ビアンエッセイ♪

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■7413 / 親記事)  やさしく愛して
  
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(1回)-(2005/03/07(Mon) 15:26:48)
    2005/03/18(Fri) 09:41:24 編集(投稿者)

    「万紀!?どこ行くの?」
    「ごめんっ、今日はあっちで食べるね!」

    四限目のチャイムが鳴り、教室中が昼食の休憩を取る為の空気でざわめく。あたしは、即座に鞄からお弁当箱を二つ取り出し抱えると、教室を飛び出した。友人が止めるのも聞かないで。
    あたしの名前は万紀(まき)。HK女学校に通う高校生。勉強は苦手だけど、仲の良い友達がいるし学校生活は結構楽しんでる。
    そして、あたしの学校生活をより楽しくさせてくれるものにも出会った。もの…というより人かな。
    歩む足は目的の場所へとどんどん走り出した。

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■7414 / ResNo.1)  感想
□投稿者/ 百合絵 一般♪(1回)-(2005/03/07(Mon) 16:02:47)
    続き、楽しみにしています♪

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■7418 / ResNo.2)  百合絵さんへ
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(2回)-(2005/03/07(Mon) 17:59:26)
    読んで頂き、ありがとうございます!誠意執筆中ですので、少しずつアップしていきたいと思いますo(^-^)o応援宜しくお願いしますm(__)m

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■7419 / ResNo.3)  優しく愛して(2)
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(3回)-(2005/03/07(Mon) 18:34:21)
    三階から一階への階段を駆け降りて、廊下の突き当たりへと急ぐ。その部屋は、あたしの大好きな人の聖地なの。
    引き扉を開けようと取っ手に手をかけた瞬間、
    「先生っ…あたし先生のことが…!!」
    中から他の女生徒らしき声が響いてきた。
    「やっば…」
    あたしは慌てて扉に背を向け、柱の影に隠れた。どうやら、告白の場面に丁度良く居合わせてしまったみたい。やれやれ、とその場に腰を降ろして、やりとりに終始を着くのを待つことにした。
    部屋の中で、女生徒と思われるかん高い声と、大人の女性を連想させる甘くもやや低い声の押し問答が続いた。そして、やや間が空いて。
    ガラッ!!
    扉が勢い良く開けられ、女生徒が顔を手で覆って、鉄砲玉の様に飛び出してきて走り去っていた。音にびっくりして、あたしは顔を見ることはできなかったけど…女生徒は多分泣いてたんじゃないかな。そんな気がする、多分。…でも、可哀相とは思えなかった。

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■7429 / ResNo.4)  優しく愛して(3)
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(4回)-(2005/03/07(Mon) 22:08:28)
    女生徒が行ってしまったのを見計らうと、開けっぱなしの扉から顔を覗かせた。
    「せーんせ。入ってもいい?」
    中にいた女性は頷いてあたしを手招きした。
    あたしは薬品の香が漂う部屋に入ると、そっと扉を締めた。
    「待たせたね、万紀。」ちょっと困った様に微笑むこの女性、この人は美也子先生。保健室の先生。保健室にしか姿を現さないというポリシーをもった、ちょっと変わった先生。でも、あたしはこの先生が大好きなんです。
    「ううん、全然!!先生ってば相変わらずモテるのね。」「あたしだからね。」あたしの冷やかしに、美也子先生は微笑んでかわす。大人の余裕って感じがして恰好良い。
    目を細めて微笑む仕草にも一瞬見惚れてしまう。さっきの女生徒が惹かれるのも無理は無い。だって美也子先生は本当に綺麗だから…。

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■7449 / ResNo.5)  優しく愛して(4)
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(5回)-(2005/03/08(Tue) 12:13:39)
    2005/03/09(Wed) 13:09:46 編集(投稿者)

    美也子先生はウェーブのかかった黒く長い髪を一つにまとめている。肌は白く、目はきりっとして右目の下に色ぼくろ。時々眼鏡をかけていて、知性ある女性の印象もばっちり。唇に引かれた真っ赤なルージュは妖艶さをかもし出していた。
    「同僚に『下品な色』って言われるんだけどね。でも、赤って人の魅力を引き出す気がするでしょう?」
    前に、口紅が素敵ねと話したらこんな答えが返ってきた。あたしは直ぐに頷いた。だって、美也子先生の唇の色は下品どころか、まるで宝石みたいに輝いていたから。グラマーな体にタイトスカートと淡い色のブラウス。美也子先生がモテるのも無理無いか。美也子先生と対象的に、あたしはどこにでもいる様な顔で、美人でも可愛いとも思わない。唯一、明るい茶色の髪を肩まで伸ばした。これだけ自前なのが自慢。

