ビアンエッセイ♪

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■7973 / ResNo.20)  優しく愛して(13)
  
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(17回)-(2005/03/17(Thu) 20:47:54)

    後々話を聞く内に、絹ちゃんは最初から告白する気だったらしい。…絹ちゃんらしいなぁ。客観的に見れば『美女と野獣』カップルなんだけどね。
    ――――――――――

    「はぁっくしゅん!!」
    「うわ!絹香、風邪!?」
    絹香の豪快なくしゃみに、美也子がひゃっと驚き肩をすくめた。
    「さぁ?なんか、いきなりくしゃみが……。」
    絹香は首を傾げながら、鼻の下をこする。
    「風邪なら早めに処置してもらった方がいいわよ?」
    美也子は席を立つと、棚の引き戸を開け中を物色し始めた。
    「はっは〜ん…さてはどっかの可愛い子猫ちゃんがあたしの事を素敵って言ってるなぁ〜?!」
    ……………。

    「馬鹿に効く風邪薬って置いてあったかしら。」

    「おいっ!」
    ――――――――――

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■8625 / ResNo.21)  優しく愛して(14)
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(18回)-(2005/04/11(Mon) 00:14:22)
    「それで、万紀ちゃんは渡さないの?」
    さと子はガナッシュをゆっくりと予め象った生地の中に入れていく。あたしはその上からまた生地を絞って蓋をする。
    「……渡したいんだけどねぇ…。」
    絞る手つきが遅くなり、思わず苦笑いになってしまう。やや喧嘩腰になってしまった後に、だもの。気軽にとは言えず…。
    なんだか後ろめたい気分だった。
    数分前はあたしのお弁当を食べて微笑んでくれた。美味しいといってくれた。あの…優しく綺麗な笑顔で。

    そんな美也子先生ともっと近づきたかった。

    「美也子ちゃんと喧嘩したの??」
    さと子がきょとんと顔を覗かせた。
    「うん…まぁ、そんな感じ…かな。」
    お茶を濁らせるあたしの言い方に歯がゆさを感じたのか、さと子が顔をぷうっと膨らませた。
    「良くないよぉ、そんなの。」
    うん、もっともな意見を云ってくれる。
    「だって、万紀ちゃんと美也子ちゃんは喧嘩する理由が無いでしょ?」
    「うん、そうなんだけどね。」と、あたしは曖昧に相槌を打つ。用意した鉄板に生地をきちんと並べて置いて、その鉄板をさと子に手渡した。

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■8626 / ResNo.22)  優しく愛して(15)
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(19回)-(2005/04/11(Mon) 00:16:46)
    さと子は黙ってそれを受け取り、しばし見つめた後こう言い放った。
    「だったらね、万紀ちゃん。」
    「何?さと子?」
    「このチョコを告白の時に持って行って、言ってみよー!!」
    ゴー!!と腕まであげていきり立つさと子。
    「は?」
    唖然。思わずあたしは間抜けな声を出してしまった。あたしは頬に一筋汗を流す。
    「さと子…それ…一足飛び過ぎだから…。」
    おいおいとさと子に向かって、手をぱたぱたと振る。
    「あれぇ…おかしいなぁ?」
    さと子は何が間違ってるのだろう、とうーんと頭を捻る。


    でも、それもありだよね

    首を捻り考え込むさと子に、チョコを焼くよう促してあたしは言った。
    「さと子…これが焼けたら、美也子先生んとこ行ってくるね。で、話してくる!」
    「そっかぁ!頑張れ、万紀ちゃん!!」
    「ありがと、さと子。」
    その時、レンジが軽やかな音をたてて鳴いた。

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■8628 / ResNo.23)  優しく愛して(16)
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(20回)-(2005/04/11(Mon) 00:23:00)
    それはとても簡単なことだったの。
    簡単過ぎて気付かなかった。ううん、気付けなかった。

    美也子先生が好き。
    この一心だけに翻弄されていて、たった一言を紡ぐことができないまま、美也子先生を独り占めしたかった。

    狡いよね、こんなあたし。
    喧嘩して気まずくなって、ずっとそのまま。
    なんて…嫌。絶対、嫌。
    告白しようなんて、気付けなかったよ、ほんとに。

    あたし、美也子先生が好き。

    ねえ、先生?
    先生の一番近く。

    あたしで独り占めして良いですか?

