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■21223
/ 親記事)
恋唄 第二章 1
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□投稿者/ sakura
一般♪(7回)-(2009/01/09(Fri) 23:16:20)
ふわふわと、水面を漂っている感じだった
なんて心地良い・・・
遠くから誰かが私を呼んでいる
どうしてそんなに悲しそうな声で呼ぶの
泣いている・・・
誰・・・
一瞬闇の世界
そして、再び光に包まれた
誰かが私の顔を覗き込んでいる
あれは・・・
美佐子さん・・・・?
「あ、あなたぁ・・・!先生っ!サイが・・・サイが目をっ・・・!!」
その聞き覚えのある声は母さんで、隣に立ち尽くしているおじさんを父親と認識するまで
とてつもない時間を要した気がする・・・
ああ・・・そうか・・・・私・・・・・・
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■21224
/ ResNo.1)
恋唄 第二章 2
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□投稿者/ sakura
一般♪(8回)-(2009/01/09(Fri) 23:42:36)
『サイ、14時にKホテル。橋本様ね』
「了解しましたー」
サイは電話を切り、担任に早退届けを出して学校を出た。
正門を出ると、すぐに電話が鳴った。
さやかからだった。
『サイ、また帰っちゃうの?』
「うん。ちょっと気分悪くてね」
『大丈夫?後でお見舞い行こうかな・・・』
「あー・・・今日はゆっくりしたいからさ、また今度。ね」
『もぉいいっ!』
お見舞いと言う口実を断られ、さやかは不機嫌だった。
「お客より激しいんだから・・・無理だよ。」
サイは一方的に切れた携帯に言い訳した。
家とは逆方向の電車へ乗り込んだとき、ポケットの携帯が震えた。
またさやかかと思い、ギクッとしたが、メールだった。
美佐子からだ。
[今日、サイに食べてもらいたくてアップルパイを焼いてみました。サイ、甘いもの大丈夫だったかな?]
甘いものが大丈夫かどうかも確認せず、よく作れるな、と呆れながら、ニヤニヤと携帯を眺めている。
[アップルパイ、楽しみだね。でも今から仕事だから、明日の午前中、食べに行きます]
美佐子と心を通わせた後も、サイは【仕事】をやめようとは思わなかった。
美佐子も、【仕事】については何も言わなかった。
美佐子の隣同様、【仕事】もサイの居場所だった。
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■21225
/ ResNo.2)
待ってました!
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□投稿者/ 藍
一般♪(1回)-(2009/01/10(Sat) 04:02:56)
とっても嬉しいですニニ
更新大変だと思いますが頑張って下さいゥヒ
(携帯)
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■21228
/ ResNo.3)
藍さんへ♪
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□投稿者/ sakura
一般♪(9回)-(2009/01/14(Wed) 23:22:25)
応援、ありがとうございます。
拙い文章の上に不定期な更新なのに、読んでくださっていてとても感激です。
どうか、これからもよろしくお願いします。
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■21229
/ ResNo.4)
恋唄 第二章 3
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□投稿者/ sakura
一般♪(10回)-(2009/01/14(Wed) 23:42:18)
「美味しい!ホント、美佐子さんは料理上手だね。」
アップルパイを頬張りながら喋るサイに、美佐子は思わず吹き出した。
「サイって、時々すごく子供みたい。」
「あなたに比べれば子供です。」
「あっ、ひど〜い!」
サイは肩を押す美佐子の手を、そっと掴んで引き寄せる。
肩を抱く。
その手が髪を撫でる事はあっても、そこから降りることはない。
サイは美佐子を抱かない。
抱けない。
唇を重ねるのが、二人には精一杯で、それ以上の愛情表現はなかった。
指を絡ませ、もたれ合って、他愛のない話をする。
そんなひと時が、この上なく幸せな瞬間だった。
「最近ね、娘がとっても反抗的なの。一時は落ち着いてたんだけど・・・。でも、彼女にもちゃんと心があって、きっと何か、壁を越えようとしてるのね・・・。」
「うん。誰にもそんな時期があるよ。美佐子さんも・・・いや、美佐子さんはなさそうだね。」
「あっ。また私を世間知らずだって馬鹿にして〜っ。」
自分よりも年上で、結婚していて、おまけに子供まで産んでいる。
それでも、サイには美佐子が可愛くて愛しくてたまらなかった。
「そろそろ・・・時間だね。」
いつも美佐子が切り出す。
サイの事を、あまり引き止めてはいけない気がしている。
「そだね・・・。また来てもいい?」
「うん・・・たくさん来て・・・。」
お互いを確かめるように、自分に刻み込むように、唇を重ねる。
「じゃ・・・。」
唇を離すのは、いつもサイの方だった。
いつまで続くのだろう・・・
そう思うと、訳もなく恐ろしくなり、サイは振り返ることも出来ず早足で美佐子の家を後にする。
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■21238
/ ResNo.5)
恋唄 第二章 4
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□投稿者/ sakura