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■7450 / ResNo.6)  優しく愛して(5)
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(6回)-(2005/03/08(Tue) 12:19:06)
    そしてまた、告白の場面に居合わせたのも今回が初めてじゃない。良くあることなのだ。先生の件も含めて。生徒同士や先生と生徒でラブラブしてる子もいるし。美也子先生に至っては、告白を受ける回数が半端じゃない。先生は相手にしてないみたいで…内心すっごく安心。ライバルが多いのも、辛いなぁ…。
    「先生、今日のお弁当はどう?」
    「…うん。とても美味しいよ。この卵焼きなんか絶品だね!」
    あたしは嬉しくて思わず悲鳴をあげちゃった。

    あたしと先生の出会いは入学式。受験後の風邪が長引いて、式の途中で熱出して倒れてしまい保健室へ運び込まれて…出会ったのが美也子先生。
    「大丈夫か…?」
    熱でうなされるあたしを介抱してくれた先生は、まるで女神様みたいだった。今では一緒にお弁当を食べる仲良しさん。一目惚れして恋に落ち、先生に少しでも近付きたくて。あたしの努力のたまものです。
    「万紀とご飯を食べる時が一番落ち着くね。」
    「本当?嬉しいっ!!」
    机を挟んで先生と向かい合わせに座ってお話し。今の所、先生にお近づきなのはあたしだけみたい。名前で呼ぶのもあたしだけ。なんだか嬉しい。『特別』って気がする。

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■7640 / ResNo.7)  優しく愛して(6)
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(7回)-(2005/03/11(Fri) 14:22:08)
    「でも…先生って本当に綺麗。良いなぁ。」
    あたしの間延びした声に美也子先生が肩を軽くすくめて微笑んだ。
    「万紀だって可愛いじゃない。」
    美也子先生が棚から湯飲みを二つ取り出し、急須のお茶をゆっくり注ぐ。蓋に添えられた指先はしなりと伸びていて、まさに大和撫子。思わず見惚れてしまっていたあたしは返事にどもってしまう。
    「…だ、だって。綺麗と可愛いは違うよ。あたしも早く綺麗になりたいなぁ。」
    と、あたしの分のお茶を一口すする。先生も自身の分をすすると、湯飲みを机に置いた。机に両肘を付き、手を組んでその上に顔を乗せて、何か企む様な口調をして細い目であたしを捉らえた。
    「…じゃあ恋をすることだね。素敵な恋をするほど女を磨くって言うじゃない?」

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■7662 / ResNo.8)  優しく愛して(7)
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(8回)-(2005/03/12(Sat) 07:53:07)
    2005/03/12(Sat) 09:45:01 編集(投稿者)

    その言葉に一瞬愕然となる。まさか、先生に恋を薦められてしまうなんて…「先生っ!!あたしだって立派に恋してます!!」思いもしなかったから。
    思わず席を立って先生に向かって叫んでしまった。愛しくて大好きな美也子先生。先生の『特別』はあたしのだけで、あたしの『特別』は先生のだけ。当にわかっていてくれることだと思っていたのに。刹那、先生が目を丸くして動きを止めた。
    「へぇ…それは誰なのかな?知りたいなぁ」にっこりと笑って言うのに…目の奥が笑って無いのはあたしの気の所為??
    なんか先生…怒ってない??
    「…っ…それは…」
    「それは?」
    思わず声の勢いがしどろもどろになってしまう。こんな誘導尋問な告白は嫌だ…互いになんでか喧嘩腰になってしまってるし。どうしよう。言うべき?言わざるべき?…美人が怒ると迫力あるけど…美也子先生…有り過ぎだよ…。
    「そこの女生徒!!予鈴は鳴ったぞ!本鈴が鳴る前に教室に帰りなさい!!」「絹ちゃん!?」
    その時だった。威勢良く気の強い声であたし達の間に割って入ったのは、保健・体育教師の絹香先生。ショートの髪にきりっとした顔付き。ボーイッシュな感じの姐御タイプ。常に着衣している真っ青なジャージがいかにも彼女らしい。

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■7663 / ResNo.9)  優しく愛して(8)
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(9回)-(2005/03/12(Sat) 07:55:32)
    2005/03/12(Sat) 09:45:47 編集(投稿者)

    時々首からストップウォッチを下げたまま帰宅していたり、授業中に何故か竹刀を携えていたり不思議な点が沢山あるけど。皆から慕われて『絹ちゃん』て呼ばれてる。
    まさにその絹ちゃんの鶴の一声。
    「いっけない!!美也子先生のお弁当箱、後で取りに来るから!!」
    絹ちゃんの声で我に返り、あたしは慌てて自分の分のお弁当箱を抱えた。そして、いつの間にか開け放たれた扉にもたれている絹ちゃんの横を飛び出した。
    「じゃね!美也子先生っ、絹ちゃん!!」
    「ええ、後でね。」
    「ほら、早く行きな。」絹ちゃんに追い払われる様に手を振られ、代わりに美也子先生にちっちゃく手を振って、あたしは走って保健室を後にした。

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