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■21611
/ ResNo.10)
君のために・11
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□投稿者/ シェリー
一般♪(12回)-(2012/09/03(Mon) 00:50:31)
「…こら、冗談はこの辺にしなさい」
「冗談じゃないもん、未春さんと離れたくないー♪」
未春が優しくなだめるも、余計に抱き付いて離れない愛友美。
困ったように髪をかきあげて溜め息を付くと、未春は愛友美の腰に腕を回す。
「…知らないよ?(笑)うちに泊まりに来るって事は、何されても構わないって解釈するからね?」
冗談を匂わせた口調で未春が言うと、愛友美の体が硬直する。
『あ、…やば。やり過ぎたか?』
内心で慌てた未春が、冗談だと言おうと口を開こうとした時だった。
「いいですよ…。」
「…えっ?」
「あたし、未春さんになら何されても構わないです。」
流石の未春も言葉を失った。
『お、落ちつけ。』
自分に言い聞かせて一呼吸置くと、未春は愛友美の頭を優しく撫でた。
「何を言ってるの。ほら、帰るよ?」
いつも通り微笑んで、愛友美の手を引いて未春が立ち上がろうとした時だった。
未春の唇に愛友美の唇が押しあてられる。
「あたし…、未春さんに抱いて欲しい…っ。だから帰りたくない…。」
潤んだ瞳の愛友美に言われた瞬間、必死で保とうとしていた未春の理性が切れた。
「…知らないよ?もう引き返せないからね?」
未春の言葉にコクンと小さく頷いた愛友美を見て、未春は荒々しく愛友美に口付ける。
舌を絡めて深い口付けをすると、愛友美もそれに答えるかのように未春にしがみついた。
「アッ!あぁ…ッ!!」
未春が触れる度に甘い声を上げて、ピクッと身体を跳ねさせる愛友美。
その仕草が未春をどんどんと煽る。
「…すごい濡れてる。気持ちいい…?」
「はぁ…ッ、ダメぇ…っ!そこいやぁぁッ!!」
クリトリスを指先で刺激される度に、いやらしく喘ぐ愛友美。
愛友美の理性もとっくに切れているようだった。
「アァッ!もうイキそう!」
「ん…、イッていいよ?」
未春の愛撫で簡単に絶頂へ追いやられる愛友美。
膣内に指先が挿入され、Gスポットを擦り上げられた瞬間
「アッ!ぁああっ!!イク…っ、ダメ!」
今までより強い快楽を感じた愛友美は、身体を震わせて絶頂を迎えたのだった。
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■21612
/ ResNo.11)
頑張って下さい。
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□投稿者/ k
一般♪(1回)-(2012/09/04(Tue) 00:25:38)
話の流れを切ってすみませんが…。
最近の小説が消えてから足が遠のき…、久々に見に来たらこの作品に出会えました。
久々に続きを読みたいワクワク感にかられる作品だなぁと、応援したくなりました。
無理せずに続けて貰えたら嬉しいです。頑張って下さ〜い(ノ´∀`)ノ
(携帯)
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■21613
/ ResNo.12)
kさん
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□投稿者/ シェリー
一般♪(13回)-(2012/09/04(Tue) 20:39:02)
コメントありがとうございます。
続きが気になる作品だなんて言って頂けるとは、光栄です★
今後もゆっくり不定期な更新になると思いますが、応援よろしくお願いします♪
(携帯)