一般♪(11回)-(2009/01/23(Fri) 00:08:31)
ピンポン♪♪♪
いつものように、ホテルのドアが開けられ、細い手首が見えた。
「お待たせしました。ご指名ありがとうござ・・・」
言いかけて、サイは驚いた。
「どうぞ。入って。」
新規の客と聞かされて、いつものホテルに来たのだが、ドアを開けたのは希だった。
「希さん・・・ですよね?」
いぶかしげな顔をしているサイを気にも留めず、希はブーツを脱ぎ始めた。
希は、サイと同じクラブに所属している。
しかし、同業ではあっても、異種、つまり、男性専門だ。
「クラブもグルですか?悪ふざけにしては手が込んでますけど?」
サイはドアの前から動こうとしいまま、不愉快な態度を崩さない。
「まあまあ。そんなに熱くならないでよ。」
振り向いた希はそう言って微笑んだ。
瞳が大きく、唇もぽってりとしていて、男性受けする可愛い顔をしている。
クラブの中では、bPかbQ、かなりの稼ぎ頭だ。
「あなた最近、クラブの仕事減らしてるんだって?」
「別に、答える義務はありませんね。」
ぶっきらぼうにサイが言うと、希はクスクス笑い始めた。
「怒らないでぇ。私、今日はお客様よ。しかも、フルコースの。」
「ちょっとクラブに電話します。意味が分からない・・・。」
サイがポケットから携帯を取り出すと、希は猫のような身軽さで、サイの手を掴んだ。
「待って。クラブは知らないわ。知られたら私困るし・・・。」
「じゃあ、何のつもりですか。」
「私、あなたに指導を乞いにきたの。」
「指導・・・?」
サイの手を握りながら、希がまた妖しく微笑んだ。
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■21239
/ ResNo.6)
恋唄 第二章 5
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□投稿者/ sakura
一般♪(12回)-(2009/01/23(Fri) 00:21:23)
希は冷蔵庫から冷えたビールを取り出し、プルタブをあけてサイに差し出した。
「説明してもらえますか?クラブへの報告はそれからにしましょう。」
希は、自分のビールをゴクゴクと喉を鳴らして飲んだ。
「最近さぁ、上客も減ってきてるし、この際だから、両方やってみようと思って。」
「両方・・・?」
「そ。あなたの領域に足を踏み入れようってワケ。」
「・・・男も女も、客をとるって事ですか?」
「そ。でも、女の事あんまり分からないし。で、女の事となると、やっぱり『サイ』でしょう。」
希はにっこりと微笑んで、缶を持った手でサイを指差した。
馴れ馴れしく名前を呼ばれ、サイは気分を更に害した。
「そんな事、うちのクラブで出来るわけないでしょう。節操のない・・・。」
「その時は別のクラブに移るまでよ。」
さらっと受け流す希に、ますます腹を立てた。
「そんな事を聞いた以上、クラブに報告せずにはいられませんよ。私も同罪じゃないですか。」
サイが握っていた携帯を開くと、希は、今度は動かずに言葉だけでサイの手を止めた。
「美佐子さん・・・だったかしら?」
サイは携帯からゆっくりと顔を上げた。
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■21240
/ ResNo.7)
恋唄 第二章 6
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□投稿者/ sakura
一般♪(13回)-(2009/01/23(Fri) 00:29:34)
「今・・・何て?」
希はゆっくりとビールを飲んで、また繰り返した。
「美佐子さん。可愛らしい方よね。とても高校生の娘さんがいらっしゃるようになんて見えない。」
「あんた、どうして彼女のことを・・・?」
「私、顔が広いのよ。お客と恋愛なんて、クラブも怒るでしょうけど、ご主人も普通ではいられないわね」
サイの手が震える。
「何が目的なんだ・・・。」
「だから、ご指導願いたいって、こうして頼んでるでしょ。」
「どういうつもりで・・・。」
「私、今のままで終わるつもりないの。脅してるわけじゃないのよ。ちゃんと料金も払うし。」
「・・・・」
「私の人生も、美佐子さんの人生も、あなた次第よ。サイ。」
希はサイの前に手を差し出した。
サイは黙って跪き、希の手を取った。
「ご指名、ありがとうございます・・・。」
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■21276
/ ResNo.8)
Re[1]: 恋唄 第二章 1
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□投稿者/ みさき
一般♪(1回)-(2009/03/06(Fri) 11:49:58)
sakuraさんの大ファンです。
とっても面白い!
続きが楽しみです!!
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■21281
/ ResNo.9)
みさきさんへ♪
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□投稿者/ sakura
一般♪(1回)-(2009/03/10(Tue) 22:28:30)
感想、ありがとうございます。
ずーっと更新できていなかったのに、読んでくださっている方がいること、感激です。
拙い文章ですが、お付き合い頂けると幸いです^^
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■No21281に返信(sakuraさんの記事) > 感想、ありがとうございます。 > ずーっと更新できていなかったのに、読んでくださっている方がいること、感激です。 > 拙い文章ですが、お付き合い頂けると幸いです^^
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