ビアンエッセイ♪

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■21679 / ResNo.20)  18
  
□投稿者/ zoo 一般♪(18回)-(2012/11/06(Tue) 10:09:22)

    彼との待ち合わせ場所へ向かう途中、偶然にも咲希を見かけた。


    お友達なのか知り合いなのか、間柄はわからないけど、数人でお店から出てくるところだった。
    外国人の女性も2人混ざっていて、みんな咲希よりは年上に見えた。


    楽しそうな雰囲気で、中でも外国人の女性は咲希にベッタリくっついている。
    外国流のスキンシップ??
    咲希はいつも通りクールな顔で接している。


    日曜日で賑わう通りの人込みに紛れて、咲希がこちらに気付くことはなかった。

    無意識のうちに、気付かれなかったことにホッとしている自分がいた。
    別に彼と会うことを知られたくない訳でもないのに。




    彼は待ち合わせ場所に車を止めて待っていた。
    自然と私は彼の車に乗り込んだ。


    久々に会う彼は、いつも通り優しくて穏やかだった。
    近くのお店で遅めのランチをして、しばらくドライブをした。
    彼は、色々と近況報告のように最近のことを話してくれていた。


    だけど、私はどこか上の空だった。
    咲希とベッタリくっついていた女性の光景が頭から消えなかった。



    突然、彼が人気のない場所へ車を止めた。


    「りこさ、さっきから上の空だけど、何かあった?」


    「えっ?ううん・・・何もないよ」


    「元気ないしさ・・・」


    「あっ、えっと、ちょっと最近体調が良くなかったからかな??
     ・・・ごめんね」


    「そっか。まだ調子よくないなら、今日は早めに送るよ」


    「・・・うん。ごめんね」




    「あのさ・・・そろそろ返事、聞かせてもらえない?」


    「・・・・」


    「まだ時間かかりそう?」


    「・・・ごめんなさい。正直、はっきり決められないの。今の学校で教師を続けたいし、離れた地へ行くことにも不安っていうか・・・」


    苦しい言い訳に言葉に詰まってしまった。



    「・・・・他に好きな奴でも出来た?(笑)」


    冗談ぽくそう言った彼は、優しく微笑みながらも、切ない顔をしていた。

    はっきり決断出来ない自分が腹立たしかった。





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■21680 / ResNo.21)  19
□投稿者/ zoo 一般♪(19回)-(2012/11/06(Tue) 10:40:02)

    彼は私の体調を気遣って、一緒に夕食をすることもなく早めに家まで送ってくれた。


    「今日は早めに休んで。また電話するよ。」

    「うん・・・ありがと」


    私は車から降りた。
    彼は、どこまでも紳士的で優しかった。




    その夜、お昼間に見た光景がまた思い出された。

    咲希は落ち着いているから、年上の友達が多いのかな?
    でも、年上っていっても私よりはみんな年下だよね・・・。
    咲希にくっついていた外国人の女性、綺麗な人だったな・・・。
    彼女が咲希の恋人なのかな。。。

    気になるけど、咲希に会っても聞かない。
    大人だし、教師だし。
    絶対、聞かない!!


    明日からまた学校だし、今日も早めに眠ろう。



    そう思って、ふと考えた。

    そういえば、咲希にお礼言ってないままだったな・・・。
    学校では他の生徒もいる手前、言えないしな・・・。



    「こんばんは。
     お礼が遅くなりました。
     金曜日は迷惑をかけてごめんね。おかげで体調は回復しました。
     ありがとう!また明日、学校でね!」 


    迷った挙句、初めて自分からメールをした。



    しばらくして咲希から返信が来た。


    「体調が回復したなら良かった。
     あまり無理はしないように。
     See ya.          」



    も〜素っ気ないメールなんだから(笑)。


    でも、何だか満たされた気持ちになり、そのまま眠りについた。






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■21681 / ResNo.22)  Re[19]: 19
□投稿者/ アリス 一般♪(1回)-(2012/11/06(Tue) 14:51:54)
    続き、楽しみにしています♪
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■21682 / ResNo.23)  20
□投稿者/ zoo 一般♪(21回)-(2012/11/06(Tue) 20:05:48)


