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■21191 / 親記事)  ラストスマイルはもう響かない
  
□投稿者/ 香月 一般♪(1回)-(2008/12/06(Sat) 01:40:25)
    はじめまして。香月といいます。
    物書き初心者なので、乱文何卒ご了承下さい。
    読んでいただけましたら、無上の喜び♪♪
    少しずつアップしていきます。





    ラストスマイルはもう響かない






    ――最後は笑って別れたいっていう意味だね――

    そういえば昔誰かがそう言っていた。周りが呆れる程毎日聴いていたあの曲。大好きなあの人がよく歌っていた悲しい曲を聴く度に亜輝は涙をこぼす日々。別れは亜輝にとってあまりにも辛すぎる現実であった。だからあの時笑って別れることはできなかった。
    あれから3年の月日が流れ―――

    “亜輝?ご飯食べないの?”
    心配そうに覗き込む莉那。亜輝は何も言わずにうなずいた。
    “食べないと倒れるよ。明日も仕事なんだから”
    疲れきった亜輝の顔を見据えながら茶碗と箸を差し出す。食事に手を出さないのは、仕事がきついだけではないという事を莉那は分かっていた。
    莉那はため息をつきながら再び口を開いた。
    “以前からずっとあんたに言ってきてるけど、今の仕事はあんたにはもったいないよ。そんなにしんどいならもう、辞めたら?”
    “・・・うん”
    気のない返事が一つ返ってきた。今の仕事は収入がいい上に、軌道に乗ってきている。
    その上に、部署は違うが大好きな「あの人」と同じ会社にいる。一つ同じ屋根の下で働き、自分を捨てたあの人を見返してやるという思いが亜輝にとって精一杯の妥協であり、強がりでもあった。でもそんな思いは莉那には言えない。打ちひしがれていた自分を助けてくれた「恩人」を悲しませたくない。
    “とにかく食べて。じゃないと捨てるかあんたの口に無理やりねじ込むからね”
    “・・・分かった”
    しぶしぶと茶碗と箸を受け取り、ぼそぼそと食べ始めた。小動物がもそもそとエサを食べているような光景だ。莉那は再びため息をつき、立ち上がって冷蔵庫から缶ビールを取り出すと、封を開けて一気に飲んだ。




    眠りから目が覚めると、慌ただしい一日が始まる。出勤するとすぐにスタッフが亜輝のもとへと駆け寄った。
    “おはよう”
    亜輝は真っ先に挨拶をする。
    “おはようございます。店長、お金が合わないんですが・・・”
    “え?昨日私が上がる前までは合っていたはずだけど”
    差し出された現金表を受け取り、目を通した。
    “昨日のラストは・・・分かった、注意しておくよ。もうすぐピークになるから後でお金は確認しておくよ”
    “分かりました。あと少し前に社長から電話がありまして、今日の会議忘れずに参加するようにとの事でした”
    “・・・分かった。ありがとう”
    笑顔で答えた後、店長席に座り込んで書類を作成し始めた。不意にため息が漏れる。
    “店長、ため息つくと幸せが逃げていきますよ”
    笑いながらスタッフが言った。亜輝は首をかしげながらつられて笑う。
    “そうやね。そういえば他の女の子たちから聞いたんだけど、最近彼氏ができたんだって?”
    “そうなんですよ。もう嬉しくって”
    “良かったじゃない。でもうちの女の子たち彼氏いない子多いから、からかわれるんじゃ?”
    “そうなんですよー。今度店に連れてこいとか言われるし、プリクラ奪われるし・・・”
    彼女は顔を緩ませながら語る。いつも笑顔を絶やさない彼女は、お客様からの評判も良くスタッフからも好かれている。
    “店長も早くいい人見つけてくださいよー。もう若くないんだから”
    “失礼な、まだ20代なのよ私はー!”
    むくれながら亜輝が言うと、笑いながら彼女は売り場へと姿を消した。