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■21614
/ ResNo.13)
君のために・12
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□投稿者/ シェリー
一般♪(14回)-(2012/09/04(Tue) 21:24:15)
絶頂を迎えた愛友美は、仕事の疲れと酔いも手伝ってかそのまま意識を手放した。
「…っ、参ったなぁ」
未春は大きく溜め息を吐くと、愛友美の隣で仰向けになる。
最初からもろ自分好みの愛友美に声をかけられ、喜んでいたのは事実だったが…
出会って二日目にして、すぐに手を出してしまった自分に呆れ果てる。
「はあっ、どうすっかなぁ。」
隣で眠っている愛友美の髪を撫でると、愛友美が目覚めないようそっと抱き寄せる。
酔った彼女を抱いた事に対しての罪悪感が酷く、起きたらきちんと謝らなければ…とぼんやり考える。
ただ、愛友美が起きるまではこうしていたい。
そう思ってしまう自分は完全に愛友美に惚れてしまったのだなと、未春は苦笑いするのだった。
温かくて心地いい感覚の中、愛友美はゆっくりと目を開く。
目の前に未春の引き締まった身体があり、思わずドキッとして一気に現実へと引き戻された。
『え…っ、未春さん…あたしの事抱き締めてんの!?』
未春の腕がしっかりと背中に回されている事に気が付き、愛友美は心の中で慌てる。
『そりゃあ…、エッチしたいって迫ったけど、何でそんな相手を恋人みたいに優しく扱ってくれるの?』
うっかり勘違いしそうになる自分に気が付き、怖くて泣きそうになる。
この心地よい感覚は危険だ…。
分かってはいるのに、未春から離れられない。
愛友美はそっと未春の胸元に顔を寄せて、目を閉じた。
『これも、昨日のお礼でしてくれたって事だよね…きっと。未春さんみたいな素敵な人が、あたしみたいな凡人を本気にするはずないんだから…。』
そう自分に言い聞かせる度に辛くなる。
だからせめて、こうして未春を独占出来る時間を大事にしたい。
そう思った愛友美は、唇を噛み締めて未春にギュッと抱きついた。
.
(携帯)
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■21615
/ ResNo.14)
君のために・13
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□投稿者/ シェリー
一般♪(15回)-(2012/09/04(Tue) 22:28:59)
2012/09/16(Sun) 22:09:01 編集(投稿者)
携帯のアラームによって愛友美が次に目覚めた時、未春の姿は隣になかった。
それに寂しさを覚えながらも、愛友美はゆっくりと体を起こす。
「未春さん…どこ?」
散らばっていた服を身に纏い、視界に入ったドアのノブを捻る。
寝室を出るとふわりといい香りが漂っていて、香りに誘われるように歩いていくと、未春がフライパンを片手に振り向いた。
「おはよう。体、大丈夫?」
爽やかな笑顔で言われた瞬間、昨日の情事を思い出してしまい、赤面する愛友美。
「お…はようございます。昨日はありがとうございました…。」
未春の顔を見られず俯きがちに伝えると、少しの沈黙の後で未春が口を開いた。
「あたしこそ、ありがとう。酔ってた愛友美ちゃんに手を出しちゃってホントにごめんね…、でもあたし」
「だっ、大丈夫ですよ!?未春さんがお礼で抱いてくれたのは分かってますから…今回の事はいい思い出にします。
だから…、今後も友達として仲良くして下さい。」
未春の先の言葉を聞くのが怖くて愛友美は慌てて未春の言葉を遮ると、無理矢理笑顔を作る。
しかし顔を上げられなかった為、未春が傷付いた表情をしていた事に気が付けなかった。
「…そっかぁ、いい思い出が出来たなら良かった。
もちろん、今後も友達として仲良くさせてね?