    月曜日、また慌しい一週間は始まった。


    生徒の進路指導、面談、会議・・・ここ最近は時期的に忙しい。
    仕事が終わって学校を出たのが18時。


    満員電車に揺られながら、いつも通り帰宅。


    いつもと変わらない日々が続いた。




    そんなある日、出産を控えて産休に入る先生の代わりに、新しい先生がやってきた。
    私とは教える教科が違ったけど、若手の先生ということで私が色々面倒を見ることになった。


    彼女の名前は、前川さゆり。28歳。
    若手だけど、教育経験がないわけではない。
    しっかりした考え方をしていたし、生徒に対する態度も熱心だった。
    おまけに、どこか咲希と似たような雰囲気があるクールなカッコいい女性だった。
    外見的にもスラっと背が高く、スタイルが良くてお洒落だった。
    咲希と違うことがあるとしたら、年齢のせいか職業的な立場のせいか、誰に対しても物腰の柔らかい話し方をした。


    さゆりは、良く出来る優秀な教師なので、特別何か面倒を見るといったことはなかった。


    職員室での席も近かったせいで、さゆりとはすぐに打ち解けて仲良くなった。
    自宅も同じ方角ということで、時々帰りが同じような時間になる時は、途中まで一緒に帰ることもあった。


    そんなさゆりから、ある時、ご飯のお誘いがあった。


    ちょうと予定も入っていなかったし週末ということもあり、仕事帰りの夕方、軽く食事をすることになった。



    しっかりしているさゆりに任せっきりのまま、行ったこともなかった綺麗なお店へ入った。
    さゆりは慣れた様子でリードしてくれ、何だか私が年下のようで情けなくも思えた。
    落ち着いた雰囲気のお店で、おいしいお酒を呑み、久しぶりに少し酔っていた。
    何だか楽しかったし、気が抜けていた。



    お店を出ると、すっかり遅い時間になってしまっていた。


    駅から少し離れた場所にお店があった為、しばらく二人して静かに並んで歩いた。



    突然。


    さゆりが手を繋いできた。


    酔ってはいたものの、驚いた私はさゆりの顔を見上げた。



    「・・・!!???」


    「嫌ですか?」

    クールな顔で聞かれた。



    「あの、えっと・・・・」


    「江藤先生って、付き合ってる人いるんですか?」


    「えっ?! あっ、うん、一応・・・」


    「その人とはうまくいってますか?」


    「・・・・」


    「その人のこと、好き?」


    「・・・答えなきゃ・・ダメ??」


    「いえ、別に。」



    さゆりは冷静にそう言うと、私をリードするように手を繋いだまま歩いた。
    酔っているせいか、人通りが少ない道だったからなのか、手を繋がれるまま歩き続けた。


    駅に近づくにつれて、人通りが増えた為、自然と繋いでいた手をどちらからともなく離した。


    さゆりの雰囲気とか強引さ、誰かに似ている・・・。


    思い浮かんだのは、咲希のことだった。







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■21683 / ResNo.24)  Re[20]: 20
□投稿者/ miya 一般♪(4回)-(2012/11/07(Wed) 18:29:09)
    更新、ありがとうございますm(__)m
    新展開・・ひと波乱ふた波乱ありそうですね。

    思いやりある積極性って好きです^^
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■21684 / ResNo.25)  21
□投稿者/ zoo 一般♪(22回)-(2012/11/07(Wed) 21:13:33)