    ――幸せ、ね・・・――

    小さく首を振り、売り場のモニターを確認しながら書類を作り始めた。

    正直、会議は憂鬱な場所にしかすぎない。成果を出さなければつるし上げにあうだけだし、成果を出せば嫉まれる上に、上司から非難の声が上がる。もっともそれはヒガミと紙一重であることは分かっているのだが。
    自由席であるにもかかわらず、毎回座る席は同じ。今日もあの人とは一番離れた場所に亜輝は座った。
    今日はバレンタインデー。前日にたくさんのクッキーを焼いて持参し、会議用のお菓子という目的で全員に配布した。あの人の手元に渡るのを確認すると、亜輝は目をそらした。
    会議は始められた。自分の前に発表する人は全員社長のお気に入りであり、どんなに成績が悪くてもお咎めなしである。
    そして発表待ちの間もずっとあの人と亜輝は目を一切見合さない。毎回同じ光景であるが、会議の空気以上に亜輝の心を重くする。
    いよいよ自分の発表の出番になった。機械のように淡々と営業報告を語る。こんな無益な会議、いっそつぶしてしまおうかという心境でいっぱいだった。
    報告が終わると、すかさず社長からの批判が飛び込んだ。
    “経費の無駄遣いが目立つ。どういう事か説明してもらおうか”
    亜輝は無表情で応じる。
    “時給の値上げによるものです。消耗品及び光熱費の消費削減は心がけておりますが、これ以上の削減は厳しいかと思います”
    “その分自分がシフトに入るか商品のロスを減らせばいい事だろう。最近やる気がないんじゃないのか?”
    その言葉に苛立ちを覚えた。ぎりぎりのラインでこなしている業務をこれ以上どうしろと言うのか。しかし反論するだけの気力はさらさらない。亜輝は表情を出さないまま言葉を吐き捨てた。
    “惰性で仕事をしていましたので”
    “ならば心を入れ替えて取り組むこと。1年で何も変わらない場合は、管理職を外す。そのつもりでいるように”
    亜輝は何も言わず手にしていたペンを机の上に放り投げ、椅子の背もたれに身をあずけた。
    社長は亜輝の態度を尻目に、他の社員に発表を続けるよう促していく。

    ――くだらない。何も分かっていないくせに――

    時おり沸き起こる笑いにも賛同することなく、無表情のままその場をやりすごす。
    かくして会議も終わり、亜輝は自分のおやつ用に作ったクッキーを、立ち上がる時に叩きつけて机の上に残したまま真っ先に部屋を飛び出した。
引用返信/返信 削除キー/
■21195 / ResNo.1)  Re[1]: ラストスマイルはもう響かない
□投稿者/ 香月 一般♪(2回)-(2008/12/08(Mon) 21:32:20)
    社員や役員は部屋を退出していき、最後にただ一人だけ残っていた。
    誰もいない事を確認すると、亜輝が座っていた席に歩み寄り、静かに腰を下ろした。
    机の上に残された小さな袋を開けた。そこには小さな星型をしていたクッキーが数枚入っていたが、叩きつけた衝撃でほとんどが割れていて、きれいな形をなしていなかった。
    彼女はそのかけらを指でつまみ、口へと運んだ。
    卵ボーロのような淡い甘みのある、優しい味だった。

    ――他人の事を考えている場合じゃないのに――

    彼女はうつむいた。亜輝を不憫に思う気持ちと彼女に対する苛立ちが入り交じり、戸惑う。
    かつて亜輝と一緒にいた時に見た痛々しい姿を、また見なければならない・・・彼女は思わず勢いよく立ち上がり、首を激しく振った。
    “ああもうっ!”
    その勢いで部屋を飛び出し、外に出るとすぐに車に乗り込んで携帯をカバンから取り出した。



