ビアンエッセイ♪

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■6363 / ResNo.10)  たこやさんへ。
  
□投稿者/ 秋 一般♪(10回)-(2005/02/10(Thu) 23:50:45)
    はい、その秋です。
    BLUE AGEの方も読んで下さったようで嬉しく思います。
    あちら共々完結まで手を抜かずに書いていくつもりなので、よろしくお付き合い下さいm(__)m

    (携帯)
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■6813 / ResNo.11)  あああ…
□投稿者/ くぅち 一般♪(1回)-(2005/02/19(Sat) 17:16:19)
    なんだか切ないです(T^T)淡々とした語り口なのに胸がきゅううと締めつけられるような…今後の展開がすっごくすっごく気になりますっ(>_<)楽しみに待ってますよぉ(^O^)/

    (携帯)
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■10215 / ResNo.12)  くぅちさんへ。
□投稿者/ 秋 一般♪(16回)-(2005/06/16(Thu) 10:09:49)
    返信がとても遅くなってしまって申し訳ありませんm(__)m
    更新の方も滞っていましたが、ようやく続きを書きましたので目を通して頂けたら嬉しく思います。
    感想、ありがとうございました。
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■10216 / ResNo.13)  さよならの向こう側10
□投稿者/ 秋 一般♪(17回)-(2005/06/16(Thu) 10:10:49)
    そんな事があった次の日でも、変わらず彼女はそこにいる。
    いつもと態度を豹変させる事はなく、当たり前のようにそこに。

    私はそんな彼女から少し距離を取りつつ、自身の仕事をただ淡々とこなす。
    彼女と言えば、私に構うでもなく、まして気にする素振りすら見せずお茶を啜り、けれど時折私をじっと見つめた。
    その瞳に。
    私は気付かない振りをした。



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■10217 / ResNo.14)  さよならの向こう側11
□投稿者/ 秋 一般♪(18回)-(2005/06/16(Thu) 10:11:41)
    彼のプロポーズから二週間──
    とうとうはっきりさせなければならない日がやって来た。



    「それで?お前はどうしたいんだ?」

    互いの仕事が終わってから私の部屋で夕食を摂り、帰る彼を途中まで送ろうと、駅への通りを二人並んで歩いていた矢先の事だった。

    「───…え?」
    街灯の下で思わず立ち止まる。

    「この先どうしたいんだ?結婚する気はあるのか?」
    そう問う彼の顔が明かりに浮き出され、私を責めているようだった。
    何も答える事が出来ずにいる私に、すっと近寄る。
    「なぁ、俺の事好きだろ?この先も一緒に居るつもりなら──」
    柔らかく私の肩を抱こうとする彼の手を、私は無意識に避けた。
    彼の目の色が変わった事には気が付いたが、私にはどうする事も出来ず。
    乱暴に肩を掴まれ、引き寄せられる。
    唇を寄せられ──しかし、私は顔を背けて拒絶した。
    「何で…」
    彼の手がゆっくり離れ、力なくうなだれる。
    「どうしてだよ…なぁ?泣いてないで何とか言えよっおい!」
    荒げる彼の声に、ようやく私は自分が涙を流している事を知った。
    「泣く程嫌か?そんなに?」
    もはや苦笑すら浮かべている彼に、
    「ごめっ…ごめ、ん…ごめんなさいっ…」
    私はただただ謝るしかなかった。
    そんな言葉しか出てこなかった。
    嗚咽が止まらない。
    涙も止まらない。
    彼の溜め息が一つ聞こえて。

    ─結婚しないなら…別れよう。

    そう一言残し。
    私一人を残し。

    彼はその場から、私の元から去って行った。

    街灯の下。
    佇む私。
    涙はとうに枯れた。
    悲しかったわけでは、決してないけれど。
    何故だか無性に、寂しくなった。

    だからかもしれない。
    街灯の明かりで映し出された一つだけの私の影に、別の誰かの影が重なり。
    はっとして顔を上げた瞬間に、その誰かが私に向けている瞳を見て、また涙がこみ上げてきてしまったのは。



    「…そう言えば、この辺りに住んでるって言ってたわね」



    栗色の野良猫は、
    口角をにっと上げた。



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■10218 / ResNo.15)  さよならの向こう側12
□投稿者/ 秋 一般♪(19回)-(2005/06/16(Thu) 10:12:43)
    「振られちゃった?」

    にやにやとした笑みを口元に添えて、私に近付く高屋さん。

    「…いつからそこに?」

    辺りはもはや暗闇とは言え、煌々とした光を放つ街灯の下。
    気付かれているとは思いつつも目元をぐいっと手の甲で拭い、努めて冷静に振る舞う。
    「結婚するのかしないのか、みたいなとこから」
    彼女はあっけらかんと言うので、
    「それじゃ最初からじゃないの…」
    何だかとてつもなく力が抜けてしまった。
    「ね、先生?」
    はぁと息を吐く私の顔を、高屋さんは覗き込む。
    その距離の近さに思わず身構えるが、私はあえて身動きはしなかった。
    「結婚、しないの?」
    何で?と、高屋さんは首を傾げる。
    言葉に詰まる私。
    何とか誤魔化そうとして。
    「まだわからないわ。でも…あなたも見ていたでしょう?彼とはもう駄目みたい」
    だからしばらく先の事になりそうね、そう続けようとした。
    けれど。