    週末の土曜日、ダラダラした朝を過ごしていた。
    昨日のお酒が少し残っている。

    その時、ベッドから起きれない私を起こすかのように、携帯が振動した。


    驚いたことに、咲希からのメールだった。


    「先生、おはよう。
     午後から時間ある?」



    いつも突然だから本当にドキッとしてしまう。

    どうしよう。
    なんて返信しよう。
    即返信するのもどうかと思うし・・・。

    ん〜・・・・でも・・・。


    「こんにちは。

     時間はあるけど、どうしたの?
     何かあった?  」


    しばらくして、今度は咲希から電話がかかってきた。


    「先生。今日、会える?」


    「えっ、あの・・突然どうしたの??」


    「会いたいだけだよ」


    「・・・も〜すぐまたそういうこと言うんだから(笑)」


    「本当のことを言っただけだよ」


    「・・・・」


    「会いたいんだけど。無理?」


    「も〜わかったから・・・(><)」


    「じゃ、13時頃迎えに行くから待ってて」


    「えっ?!迎えにきてくれるの?」


    「そうだけど。・・・迷惑??」


    「あっ、そういう意味じゃなくて。わざわざごめんね。」


    「じゃ、後で」


    「うん・・・」



    電話を切った後、時計に目をやると11時。
    え〜っと、え〜っと、そういえばどこ行くのか聞くの忘れた。。。
    どんな服装にしよう・・・。
    とにかくシャワー浴びて、お化粧して用意しなきゃ。
    も〜いつも突然なんだから。。。(><)


    少し早めに用意が出来たものの、咲希が来るまでの間、何だかソワソワして落ち着かなかった。


    そして、約束通りちょうど13時頃、咲希が車で迎えにきた。


    「先生、乗って」


    「あっ、うん」


    「何か食べた?」


    「ううん」


    「良かった。とりあえず何か食べに行こっか」


    「あっ、うん」





    「・・・・」


    「ところで、今日は急にどうしたの?」


    「ん?迷惑だった?」


    「そういうことじゃなくて・・・」


    「会いたかっただけだよ」


    「も〜・・・真面目に聞いてるのに。。。」




    ちょうど信号で止まったところで、咲希が真剣な顔でこっちを見た。


    「冗談で言ってるつもりはないけど」


    「・・・・」


    「先生に会いたかった。それだけだよ」



    目を逸らした私の心を引き止めるかのように、咲希は強引に手を繋いだ。


    どこまで本気で言ってるのか、わからなかった。
    会いたかったって、どういう意味で??
    つい聞いてしまいそうになったけど、大人げないから我慢した。
    きっと咲希なら、会いたいなんて誰に対しても、さらっと平気で言えるに違いない。


    昨日、さゆりに手を繋がれた時とは違う緊張。

    なぜだか、咲希に対しては、心臓の音が聞こえてしまいそうなくらいドキドキした。





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■21685 / ResNo.26)  22
□投稿者/ zoo 一般♪(23回)-(2012/11/08(Thu) 22:25:02)

    軽くランチをした後、CD探しに付き合って欲しいと言われた。

    CD探し・・・??