朝ごはん出来たから、食べてって!病院まで送ってくからさ。」
未春がいつも通りに優しい口調で言葉を紡ぐと、愛友美は安心したように顔をあげた。
『良かったぁ…こんな関係になっちゃったから、これっきりにされちゃうかと思った。
ダメなのは分かってるけど、はっきりフラれるのは辛いもん。』
今後も友人として未春と関われる事に、愛友美はホッとしていた。
未春さんの恋人になりたいとか望んでは、絶対にダメだ。
だったらせめて、親しい友人になれるよう頑張ろう…。
温かい朝食を食べながら、愛友美はそう思うのだった。
美味しそうに朝食を食べる愛友美を愛しいと思いながらも、未春は落ち込んでいた。
『付き合いたいと思ってたのは、あたしだけだったのか…仕方がない。愛友美ちゃんは酔ってたわけだし、好きだって言われたわけじゃないのに先走りすぎたな。』
若い彼女に同性でおばさんの自分を愛して欲しいなんて、迫るのは間違えている。
未春はなんとしてでもこの気持ちを隠さなければ…と誓うのだった。
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■21641
/ ResNo.15)
君のために・14
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□投稿者/ シェリー
一般♪(16回)-(2012/09/16(Sun) 22:52:01)
「はい、これ」
職場の病院まで愛友美を送り届けた未春は、一度車から降りると後部座席からお弁当を取り出した。
「朝ごはん作るついでに詰めたから、お昼に食べて?」
「えっ!?ごめんなさい…気を使わせてしまって。」
昨日から色々として貰いっぱなしの自分が嫌になる。
愛友美は申し訳なくて俯くと、未春が差し出しているお弁当を受け取った。
「じゃあ、仕事頑張って。」
お弁当を受け取った愛友美を見て未春は嬉しそうに微笑むと、運転席へと戻った。
「気が向いたら連絡ちょうだいね♪
行ってらっしゃい!」
キラキラした笑顔を向けられ、愛友美は泣き出しそうになった。
『気が向いたらとか言われたら、毎日連絡したくなっちゃうよ…。』
口に出して伝えられる思いなら、どんなに楽か。
愛友美はぐっと堪えて笑顔を作り、未春に頷いてみせた。
受け持ちの患者が落ち着いている事もあって、午前中はゆったりとした時間が過ぎていった。
しかしこう落ち込んでいる時は、仕事が忙しい方が楽だ。
「はぁっ…。」
ごちゃごちゃ考えながら仕事をやっていたため、休憩に入った瞬間ドッと疲れが出る。
自分に集中力がないと分かる日の仕事はいつも以上に気を使うなぁ…と苦笑いしながらお弁当を開ける。
「うわぁ…、美味しそう」
色鮮やかな和風テイストのお弁当。
きんぴらごぼうやほうれん草のおひたし…
「写真撮っておこ…」
食べる前に記念に残そうと、愛友美は写メを撮った。
休憩に入っているのが自分だけで良かったと、ぼんやり考えながらおかずを口に運ぶ。
未春の作ったものは、どれもさっぱりしていて美味しかった。
「あーあっ、お弁当箱が使い捨てじゃなかったら、洗って返すのを口実に会いに行けたのに…」
食べ終わって空になった使い捨てのパックを眺めて、愛友美は溜め息を付く。
「未春さん…会いたいなぁ」
会えば会うだけ辛くなるのは分かっているハズなのに、会いたくて仕方がない。
今朝別れたばかりなのに。
愛友美は使い捨てのパックをゴミ箱に入れる事が出来ず、そっと抱き締めた。
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■21643
/ ResNo.16)
君のために・15
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□投稿者/ シェリー
一般♪(17回)-(2012/09/17(Mon) 12:02:39)
愛友美と最後に会ってから、一週間が経とうとしていた。
あの日から連絡は全然とっていない。
手を出してしまったという罪悪感もあって、未春からは連絡出来ずにいた。
『余計な事は考えるな…。』
未春は自分に言い聞かせて仕事に励む事にしていた。
来週末からはスタジオの仕事だけでなく、人気アーティスト葉月瑛里沙(はづきえりさ)のライブツアーがあって、バックダンサーの一員に未春も入っているのだ。