    店に着いた亜輝は、車に取り付けられている鏡に顔を映した。曇った表情がうかがえる。
    即座に両頬を軽く手のひらで叩き、無理に笑顔を作る。その表情を崩さぬまま車から降りて、店内に入った。
    “あ、店長おかえりなさい。どうでした?”
    “いつも通り。で、最悪”
    いつもと変わらない口調でさらりと答える。集まってきたスタッフが一斉にため息をもらす。
    “皆でこんなに盛り立てているのに?”
    “私たちかなり大変な思いしているのに・・・”
    “よく店長我慢してますよね”
    亜輝は苦笑して口を開く。
    “こうなったら、好き放題やるしかないわよね”
    “確かにね。でも・・・”
    言葉を遮るように電話が鳴った。スタッフは慌てて事務所を出て、それを確認するとすぐに受話器を取った。
    “毎度ありがとうございます。FM・・・”
    “もしもし・・・”
    亜輝は首を傾げた。聞き覚えのあるような声に耳をすましながら訊ねる。
    “・・・どちら様ですか?”
    “若林です”
    思わず息を飲んだ。目を見開いて、すがるように受話器を両手で握り締めた。
    気持ちを覆い隠すように、つれない一言を返す。
    “・・・何で電話してきたんですか?”
    “クッキーありがとう。美味しかったよ”
    “いえ・・・どういたしまして”
    話が途切れた。受話器越しの二人の間に沈黙が流れる。胸が痛み、思わず亜輝はうつむいた。
    “今、大変そうなんだってね”
    沈黙を破ったその一言を耳にして、こみ上げてくる思いを必死で抑える。
    “いいんです。私なんて・・・”
    “話、聞いてあげるよ。飲みに行こうか。今夜空いてる?”
    緊張の糸が途切れた。気がつくと目から涙があふれ、零れ落ちていた。
    “空いて・・・ます”
    “分かった。また夜電話するから”
    言い終えて電話を切ろうとした彼女に対し、亜輝は声を振り絞って答えた。
    “香織さん・・・ありがとうございます”
    香織は気にしないでと一言告げると、電話を切った。
    そのやりとりを見ていた一人のスタッフが亜輝に近づいた。
    “何かあった?”
    亜輝は何も言わず、小さく首を振った。それでも心配してその場を動こうとしないスタッフに対して、何でもないから・・・と小声で答え、顔を上げた。その顔は今までに見たこともないような穏やかな表情であった。
    “お先に・・・あとよろしくね”
    亜輝はそう言うと、カバンを持って事務所を出た。
    スタッフや客になるべく顔を見合わせないようにうつむきながら駐車場を歩く。
    車のロックを解除するとすぐに乗り込み、急いでエンジンをかけた。一刻も早く店の敷地を出て、一人になりたいと気持ちだけが急く。
    店の看板が見えなくなると、亜輝はこらえていた感情を一気に吐き出した。
    外は雪が降り始めた。雪と涙で視界がぼやけ、まともに運転ができない。近くの公園に入り、気持ちを少しずつ落ち着かせた。
引用返信/返信 削除キー/
■21198 / ResNo.2)  感想
□投稿者/ ペンペン 一般♪(1回)-(2008/12/12(Fri) 01:40:12)
    面白いです!
    続き待ってます!