    キョトンとしている私を見て、咲希はクスッと笑い、それ以上詳しくは言わなかった。


    しばらくすると、少し古びたビルが並ぶ怪しげな通りに出た。
    そんな怪しげなビルの地下駐車場に咲希は車を置いた。
    何だか、怖い。。。


    「こんな所にCD屋さんがあるの??」


    「うん、まあね」


    「ふ〜ん。。。何か、怪しげな場所だね・・・」


    「うん、まぁビルだけ見るとね。怖い?(笑)」


    「・・・なんとなく。。。」


    咲希は私の手を繋いで歩き出した。
    人気のない地下駐車場からエレベーターに乗り、7階で降りた。

    人がいるかもしれないのに、咲希は繋いだ手を離してくれなかった。



    「ねぇ、人に見られたら変に思われるわ。」


    「大丈夫だよ。」


    「でも・・・」






    「先生。」

    「ん?」



    エレベーターを降りたばかりの、死角になっている廊下の隅。

    咲希は、私の体を抱き寄せ、いきなりキスをした。


    「んっっっ・・・!!」


    突然のことに、強張った私の体が無意識に抵抗しようした。


    が、更に深いキスを繰り返され、力が入らなくなった私は、逆に咲希にしがみつく形になってしまった。。。


    「先生・・・」

    咲希に優しく抱き締められた。




    「・・・どうしてこんなことするの。。。」


    「・・・・」


    「私、結婚するかもしれない相手がいるんだよ。。。知ってるくせに・・・」


    「・・・知ってるよ。」


    「・・・・」


    「・・・・」


    「もう、こんなことしないでね」



    咲希の顔をまともに見れないまま、お店の方へ続く廊下を歩いて行こうとした。


    「先生、待って」


    後ろからきつく抱き締められた。



    「私のほうが、ずっと前から先生のこと想ってたよ」


    「・・・・」


    「先生のことは、高校に入学した時から知ってる。ずっと見てたから、いつ彼氏が出来たのかくらい知ってるよ。結婚するかもしれないことも、皆が噂してたから知ってる。」


    「・・・・」


    「ずっと片想いだよ。カッコ悪いね(苦笑)」


    「・・・・」


    「強引なことしてごめん。もうしないから。」




    どうしてこんなに切ないの?
    いつものクールな咲希が、今はただ強がって平気なフリして・・・
    弱々しくて見てられない。。。


    駅に車で迎えに来ていた綺麗な女性は誰?
    学校の裏で告白された後は、どうなったの?
    休日に寄り添っていた美人な外国人との関係は?


    いっぱい聞きたいことが心の中にあったのに、そんなことがどうでもよく思えた。


    咲希の真っ直ぐ過ぎる気持ちに、自分の心が今までにないほど揺れていた。



    「先生、今日限定でいいからさ、恋人になってよ(^O^) 先生が変な目で見られるような場所には連れていかないから、信じて」



    咲希は明るくそう言うと、私の手を繋いでお店へ向かった。

    でも、こちらを見ようとはしなかった。



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■21686 / ResNo.27)  23
□投稿者/ zoo 一般♪(24回)-(2012/11/11(Sun) 13:07:40)
    そこには、私が想像していたような一般的なCD屋さんではなく、薄暗く照明を落としたカフェのような、雰囲気の素敵な空間だった。


    お店のオーナーがこだわりで海外から取り寄せなどするセレクトショップらしい。

    このセレクトショップのオーナーは、個性的な外国人女性だった。
    数少ないお客さんも、どうやら普段から外国人の割合が高いようだ。

    店員さんは咲希を知っているらしく、お店に入るとすぐに話しかけてきた。


    「久しぶりね」


    「そうですね」


    「ごゆっくり」


    「どうも」



    咲希が私の手を繋いだままでいることには全く無関心のようだ
    おまけに、他の数少ないお客さんも、他人のことなど興味がなさそうな雰囲気で、誰も私たちを気にしてない。