『悩んで考えてる暇なんかない…会わない時間が長くなれば、忘れられるんだから。』
そう前向きに考えて、スタジオにレッスンを受けにきている生徒へ微笑みかける。
「はい、それではウォーミングアップから始めます。」
愛友美への気持ちが完全に消えて、時間が経ってから連絡してみよう。
それまでは距離を置こう…。
そう決意した未春は、表情を引き締めて指導に集中しはじめた。
未春が熱心に指導をしている頃、スタジオの受け付けには愛友美の姿があった。
「宇野さん、ダンスは未経験なんですよね?ジャンルは何に興味がありますか?」
「はい、ダンスは全然やった事ないです。でもジャズとヒップホップを踊れるようになりたいんです。」
悩みに悩んで、愛友美は体験レッスンに来たのだった。
未春と個別で会うと、どうしても好きな気持ちが強くなってしまう。
だったら、インストラクターと生徒という立場で会えばいい。
未春に会えない一週間、仕事以外では未春の事しか考えられなくて、元気がなかった愛友美。
こんな状態になるのなら、少しでも遠くから姿を見て元気にならなければ…と思い切ってダンススタジオへ足を運んだのだった。
「ジャズとヒップホップですね。
今日はあと三十分後に、ヒップホップビギナーとジャズビギナーのクラスがありますが、どちらにしますか?」
受け付けの女性が笑顔でスケジュールを見せてくれる。
スケジュールに書かれた講師の名前を見ると、ジャズビギナークラスの下にmiharuの文字があった。
「あっ!…あの、このmiharuさんて…黒坂未春さんですか?」
「はい、そうですよ♪普段は中級と上級のレッスンを担当してるんですけど、今月は珍しくビギナークラスを受け持っているんです。」
「じゃあ…、ジャズビギナークラスを受けます。」
未春に教えてもらえる事が分かると、愛友美は嬉しそうに微笑んだ。
(携帯)
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■21644
/ ResNo.17)
君のために・16
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□投稿者/ シェリー
一般♪(18回)-(2012/09/19(Wed) 23:57:13)
次は何ヶ月ぶりか分からないぐらい、久々に受け持つことになったジャズのビギナークラスだ。
レッスンを終わらせた未春は、次のビギナークラスのレッスンまで休憩しようと水分補給をしていた。
「未春さん、次のビギナークラスに体験レッスンの生徒さんが来てます。」
受け付けのスタッフに話しかけられ、未春はペットボトルから口を離す。
「うん、分かった。未経験者?」
「はい、26歳の社会人で名前が宇野愛友美さんです。」
「……へっ?宇野愛友美??」
未春はワンテンポ遅れて、その名前に反応する。
受け付けのスタッフは未春の反応を見て、何かを思い出したような表情をした。
「あっ、そういえば…宇野さんもスケジュール表見せた時に未春さんの名前を聞きましたよ♪」
…何故?
未春は突然の出来事に困惑する。
何も連絡なくどうして自分のレッスンを受けに来たのだろうか?
ダンスに興味があるなんて、愛友美の口から聞いた覚えがない。
「そうなんだ。彼女にお世話になった事があってそれで知り合ったんだけど、ダンスに興味もってくれたのかな。今、どこにいるの?」
「あっ、今着替えて貰ってるのでそろそろ更衣室から出てくると思いますよ。」
「ありがとう。」
冷静なふりをしてアクエリアスを飲み干すと、未春は爽やかに微笑む。
『…仕方がない、どういうつもりかは分からないけど、切り替えてレッスンするしかないな』
受け付けのスタッフに手を振ると、未春は表情を引き締めてビギナークラスの生徒が待つスタジオへ向かった。
「はい、ではストレッチから始めていきましょう。
ジャズは基礎が大事なので、基礎をしっかり身に付ける事で上達します。」
未春が目の前にいる。
愛友美はそれだけで胸がいっぱいになった。
白いタンクトップに黄緑色のサルエルパンツをはいた未春が、とてもカッコよく見える。
『未春さん、カッコイイ…』
思わず見とれていると、未春が愛友美に視線を向けて微笑む。
ドキッとして思わず視線を反らすが、未春は軽い足取りで近づいて来た。
「今日初めてのレッスンですよね?
