| バスルームのドアの開くカシャッっという音に反応し、七海は反応し振り返った。やっとだわ。由香ちゃんの生の姿が見られる。歓喜とも羞恥とも判別つかない心臓の鼓動にうち震えながら、七海は湯船から上がりシャワーボタンを操作すると暖かいミストを放射させた。バスルームに白い温かなミスト、霧が立ちこめてゆく。既にバスルームは小さな灯りだけをともし暗いままだ。しかし、その暗さが期待にうち震える七海を何とか支えた。 由香に恋したしたのはいつからだったろう。自問しなくいても、それは桜咲く庭での初対面からだ。一瞬で私はまだ中学生の由香の大人びて、そしてきれいな顔や手足がしなやかで長い少女に魅了されていた。それは、今日の恋という感情では無かったけれど、「初めまして・・・」と挨拶し両で由香の手を包んだあの時からだ。少女とはいえ大人にも持ち得ない皮膚の柔わらかさは、同性からも感嘆されて育ってきた七海の肌の柔らかさを持ってしても、由香の手の感触は別世界の快感気持ちよさだった。思わず、「ああっ・・・柔らかい・・」と漏らしてしまったほどだ。その時、由香も「・・・あっ・・」と呟いたのを今でも鮮明に覚えている。あの時、あの接触の瞬間に二人は目線を併せ、微笑み合い、理解しあったのだと思う。
あの日、亡夫とともに3人の庭での食事やお茶の時間、居間に移動してからも七海と由香は話し、笑い、語りあった。それは、人から見れば姉妹のように、従姉妹のようにも映ったのではないかと思えるほどの自然な出会いであった。 七海は、その後公私共に伊藤家に出入りし、社長の秘書として、フィアンセとして、そして由香の継母を許された女性として、家事のこと、会社業務、伊藤家の行事に参加した。夫は忙しく、月のうち半分以上を海外や国内の出張していた。また、海外出張には七海が秘書件通訳として同行した。その度に、七海は出張先でのお土産に可愛いバッグやアクセサリー、時には少女には高価と思えるような海外有名ブランドの洋服や下着なども購入し由香にプレゼントしてきた。こういう良好の関係と経過の中、七海は由香と会う度、手を身体を触れ合う度にいつしかフィアンセである社長とは別の好意、愛情を由香に抱いている自分の深層心理に気づいた。
あの可憐な少女由香の魅力は、姉妹のように瓜二つの自分と同じであることを、七海は月日の季節の移ろいの中で感じてゆく。それは婚約者で社長という由香の父親と由香に抱く甘く切なくやるせない背徳感の満ちた恋心に感電した時から、七海は由香への募る想いをひた隠しにして、婚約者と由香に接してきた。 それは決して辛いものではなかった。婚約者としてへの愛情と尊敬と、由香への変質した同性愛とは、七海の中では、いつしか同居・進行が普通な成り行きとなった。由香への愛情を亡夫は微笑ましく見ていただろう。しかし、結婚し伊藤家に同居し、ある時は24時間由香と同じ空気を吸い、同じ空間を共有し、時には手を繋ぎ腕を組み、散歩やお買い物に出かける機会が増えるに従い、七海の中に小さく奥深く住み着いた不義という不信のウィルスが増幅し、妻と義母という七海の並列倫理システムを侵してゆく気配が 明らかに増加していた。
結婚後夫が出張で長く留守をした日々、眠れぬ夜無意識に七海は見事な隆起・起伏・カーブを見せる豊かな美乳に手を這わせ、募る想いを自慰で慰めた。始めは、豊かな双乳をゆるゆると揉む。いつしか身体の奥から湧き上がる快感と官能のさざ波に、あううっ・・・と小さな呻きと共に、七海の柔腰が右に左にと揺れ始める。七海の脳裏は当初夫の顔が浮かんでいたが、気が付くとそれはなぜか秘めた恋の相手由香の顔に変わり、「由香ちゃっん・・・んっ・・・」と変わっていった。それ以来、独寝の夜自慰に想いを馳せてしまうのは夫から由香に変わっていった。
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