    お店には、明らかに日本のものではないレコードやCD、楽譜や楽器などが並んでいた。

    咲希は、CDを数枚と、いくつかの楽譜を買った。


    「ピアノ、弾けるの?」


    「うん、少しね」


    「へ〜 素敵だね」


    「・・・今度、良かったら聴きに来る?」


    「えっ?」


    「私のバイト先だよ」


    「あなたが演奏するの?」


    「そうだけど」


    「ほんとに??」


    「本当に(笑)」



    そう言って、咲希はバイト先のお店である名刺をくれた。
    全く知らないお店だった。


    「気が向いたら、おいでよ。バーだから、お酒は飲めるよ」


    「そんな場所で高校生のあなたが働いてるの?」


    「まあね」


    「そんなお酒を扱うお店で高校生のバイトは大丈夫なの?」


    「先生、さっきからさ、高校生高校生って、子ども扱いしすぎじゃない?確かに高校生だけどさ・・・」


    「あの、ごめんなさい。そういう意味で言ったわけじゃないの。ただ、心配っていうか・・・」


    「わかってるよ(笑)」


    「・・・・」


    「まぁ、気が向いたら、お酒飲みにおいでよ」


    「うん」



    そんな話をしながら、地下駐車場の車に戻った。


    車に乗ったところで、携帯のメールが振動した。
    咲希といるし、失礼だと思ってメールには気付かないフリをした。


    「先生、電話かメールじゃないの?」


    「あっ、うん。いいの」


    「別に気にしなくていいよ」


    「・・・うん。じゃ少しだけごめんね」


    「はい、どうぞ〜 車出すけど、いい?」


    「あっ、うん」



    咲希は黙って車を出した。


    メールが届いていた。


    「今はまだ仕事してるけど、
     18時には終わるから食事に行かないか?
     会いたい。              」


    彼からのメールだった。
    どうしよう。。。咲希と一緒にいるし。

    とりあえず、そのまま返信せずに携帯をバッグに入れた。



    しばらく窓の外をぼ〜っと見ていた私に、咲希もしばらく黙っていた。


    そして、再度バッグから携帯を取りだして返信した。


    「ごめんなさい。
     今日は友達と出掛けているの。
     また、電話します。      」  


    急いでそれだけ書いて返信した。








引用返信/返信 削除キー/
■21687 / ResNo.28)  24
□投稿者/ zoo 一般♪(25回)-(2012/11/11(Sun) 13:09:36)

    「今はどこに向かっているの?」


    「内緒」


    「内緒??」


    「もうすぐ着くから」


    「も〜いつも教えてくれないんだから。。。」





    「・・・先生、何かあった?」


    「ううん、何もないよ」


    「・・・・」


    「・・・・」


    「メール、彼氏?」


    「あっ、うん。ごめんね」


    「いいの?」


    「ん?何が?」


    「まだ一緒にいて」


    「うん、今日はあなたとお出掛け中よ」


    「・・・先生、無理しなくていいからね」


    「無理なんてしてないよ」


    「そう。ならいいけど」



    さっきのお店を出て車に乗ってから、咲希は手を繋いで来ない。


    なんでだろう・・・寂しい。
    何考えてるんだろう、私。。。



    そろそろ日が沈み始める頃。
    咲希が車を止めた場所は、休日で静まり返った工場地帯のはずれ。


    「あっ、あれって空港?」


    「そうだよ」


    「すごい!飛行機が見えるね」


    「うん。この時間は、飛行機の飛ぶ本数が多いから次々見れるよ」


    「すごいね〜 よくこんな場所知ってるね」

    「まぁ、ね」


    しばらくの間、ただぼ〜っと、夕暮れ時の空を見ていた。

    気が付くと、辺りはもうすっかり真っ暗だった。


    「先生、お腹減ってない?」


    「ん〜・・・ちょっとお腹減ったね」


    「じゃあ、軽くご飯行く時間ある?」


    「うん」


    「食べたいものある?」


    「ん〜・・・あなたに任せる」


    「はい、了解」



    咲希が連れて行ってくれたお店は、多国籍料理の雰囲気良いお店だった。
    高校生のくせに、色々なお店を知っていることに関心してしまう。
    デート慣れしてるのかな・・・

    料理もお酒も、全て咲希にリードしてもらってる。

    私のほうが年上なのに、不思議と咲希には甘えてしまいたくなる。

    咲希は、運転だし何より未成年だし〜と、冗談ぽく言ってお酒は飲まなかったが、きっと飲めるんだとは思う。


    咲希といると、何だか落ち着く。
    でも、どうしようもなくドキドキさせられることもある。


    はぁ〜・・・どうしよう。
    間違いなく、咲希のことが好き。。。恋愛対象として。
    でも、自分の立場や歳の差を考えると、簡単に好きだなんて言えない。。。。


    お店を出る頃には、心地よい酔い具合で気分が良かった。


    でもやっぱり、お昼間のCD屋さんを出てから、明らかに咲希から距離を置かれてる・・・

    いつも通り優しいことに変わりはないけど。
    お昼間のことを思い出した。



    彼氏との結婚なんて言ってしまって、きっと傷つけたよね。。。

    だって急にキスしたりするんだもん。。。(>_<)