インストラクターの未春です。分からない事があったら、気軽に聞いて下さいね。」
「…っ、よろしくお願いします。」
未春に声をかけられただけで嬉しくなってしまう自分に、愛友美は苦笑いするのだった。
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■21645
/ ResNo.18)
君のために・17
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□投稿者/ シェリー
一般♪(19回)-(2012/09/23(Sun) 22:40:21)
初めてのジャズダンスの体験レッスンは、愛友美にとってとても楽しい時間だった。
着替えを終え、本格的に会員になる為に受け付けに向かおうとした時、後ろから肩を叩かれる。
「お疲れ様。」
「未春さん…っ」
振り返ると爽やかな笑顔を浮かべた未春がいて、愛友美はドキッとした。
恥ずかしくて顔が見れずに俯くと、未春が顔を覗き込んでくる。
「突然どうしたの?
いきなりレッスン受けに来たからビックリしたよ。」
「…未春さんのダンスをYouTubeとかで見てたら、興味が沸いちゃって。
この歳でダンスを始めるのって…大丈夫ですかね?」
未春とバッチリ視線が合った愛友美は、慌てて視線を反らしながらも平然を装う。
そんな愛友美の様子に、未春は静かに微笑むと優しく問いかけた。
「今日のレッスン、楽しかった?」
「…っ、勿論です!体を動かせて楽しかったし、出来るようになったらもっと楽しいんだろうなって思いました。」
愛友美の率直な返答を聞いた未春は、嬉しそうに微笑むと大きく頷いた。
「ダンスはまずは楽しむ事が大事だから。始める年齢とかは関係ないよ。
今日のレッスンが楽しめたなら、大丈夫だよ?」
「…はいっ」
未春の言葉に、愛友美もつられて笑顔になる。
『今日はレッスンを受けに来てホントに良かった…。』
心の中でそう思った愛友美は、未春にペコリと頭を下げた。
「あたし、入会してダンスを踊れるよう頑張ります…。今日はありがとうございました。」
「いいえ♪
…あたし、ジャズのビギナークラスのレッスン、今月の数回だけなんだけど、頑張って上達してね?
ジャズの中級、上級者クラスで待ってるから。」
未春の言葉に、愛友美は大きく頷く。
「未春さん、電話ですよ。」
ふとそんな声が聞こえたかと思うと、受け付けのスタッフが携帯を片手に顔を覗かせていた。
それを見てハッとした表情をすると、未春は愛友美に微笑みかける。
「ごめん、仕事の連絡だからまた今度!」
名残惜しそうに携帯を受け取って、未春がその場を立ち去ると、受け付けのスタッフがニヤニヤしながら愛友美に近づいてきた。
「未春さん…宇野さんに対してはあんなに甘い表情するんだ」
「…へっ?」
愛友美がきょとんとするが、それを誤魔化すように彼女は笑った。
「さて、入会の手続きをしますか♪」
.
(携帯)
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■21646
/ ResNo.19)
君のために・18
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□投稿者/ シェリー
一般♪(20回)-(2012/09/26(Wed) 00:22:52)
「お疲れ様です!」
ダンススタジオの会員になってからというもの、愛友美は仕事が終わると直ぐにスタジオへ向かうようになった。
思っていた以上にダンスが楽しくて、始めるきっかけが未春目的だったのが嘘のようだった。
「お疲れ様です、宇野さん♪」
「あ、小西さん!お疲れ様です。」
愛友美がスタジオにつくと、受け付けスタッフこと小西圭織(こにしかおり)が笑顔で出迎えてくれる。
「あっ、今未春さんジャズ上級クラスのレッスンしてるけど、カッコイイからこっそり覗いてみたら?♪」
「…っ!?な、なんでそんな…ッ」
更衣室に向かおうとする愛友美に、圭織がにやけながら耳打ちしてくる。
未春という名前だけで赤面する愛友美が面白くて、圭織はついついイジってしまうのだった。
「だって、宇野さん…未春さんの熱狂的ファンみたいだし♪」