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■21203 / ResNo.3)  Re[2]: ラストスマイルはもう響かない
□投稿者/ 香月 一般♪(3回)-(2008/12/17(Wed) 22:27:03)
    幸い雪は積もることなく、夜を迎えた。
    お気に入りの服を着て待ち合わせ場所に向かう。少し早めの出発ではあったが、待ちきれないという思いが亜輝を急きたてた。
    待ち合わせ場所に着いた。まだ来ていないだろうと思っていたが、すでに香織の姿はそこにあった。
    オレンジ色のイルミネーションが香織の姿を照らし出す。すらりとした長身に整った顔立ち、凛とした表情があまりにも綺麗で、亜輝はしばらくの間立ち止まって香織を見つめた。
    その視線に気づき、香織は振り返った。別れて以来の対面に亜輝は戸惑いを隠せず、うつむいた。
    “お疲れ。今日は仕事何時までだった?”
    淡々とした口調で問いかける。亜輝はうつむいたまま小さな声で答えた。
    “会議終わってからは何も・・・”
    “そうか・・・”
    二人はゆっくりと歩き出した。周りは恋人同士や家族連れでにぎわっている。空は晴れていて、十六夜の月が下界をやわらかく照らし出す。
    “どこに行く?”
    “どこでもいいよ。香織さんは?”
    “飲める所ならどこでもいいよ”
    会話が途切れた。二人きりでいるのにお互い顔を見合さない。時々吹く風はとても冷たく、二人の体を少しずつ冷やしていく。
    “寒いね”
    香織がつぶやくように言った。亜輝は、うん・・・と二つ返事で答えた。
    数年前は、いつも亜輝が香織の後ろをついて歩いていた。
    今は二人肩を並べて歩いている。ほんの少し亜輝の中に何か期待めいた感情が湧き上がった。が、すぐにそれを打ち消して、香織との距離を少しだけ遠ざけた。
    たどり着いた場所は、篝火が点る居酒屋だった。店内に入ると若い女性店員が現れ、二人を個室の座敷へ通した。
    扉を閉めると圧迫感を覚えるほど窮屈な場所で、亜輝は荷物を足元に置き、なるべく香織に触れないように端っこにつめた。
    香織は上着を脱ぎ、膝の上にかけてテーブルの上にあるメニューを取った。店内はストーブが焚いてあり、ほどよく暖かい。亜輝も上着を脱いで荷物の上に置いた。
    二人は先に飲み物を注文した。香織はビール、亜輝はカクテル。初めて一緒に飲みに行った時に頼んだものと同じである。
    テーブルに飲み物が届くと、二人はカチンとグラスを鳴らした。香織はそれを一気にあおり、亜輝はちびちびと飲み始めた。
    互いに話を切り出すことなく、ただ時間だけが過ぎていく。
    亜輝は何を話していいのか分からなかった。隣で黙り続けている香織の様子が気になり、恐る恐る香織を見た。
    香織は自分の腕を組むように抱きしめている。そして亜輝の視線が自分に注がれていることを知り、ぽつりと言った。
    “寒いよ・・・”
    亜輝は首を傾げた。寒さを感じるような温度ではない。体調でも悪いのかな・・・と思い自分の上着で香織を包んだ。
    “大丈夫?”
    香織は答えなかった。亜輝は振り払われるのを覚悟しておずおずと香織の腕に触れた。嫌がる様子はないことを確認すると、上着の上からそっと撫でた。
    “体、悪いの?”
    “悪くない”
    そっけない返事が返ってきた。運ばれてきた料理はすべてたいらげられている。
    顔色も悪くない。だがよく見てみるとアンニュイな表情を浮かべているように感じた。
    “違うお店、行く?”
    “・・・うん”
    香織はグラスに残っているビールを飲み干して、ゆっくりと立ち上がった。
    亜輝も立ち上がり、香織の後ろに続いて個室を出るとそのままレジに向かい、会計を済ませて店を出た。
引用返信/返信 削除キー/
■21206 / ResNo.4)  Re[3]: ラストスマイルはもう響かない
□投稿者/ 香月 一般♪(4回)-(2008/12/28(Sun) 00:54:19)
    先へと進む香織の後ろを小走りで亜輝はついていく。たどり着いた先はカラオケだった。
    受付を済ませ、部屋に向かって歩いた。場所は階段を上って2階の奥の部屋。平日のわりにたくさんの利用客がいたが、幸いにぎやかな団体から離れた静かな所の部屋にあてがわれた。
    部屋に入るとドアを閉め、香織はすぐに照明を落とした。
    亜輝は内線で飲み物を注文すると、すぐにマイクとリモコンを香織に渡し、テーブルをはさんだ向かい側の椅子に腰を下ろした。
    “先に歌いなよ”
    香織はリモコンを亜輝につきつけた。亜輝は首を横に振ってリモコンを返したが、香織はそれを聞き入れなかった。
    仕方なく先に歌うことにした。去年流行った映画の挿入歌を入力して、マイクを握って歌い始めた。
    香織は3人がけのソファに横たわり、黙って亜輝の高く澄んだ歌声を聴いていた。
    久々に香織の前で歌う事に緊張感をおぼえ、やや震え声になる。香織は無表情のままである。
    歌の途中で飲み物が運ばれてきた。あまりお酒を飲んでいなかった亜輝は間奏の時にグラス半分のカクテルを飲み込んで勢いをつけて、やっとの思いで最後まで歌いきった。
    香織も続いて曲を入れ、歌い始めた。昔と変わらない、低く綺麗な声で歌うバラードを亜輝はじっと聴いていた。
    3曲目は亜輝が歌い、その後曲は途切れた。
    “歌わないの?”
    亜輝の問いかけには答えなかった。香織はしばらく携帯をいじっていたが、テーブルの上にそれを置くと亜輝を見つめた。
    “誰かここに呼んでもいい?”
    その言葉を投げかけられた亜輝はうつむいた。やっぱり私といるのはつまらないのだ・・・と思ったが、香織の提案に同意つもりはまったくなかった。
    亜輝は首を横に振ると香織は黙って亜輝を見つめ続け、相手が顔を上げる機会を待っていた。