    でも・・・嫌じゃなかった。
    あの場所が二人きりの室内だったら、抵抗出来る自信がなかったかもしれない。


    こんなこと考えるなんて、教師失格。


    生徒の前でお酒まで飲んで、こんなことしてていいのかな・・・
    咲希といると、自分が教師であることとか、咲希が生徒であることを忘れそうになってしまう。

    どうしよう・・・


    色々考えていると、咲希の携帯が鳴った。







引用返信/返信 削除キー/
■21688 / ResNo.29)  25
□投稿者/ zoo 一般♪(26回)-(2012/11/11(Sun) 13:19:55)
    咲希は私に気を遣ってか、電話に出ないまま切ろうとした。


    「私に気を遣わないで、出て。ねっ?」


    咲希はじっと私を見つめると、切ろうとしていた電話に出た。

    おそらく内容からは、明日?誰かと会う約束。
    デート・・・なのかな??

    はぁ〜・・・どうしよう嫉妬したりして。
    自分から咲希を突き放したくせに。

    咲希は用件だけ言うと、すぐに電話を切った。


    「先生、ごめんね」


    「ううん・・・」


    そうして、お店から少し離れた場所に止めていた咲希の車の所に着いた。



    少し酔っているせいかな。
    家まで送ってもらう車の中で、自分から咲希の手に触れて指を絡めた。
    咲希に軽蔑されるかもって思いながらも、不安で仕方なかった。


    咲希は冷静だった。


    「先生、どうしたの?」


    「今日の私はあなたの恋人なんでしょ?だから・・・」


    「なんだ、そういうことか(笑)」



    はぁ〜・・・バカ。
    こんなこと言ったら、また咲希を傷つけるだけなのに。

    咲希と同じ立場なら、素直に言えたのかな・・・

    咲希は大人びてる。
    いつも私を尊重した接し方をしてくれる。

    きっと、心の中は読まれちゃってるのかもな・・・




    私のマンションに着くまで、咲希は黙って手を繋いでくれていた。


    「今日はありがとうね」


    そう言って繋いだ手を離そうとした。



    「先生・・・」


    「ん?」


    「まだ日付け変わってないし、先生は私の恋人だよね?」


    「えっ・・・?あっ、うん。そうね・・」



    狭い車の中で抱き寄せられた。



    「強引なことはしないって言ったけど、これも強引?」


    「・・・・」


    ただ首を横に振った。

    そして、左手を捕まえられた。

    咲希はこちらをじっと見つめたまま、力の抜けた私の左手首にキスをした。


    「んっ・・・//////」


    恥ずかしくて目を逸らした。



    「どういう意味か知ってる?」


    「えっ?何が?」



    今度は同じ場所を少し強く吸われた。


    「っっあっ・・・!」


    手首にキスされたことなんてない。
    心臓がドキドキ止まらない。

    手首にキスされたくらいで感じてしまったことがバレているかも。。。(>_<)

    咲希のバカ。。。


    やっと咲希が離してくれた。


    「えっと、、、それじゃ、帰るね!」


    「うん」


    「帰り、気を付けてね」


    「うん」



    逃げるように車を降りた。

    ドキドキが止まらなかった。


    部屋に入ると、魂が抜けたようにソファに座り込んだ。
    ふと手首を見ると、薄いキスマークが残っていた。

    何だか色々なことがあった一日だった。



    お風呂から上がって、そろそろ寝ようかと思った時、咲希が言ってたことを思い出した。


    どういう意味か知ってる?って、何のこと?

    キスされたこと?
    それともキスされた場所の意味??

    ん〜・・・

    なんとなく携帯で検索してみた。

    “ 手首にキス ”



    えっ?!?!

    検索結果を見た私は、激しく動揺した。







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