中を走り去った。
(携帯)
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■20967
/ ResNo.3)
3
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□投稿者/ Kaoru
一般♪(4回)-(2008/06/30(Mon) 16:47:11)
『大丈夫…ですか?』
震える女性が、私の背中で泣いていた。
服は泥だらけで、髪は雨に濡れていた。
せっかくの可愛い顔が台無し。
「……ありがとう…ございます」
それ以上お互い口を開かなかった。
警察がパトカー、一台を鳴らしながら河原に来た時には雨は止んでいて、私たちは事情聴取を受ける為に警察署へ連れて行かれた。
今日は厄日なのか。
私は警察が嫌いだ。
「――じゃあ貴女が第一発見者なんだね?」
まるで死体を見つけた人みたいな言い方。
「今回は、何もなかったから良いけど、もしかしたら仲間が居たかもしれないんですよ?貴女も危険な目に遭ったかもしれない!」
何で私は刑事に怒られているんだろうか。
『――人が目の前で犯されてたら、すぐに助けるのが普通じゃないですか?自分が危険かなんか考える暇ないです!』
「まずは、警察に110番して警察が来るまで待機するべきだ。犠牲者が増えては困るんだから。」
刑事はため息をつきながら、書類にペンを走らせる。
別に誉めて欲しかったわけじゃないし、見返りを求めて助けたつもりもない。
ただ、本能的に動いただけ。確かにそれは警察から見ればバカげた行為かもしれないけれど。
――だから警察なんて嫌いだ。
(携帯)
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■20968
/ ResNo.4)
4
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□投稿者/ Kaoru
一般♪(5回)-(2008/06/30(Mon) 16:48:00)
事情聴取が終わったのは午後八時。
取り調べ室から出て来た私に、今度は泣き顔の女性が出迎えていた。
「――あの…」
立ち止まり見据える。
ブロンドの髪が肩まであり、きっと泥を落としたら綺麗な顔をしているんだろうなって想像した。
「本当にありがとうございました。私、なんてお礼したらいいか…」
『別に見返りを求めて助けたわけじゃないから。気にしないでください。これからは気をつけてくださいね?』
それだけを言い残し彼女に背を向けた。
彼女からお礼なんて受けたら、刑事はさぞかしバカにするだろう。
それに今は最大級にイライラしてる。誰とも話したくない。
(携帯)
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■20969
/ ResNo.5)
5
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□投稿者/ Kaoru
一般♪(6回)-(2008/06/30(Mon) 16:49:10)
翌日は、昨日の大雨とは打って変わって晴天で。
こんな日に限って大学の講義は朝からある。
バイクに乗り込み、大学まで20分。
講義室には既に友人のミカが座っていた。
「―あ、啓(ケイ)おはよう〜♪」
『おはよ。早いね!だから晴れたの?』
「ひどっ!あたしだって早く来る時もあるわーい!!」
ミカは同い年の21歳。
セミロングの茶髪にいつもワンピース系が多い。
フェミニンな格好がこうも似合う女はそうそういない。
人なつっこい性格で友達も多い。
そして何より、私の恋愛対象が女である事を理解してくれている。
『そういえばさぁ〜聴いてよ!昨日警察でさぁ』
私はミカに、女性をレイプから助けた事、警察で説教された事、女性からのお礼を断った事を話した。
「ん〜確かに人助けは偉いけど、一歩間違えば啓も危なかったしね。警察の言う事にも一理あるね」
確かにそうだけど…。
女ってだけで男には勝てないなんて思われたくない。
「…でも、言い方があるよね!あたしはそういう啓、カッコイイって思うし。でも…」
『…?でも?』
「お礼を断るのは駄目だよ〜相手はすんごい感謝してるはずだし、何も出来ないのは余計心に引っかかるもん。」
『そうなの??でも連絡先知らないし。』
「警察に聴けば?」
『絶対やだ!!』
死んでも警察になんか行くもんか!