    しばらくして、ようやく顔を上げた。そんな亜輝に対して、香織は隣に来るよう手招きをした。
    躊躇いながらゆっくりとソファに歩み寄り、少し間を空けて香織の隣に腰を下ろした。
    “どうして呼んだらいけないの?”
    香織は腕を亜輝の後ろに回した。しかし直接触れず、ソファの背もたれに腕を乗せて亜輝を囲い込むような形で、体を斜めに動かした。
    亜輝は動揺を隠すように顔をそむけ、震える声で答えた。
    “・・・私、香織さんと二人でいたいから”
    “どうして?”
    自分を見る香織の視線が気になり、亜輝は香織を見た。
    二人の目が合った。まっすぐ香織に見つめられていることがたまらなく恥ずかしくなり、亜輝は先に目をそらした。
    “どうして二人でいたいの?”
    亜輝の横顔に質問を再び投げかけた。その時、自分の奥底に今まで閉じ込めていたものが
    溢れて露になり、目を閉じて重い口を開けた。
    “迷惑・・・かもしれないけど、私・・・やっぱり香織さんのことが・・・好き”
    消え入りそうな声で言い終えると、思わず亜輝は香織の胸に顔を埋めた。
    するとすかさず香織は亜輝の体を包み、強く抱きしめた。亜輝も腕を香織の背中に回し、しがみついて繰り返し香織の名前を呼び続けた。
    次第に息苦しくなり、亜輝はそっと体を離して息をつこうとするが、その暇を与えることなく香織はすぐに顔を近づけて亜輝の唇にそっと自分の唇を重ねた。
    軽く触れるだけのキスから少しずつ深くなり、気づけばお互いの舌を絡ませていた。
    亜輝は小刻みに震え、その体から力が少しずつ抜けていく。香織は唇を離してそっと亜輝の体を押し倒した。
    香織は亜輝の胸元のリボンをほどき服の中に手を差し入れると、体をやさしく撫で始めた。
    亜輝の口から吐息がもれる。香織はさらにブラジャーのホックをはずし、胸の先を指先で転がし始めた。
    “あ・・・っ”
    小さな悲鳴を上げ、息が荒くなる。香織はその声を消すように再びキスをする。
    そして唇を重ねたまま愛撫していた手を下に伸ばし、スカートの中に手を入れる。太ももに指先を這わせると、ビクッと体をすくませた。そこが感じる所であることが分かると執拗に愛撫する。
    与えられる快楽と口の自由を奪われる苦しみで、亜輝の目に涙が滲む。それを見た香織は
    空いている手で亜輝の長い髪を撫でた。
    “んん・・・っ”
    亜輝の中から少しずつ理性が薄れていく。
    閉じていた足がほんの少し開いた。香織はすぐに手を動かし、下着の上から亜輝の割れ目をなぞる。すでにそこは濡れていたが、さらに指先でくすぐるようにゆっくりと撫でた。
    耐えられなくなり、首を軽く振って香織の唇を離してあえぐ。
    “ああ・・・っ!あっ・・・”
    香織の指使いが激しくなり、亜輝は香織の肩をつかんで身悶える。
    “香織さん、香織さ・・・っ”
    荒い息をつきながら必死に訴える亜輝の顔をしばらく見つめ、愛撫する手を止めた。
    ようやく乱れた息を整えることができ、ぐったりとソファの上に横たわる。香織は再び亜輝の髪を撫でた。
    “続きは後で。一緒に私の家に帰ろう”
    そう言うと亜輝の手を取り、体を起こした。亜輝は小さくうなずいて服を直そうとしたが、香織がすぐに手を伸ばして元通りに直してくれた。
引用返信/返信 削除キー/
■21207 / ResNo.5)  Re[2]ありがとうございます
□投稿者/ 香月 一般♪(5回)-(2008/12/28(Sun) 01:09:06)
    かなりマイペースですが、頑張って書いていきます!
    どうぞ香織と亜輝のゆくえを見守ってやって下さいm(--)m
引用返信/返信 削除キー/
■21210 / ResNo.6)  Re[4]: ラストスマイルはもう響かない
□投稿者/ 香月 一般♪(6回)-(2008/12/31(Wed) 12:43:00)
    会計を済ませるため二人は階段を下りて受付カウンターに向かった。
    亜輝は香織の後ろについて歩く。二人のやりとりは誰にも見られてはいないはずなのに、すれ違う人と顔を合わせることができない。
    そんな亜輝の胸中を知らないまま香織は支払いを済ませて店を出る。亜輝の姿が後ろにいることだけを確認してただひたすら夜の町を歩いた。
    香織の家は歩いて10分程度の所にある。
    ひとまわり背が高い香織の足は速い、というよりインターバルに差があるから速くて当然である。亜輝はそれを回転数で補ってついていく。少しずつ動悸が激しくなっていくのが分かる。
    明かりは街灯のみで周囲は住宅ばかりになってきた。一本道から逸れてつきあたり手前に香織の家がある。香織はポケットから鍵を取り出して鍵穴に挿した。カチャッと乾いた音が鳴ったことを確認してドアを開けると、後ろに立っていた亜輝を手招きして中に入るよう促した。
    言われた通りに亜輝は入った。中はモダンなインテリアで、冷たすぎず柔らかすぎない印象を与える。亜輝はちょこんと部屋のすみっこに正座し、香織は上着を脱いでソファに投げた。
    “行こう”
    香織の声で亜輝は立ち上がり、一緒に2階の寝室へと向かった。
    香織は暗闇の中で着替えを済ませるとベッドにもぐりこみ、立っている亜輝の手をつかんで引き込んだ。
    目が悪い亜輝が暗闇に目が慣れた時、すぐそばに香織の顔がある事にようやく気づいた。二人の目が合った。その瞬間香織は亜輝の上にのしかかった。
    ゆっくりと香織の顔が近づき、再び亜輝の唇にキスをする。部屋の中は寒く、ベッドの中もまだ冷たい中で香織の体温はとても熱く感じた。
    亜輝は香織の首に腕を回して抱きつくと、香織は少しだけ笑った。そして亜輝の腕を外して一枚ずつ服を脱がせていった。
    全てをさらけ出した亜輝は香織の行為を受け入れていく。香織は閉じている亜輝の足を開かせ、溢れてくる蜜で指先を濡らして硬くなった部分を弄ぶ。
    腰を浮かせながら喘ぐ中で亜輝はじっと香織の目を見つめる。