    「──怖いんだ?」

    高屋さんの声に。
    私は言葉を失った。

    彼女を誤魔化す事は難しい。
    いつだって、その瞳は私の何もかもを見透かしているから。



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■10219 / ResNo.16)  さよならの向こう側13
□投稿者/ 秋 一般♪(20回)-(2005/06/16(Thu) 10:14:39)
    「前にも言ったよね、あたし」

    俯く私に、高屋さんの声が静かに響く。

    「先生が動けないのは持ってるものでがんじがらめになってるからだ、って。受け入れる事も捨てる事も出来ないからどうにもならないんだ」

    少しだけ顔を上げると、大きな猫目が私を真っ直ぐに見据えている。
    相変わらず、栗色の髪の毛が夜風になびいていた。

    「そんなに怖いの?」
    もう一度、先程の言葉を繰り返す。
    今度は囁くように。

    「委ねる事が、怖い?」

    優しい声。
    口角は上がったまま。

    「信じる事が?裏切られるかもしれないから?」

    私は。
    私は──

    「そうよっ悪い?!怖いわよ!全部を任せる事なんて、すぐに考えられるわけないじゃない!──結婚、なんて…わからないわよ…。怖いに決まってるじゃない…!」

    いつの間にか泣いていた。
    一度放たれた言葉に、感情が次々と溢れ出す。
    私はその場にしゃがみ込んだ。

    「怖いわよ、自分を託すのは……」

    顔を腕に埋めてぽつりと呟いたら、ふわりと頭に触れる細い指の感触が伝った。

    ゆっくり顔を上げると、同じように高屋さんもしゃがみ込んでいる。
    正直、泣き顔を見られる事に戸惑いはあるけれど。
    髪の毛を撫でられても嫌な気がしなかったから、私は何も言わずにされるがままになっていた。

    「あの人との未来なんて…見えなかったわ……」

    息をつくように。
    吐き出されたのは多分本音。
    その一言に髪を梳く指が止まって。
    彼女の片手が私の頬を包んだ。

    「…あたしは」

    私の目の奥までもを覗き込む、綺麗な綺麗な高屋さんの瞳。

    「先生…あたし──」

    指先に帯びた熱が頬に伝わる。

    私はその瞳に見入って、その熱に戸惑って、けれどそこから動けずにいた。


    「───…あたしは。あたしはさ…──私は…」
    人を食ったような彼女の口調が、改まった。


    彼女は口角をふっと上げたけれど、いつものようににやりとはしなかった。




    「私を選びなよ、先生」




    緩められた口元からこぼれた言葉はあまりにも優しく。

    鋭い瞳が私を射抜いた。


    「ねぇ、先生。気付いていたんでしょう?」

    あの時の、あの舌先を思い出す。


    言わないで。
    私を好きだなんて。
    愛してるだなんて。
    お願いだから、言わないで。
    その先を言われたら、きっと私は抗えない。


    「先生。ねぇ先生、私は…」

    愛してると言わないで…。

    「私は………あたしは」

    ──………え?

    恐る恐る顔を上げると、

    「あたしと一緒に来る?先生」
    フランスに、と。
    口角を上げてにやりと笑った。

    「──…遠慮するわ」

    泣きそうになるのを堪えながら応えると、

    「だよね」

    へらっと笑った。





    ありがとう。
    気楽な問いへと切り替えてくれて。
    ありがとう。
    愛してると言わないでくれて。


    じゃあねと立ち上がって街灯の明かりの下から一歩踏み出し、私に背を向けた彼女は、あの先を言うのは狡いからやめとく、と。
    ぽつりと呟いた。
    顔だけでこちらを振り返ると、だってそしたら絶対先生は…、そこまで言って泣き笑いのような表情を見せた気がする。
    暗闇はどこまでも陰りを包むから。






    差し出された華奢な腕に、縋る勇気はなかった。

    けれどそれはそこにあって、細くともしっかりとした確かなものだったのにね。





    あの日の私が欲しかったのは。
    間違いなくあなたでした。





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■10253 / ResNo.17)  すごい…
□投稿者/ さわ 一般♪(1回)-(2005/06/18(Sat) 00:48:55)
    BLUE AGEの方も読みましたが…秋さん天才ですか!?これだけテイストの違う話をこんなに思いつくなんてすごすぎです!!すっかり秋さんの魅力にメロメロな私です(^_^;)こちらは切なすぎますがこの先の展開が気になります!!どちらも楽しみにしてますね☆
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■10593 / ResNo.18)  さわさんへ。
□投稿者/ 秋 一般♪(21回)-(2005/06/30(Thu) 10:21:37)
    私の書くものがさわさんの目に触れた事、嬉しく思いました。
    BLUE AGEの方は完結までまだ時間が掛かりそうですが、こちらはようやく書き終えましたので、また目を通して頂けたら幸いです。
    感想、ありがとうございました。


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■10594 / ResNo.19)  さよならの向こう側14
□投稿者/ 秋 一般♪(22回)-(2005/06/30(Thu) 10:22:24)
    程なくして──
    彼女は異国の地へと発った。
    もっとも彼女にしてみれば、そこは異国でも何でもなく、まだ見ぬ故郷だったのだろうけれど。

    私に一言も告げず、目前に迫った卒業式を待たず、何の未練も見せずに静かに去った高屋さんは最後まで自由で。
    きっとあの夜が、私とのさよならだったのだろう。
    本当にあなたは猫のようね、その「らしさ」に思わず笑みがこぼれた。
    一欠片の寂しさを添えて。





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