「う…、もうっ!からかわないで下さいよっ」
圭織をあしらおうと必死になりながらも、愛友美の足は未春がレッスンしている部屋へと向かっている。
中をそっと覗き込むと、未春が生徒の前でちょうどダンスを踊っているところだった。
「うわぁあ…っ」
頬を赤く染めて未春のダンスに見とれていると、そんな愛友美の様子を見ていた圭織が再び耳打ちする。
「宇野さん…、未春さんに惚れてるでしょ?♪」
「な…ッ!?」
突然の言葉に、愛友美は後退りして圭織から距離をとる。
しかしそんな愛友美の様子を楽しむかのように、圭織はニヤリと笑う。
「正直に言わないと…あたしが未春さん捕っちゃいますよ?」
「そっ、それはダメっ!…あっ」
まんまと圭織の罠にはまった愛友美は、真っ赤になって両手で口を覆った。
圭織は声を上げて笑うと、愛友美の肩をぽんっと叩く。
「大丈夫。あたしにはヒップホップのインストラクターの静花さんっていう恋人がいますから♪安心して下さい、愛友美さんが未春さんと上手くいくよう協力します。」
圭織がさらりと言うものだから聞き逃しそうになったが、愛友美は間を空けてからおずおずと確認する。
「静花さん…って、女性?」
「そうですよ。スッゴい素敵なんですからっ♪」
圭織が幸せそうに話す姿を見て、愛友美も肩の力を抜いた。
「良かった…女性が好きなのあたしだけじゃないんだ。」
「そうですよ♪」
まさかの理解者がいる事に、愛友美は嬉しさを感じていた。
.
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■No21597に返信(シェリーさんの記事) > > 1日の業務をようやく終え、タイムカードを切った途端疲れがどっと押し寄せてくる。 > > 忙しかった1日をぼんやりと思い出しながら、宇野愛友美(うのあゆみ)はナースステーションを後にした。 > > > 「とっとと帰って、今日は早めに休みますか…。」 > > 誰に言うわけでもなく、独り言を呟いてロッカーの鍵を開ける。 > > > 白衣を脱いで私服に着替えた瞬間、気分は完全にプライベートモードだ。 > > > 「はぁっ…。」 > > 職場の病院が見えなくなったのを確認し、思わず大きな溜め息を吐く。 > > > 最近仕事にやりがいを感じられない。 > > 職場で患者に作り笑顔を振り撒いてるからか、仕事以外で最近笑えていない気がする。 > > > 疲れきった表情をして、ビールでも買って帰るかなぁ…とぼんやりと考えていた時だった。 > > 目の前を歩いていた女性がフラりとよろけ、そのまましゃがみこんでしまった。 > > 「え…っ!?」 > > 愛友美は思わず歩くのをやめて、女性の背中を凝視する。 > > 女性は細い肩を上下させ、苦しそうに呼吸をしているようだ。 > > 他の通行人が見て見ぬふりをして、どんどんと後ろを通りすぎて行く。 > > 本当は愛友美も早く帰りたかったが、彼女をほっておく事が出来なかった。 > > > 「…大丈夫ですか?」 > > 視線を合わせようと屈んで顔を覗き込むと、真っ青な顔をした女性と視線が合った。 > > 愛友美の顔を見てどこかホッとした表情を浮かべた女性は、苦しそうにしながらも愛友美に微笑みかけてくる。 > > > 「…ごめんなさい、気分が悪くて」 > > 「他に具合が悪いとこはないですか?」 > > 「んー…頭痛と目眩かなぁ…」 > > > 今現在何とか会話は出来てるものの、気温は30度後半。 > > このままここにいたら、彼女の体力がどんどん奪われていくのは容易に考えられた。 > > > 「立てそうですか?」 > > 「支えがあれば…何とか」 > > > 愛友美はそう答えた女性に肩を貸して、タイミング良く通りかかったタクシーを捕まえる。 > > > 「どちらまでいかれますか?」 > > 「…N総合病院までお願いします。」 > > > > まさか先程後にした職場に逆戻りになるとは…。 > > > 来た道をタクシーで引き返し、見慣れた景色を窓越しに見つめながら、愛友美は苦笑いを浮かべた。 > > > . > > (携帯)
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