    ―――あんなに私のこと嫌っていたのに・・・何故?―――

    香織は空いてる手で指を絡ませるように亜輝の手を握る。時々口からこぼれる悲鳴にも似た高い声を抑えるようにキスをする。

    ―――香織さん、どう思っているの?ただ寂しいだけなの?―――

    うっすらと涙を浮かべる亜輝の目を見つめた。しかしすぐに視線を亜輝の体に落とした。
    シーツにまで滴りそうな程濡れている亜輝の中に3本の指を一気に挿れた。
    “ふあ・・・っ!!”
    喘ぎ声が変わった。香織はなるべく奥まで届くように深く激しく突き上げる。
    完全に力が抜けて腰ががくがくと震える。これ以上何も考えることが出来なくなった。
    “や・・・ああっ!もう・・・だめ・・・っ”
    次第に亜輝の体がこわばる。香織は力をゆるめることなく攻め続けた。
    “あっ・・・あっあっ・・・あああっ!!”
    亜輝は香織の手をぎゅっと握りしめた。そして体を痙攣させてのけぞり、果てた。

    濡れた手を洗面所で洗い、乱れたベッドを軽く直して香織は亜輝の隣で横になった。
    疲れきった亜輝の顔をゆっくりと撫でて触れるだけのキスをすると、きゅっと抱きしめた。
    見た目も毅然とした雰囲気も綺麗な香織に想いを寄せる女性は大勢いるだろうし、その中に亜輝より数倍も可愛い女性もいるだろう。寂しいなんて思う筈もない。
    なのに何故私なんかを・・・
    私の気持ちを分かっていてこんな事を・・・
    不快に思っているわけではないが、香織が何を思っているのかが分からずもどかしく思う。
    “香織さん”
    思わず名前を呼んでしまった。
    “なに?”
    即座に返事が返ってきた。しかし後に続ける言葉が見つからない。
    “・・・なんでもない”
    亜輝は首を横に振り、香織の体にしがみついた。手を頭に置かれ優しく髪を撫でられる感触が心地よかった。
    “明日も仕事?”
    香織はたずねた。亜輝は小さくうなずくと、小さい子供をあやすように軽く亜輝の背中を叩いた。
    “早く寝なさい”
    そう言って亜輝の顎をつかみ、上へ向かせるとキスをした。
    “おやすみ”
    香織は再び微笑うと、それにつられてようやく亜輝も笑った。
引用返信/返信 削除キー/



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