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特別ルックスがいいわけでも、器用に生きてるわけでもない。
仕事は会社員で、真面目に働き生き甲斐は、休日に友人と遊ぶこと。
ボイリバ:ユズキ(22)
それが僕で、僕と言っても体も顔も女だ。
唯一、他人と違うのは僕がビアンだと言う事だけ。
そんな、平凡な僕がキャバクラなんていう華やかな仕事に触れたのは、ある会社での飲み会だった。
「ユズキ〜飲んでるか?」
先輩のタツヤさんが絡んでくる。
僕は笑顔で頷き、瓶ビールをお酌する。
「こんな会社の飲み会なんてかったるいよな〜」
タツヤ先輩は笑いながら何かを閃いた。
「キャバクラにでも行くか?」
この一言が僕の人生を変えた。
元々、男勝りな僕はタツヤ先輩には薄々ビアンだと気づかれていた。
僕は苦笑いしながらも期待していた。
『先輩の奢りなら行ってみたいですね〜』
「よし!決まりだ。社員50人も居たら二人くらい抜けても分かんないしな」
タツヤ先輩がまず、宴会場から出て、5分後に僕が出た。
既に二人はほろ酔いでテンションも高かった。
「俺の行き着けでいーよな?」
『任せますよ』
宴会場である店から約10分であるビルに到着。
エレベーターで5Fボタンを押し機械的な音を立てながら上へあがる。
ここまでくると、さすがに緊張してくる。
昔テレビで放送されていた水商売特集。
キャバ嬢やホストがぶっちゃけトークをしたり、店の料金説明や店内を映し出す映像。
お金がすごくかかる場所。
その事が思い出される。
「可愛い仔たくさん居るからなー惚れんなよ?」
『ははっ。仕事じゃないですか〜営業には騙されませんから』
「最初はそう思うんだよね〜営業課の田中はハマッてるらしいぞ〜」
えぇ!?田中さんが?
仕事は真面目だし、ルックスもそこそこで女子社員からもモテるのに!?
キャバクラにハマる男は、モテない奴だけかと思っていた僕の方程式は見事に崩れた。
(携帯)
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