ミカは呆れながら、ノートを開く。
講義室に丁度教授が入ってきて授業が始まった。
それから数日は、あの日の事など頭の片隅に追いやり、大学と居酒屋のバイトに明け暮れていた。
一人暮らしの私には、大学に行きながらの生活は楽ではないし、親からの仕送りもないわけで。
毎月がピンチだった。
『今月もお金ない。。』
お昼休み、大学内にあるカフェテラスで、ミカとランチをしていた。
「お弁当作ったら?お昼毎日ここじゃん!」
『めんどくさいんだもん。早起きとか超苦手だしね』
元々料理も得意じゃないのもあるけど。
「節約は自炊からだよ」
ミカの言う事は分かるんだけどね〜。
夕飯だけでいいよ、料理なんて。
この日も、17時からバイトで、そんな私はサークルに入れるはずもなく。
サークルに入ってるミカを、羨ましく思う時もある。
それでも、親元を離れて進学したいと決めたのは自分だ。辛くても仕方ない。
(携帯)
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■20970
/ ResNo.6)
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□投稿者/ Kaoru
一般♪(7回)-(2008/06/30(Mon) 16:50:32)
『いらっしゃいませー』
居酒屋は連日連夜賑わいを見せる。
繁華街の中心部にあるのも理由の一つだが、何よりオーナーの人脈によるものも多い。
キャバ・ホスト・同業者・サラリーマン・OL
日曜の夜は大学生も多い。何度か同じ講義を受けている子を見かける。
「兄ちゃん!焼酎!」
『あ、はーい』
私は居酒屋の制服を着ると、どうも男性に見られがちだ。
訂正するのも、面倒くさくそのまま返事をしていた。
常連はそれを聴いてニヤニヤとこちらに笑みを向けたり、勝手に楽しまれている。
「この子女の子やで」
勘違いした客に常連客が散々笑い物にした後で教えるのも裏ルールらしい。
「ほんまかいな?騙されたわ〜」
自分で遊ばれるのは不愉快だが、この雰囲気は好きだ。
皆、ストレスを抱えて生きている。それを愚痴と酒で発散して行く。
そのお手伝いが少しでも出来るから、このバイトは辞められない。
「すいませーん」
『はーい!今行きます』
今度は女性の声がして、私はすぐさまテーブルへ向かう。
女性グループ四人のテーブルにはカクテルがたくさん並んでいた。
そして…気が付く。
「『あ!』」
二人の声が重なる。
あの時助けた綺麗な人。
「偶然ですね〜ここで働いてるんですかー?」
酔いが回ってるのか、テンションが高い。
『バイトですけどね 』
「何何?知り合い〜?」
「超カッコイイんだけど?紹介してよ!」
同じテーブルに座るほかの女性が口々に言う。
また私を男性と勘違いしているらしい。
ひとりだけ真実を知っている彼女は、笑いながらもあたふたしていた。
(携帯)
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■20971
/ ResNo.7)
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□投稿者/ Kaoru
一般♪(8回)-(2008/06/30(Mon) 16:52:11)
『―みなさん、私女なんですよ〜』
笑いながらやんわり訂正するとお決まりの反応。
「「えー!?嘘!?」」
その声に常連客はまたニタニタしている…。
今夜は疲れる。。
「そういえば!まだあたしお礼してなかった!」
彼女は思い出したかのように私を見つめる。
『ほんま、気にしんといてください!』
「歩美〜どういう関係〜?」
歩美と呼ばれた彼女は、思い出したのか悲しげな顔を見せた。
『―こないだ、偶然歩美さんがカバンの中身撒き散らしてしまって〜それ拾ってあげただけですよ〜だからお礼とか気にしたら駄目ですわ』
咄嗟についた嘘。
歩美も、驚きながらも合わせていく。
「ほうなんや〜、じゃあアドレス交換したらいーやん」
歩美の隣に座る女性が提案してくる。
「良かったら、交換してください!」
うるっとした瞳で、歩美は見てくる。
アカン、ヤバい。
『今、バイト中で出来ないんですよ〜すいません!』
私は、そそくさとオーダーを取り持ち場に戻った。
あんな顔、反則や。
それからは歩美のテーブルにはあまり近づかず、オーダーは別のスタッフに任せた。
深夜0時、私は上がりになり店を出た。
まだまだネオンに飾られたこの街を見上げ、煙草を一本吸う。
今日は疲れたなぁ。
まさか、出会うとは思わなかったしな。
あの時とは違う、本当の姿。想像以上に綺麗で。
フェロモン全開。
惚れそうになった。
アカンて。無理やし。
頭の中で一人格闘していたら、また聞こえた。
「すいませーん」
彼女の優しい声が。
(携帯)
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■20972
/ ResNo.8)
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□投稿者/ Kaoru
一般♪(9回)-(2008/06/30(Mon) 16:53:21)
「待ち伏せみたいですいません。どうしてもお礼がしたいんです。」
『ずっと待ってたんですか?』
「帰りたくない言うから、待ってましたー」
友人であろう女性が、元気に答えてくれた。
「何かお礼がしたくて」
中々頑固な歩美に、お手上げだった。無理難題な事を言って諦めさせるしかないな。
私は歩美に一つ提案してみる事にした。
『私、一人暮らししてて自炊しなきゃなんですよ!昼間は大学なんで、お弁当が必要なんです。だから、毎日作ってくれたらそれをお礼にします』
ね、無理でしょ?
歩美には歩美の人生があるし、きっと社会人だ。そんな時間も無いはず。これで諦めてくれるかな?
反応を期待して、目を合わせると歩美は目を輝かせていた。
「分かりました!あたし毎日作ります!料理かなり得意なんで^^」
意外すぎる結果に、私はただただ唖然としていた。
その場は、歩美がアドレス交換を催促するので、携帯番号を教えた。
深々とお辞儀をして歩美は友人と繁華街に消えた。
どうせ酔っ払いの言う事だから、明日には忘れるだろう。
この時は簡単に思っていた。
事態はいつも、思わぬ方向へ転がっていく。
(携帯)
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■20973
/ ResNo.9)
NO TITLE
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□投稿者/ 麒麟
一般♪(1回)-(2008/06/30(Mon) 21:14:37)
とても読みやすくて、おもしろいです♪
続き楽しみにしていますので、無理せず頑張って下さい。応援しています。
(携帯)
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