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■9060 / ResNo.24)  優しく愛して(17)
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(21回)-(2005/04/27(Wed) 02:15:42)
    ところ変わって保健室。絹香の豪快なくしゃみに美也子が冷ややかな視線を送った後だった。
    「ったく…冗談だってのに。」
    絹香は美也子のテーブルにもたれ腕を組み、むすっとなる。
    「あんたの可愛い彼女が聞いたら卒倒しちゃうわよ?」
    美也子は白衣のポケットに両手を入れ、棚から離れ首だけで絹香を振り返った。
    「何言ってんだか。あたしの彼女は一人だけだって。」
    「はいはい、そうでしょうとも。」
    絹香の的を外れまくった上に、その根拠は一体全体何処からくるのか、自信満々な返事に一段と呆れて答えた。
    「そういう、美也子はどーなのさ?」

    「どーって……良い所で邪魔してくれたのは、どこのどなたでしたっけ?」
    美也子のひきつった笑顔を一瞥し、絹香は声高にあははははと笑って言った。
    「あー悪い悪い!核心に入るとこだったのね。」
    「そうよ。それをどこかの誰かさんが…。」
    「だから悪いって言ってるじゃん。」
    ぶつぶつと不満をぶつける美也子に対し、今度は絹香が呆れて返ってこう言った。
    「くどい女は嫌われるぜ?」
    「誰の所為だと思ってるのよ、あんたはー!」

    さらに笑い声を飛ばす絹香へ美也子の叫びが部屋中に反響した。

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■9063 / ResNo.25)  感想
□投稿者/ 拓人 一般♪(3回)-(2005/04/27(Wed) 11:25:24)
    面白いです!
    早く続きが読みたいです(^-^)
    待ってます。

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■9259 / ResNo.26)  拓人さんへ。
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(22回)-(2005/05/05(Thu) 18:09:55)
    返事遅くなってすみません(汗)
    励ましの言葉ありがとうございます!遅筆ですが、励みにして頑張りたいと思います(^-^)

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■9266 / ResNo.27)  感想
□投稿者/ えりか 一般♪(1回)-(2005/05/05(Thu) 23:23:46)
    ずっと読ませてもらってます!これからの展開が楽しみです♪
    続き、お願いします(^^)☆★

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■9269 / ResNo.28)  えりかさんへ。
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(23回)-(2005/05/06(Fri) 01:21:28)
    毎回励ましの言葉ありがとうございます!!遅筆ながらも、応援の言葉を胸に完結目指しますね(>_<)頑張ります!!

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■9270 / ResNo.29)  優しく愛して(18)
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(24回)-(2005/05/06(Fri) 01:23:03)
    激を飛ばした美也子は、ふうと溜息を一つついた。美也子のどこか虚げで淋しげな表情に、絹香が首を傾げた。
    「何?まだ何かあるわけ?」
    美也子が顔を上げた。
    「何かって何?」
    「いや、聞いてるのはこっちなんだけどさ。」
    絹香が肩をすくめて、思わず苦笑を漏らす。
    「あの子に対してよ、まだ何かあるのか?」
    美也子は一度目を見開くとそのままうつむいてしまった。その様子に、絹香が「まだ何かあるんだ」と呟いた。
    「あんたにしては奥手じゃないか?」
    美也子はゆるゆると首を横に振る。
    「奥手どころか…もう近づく距離にすらなれないのかも。」
    「何故?」
    美也子は再度顔を上げると、ぽつぽつと事の次第を話した。
    絹香はただ黙って、それに耳を傾ける。


    「要するに、あの子の真意を確かめたいが為に核心を探ろうとしたが、性急過ぎた所為で喧嘩になった…と。」
    「完璧かつ完結にまとめてくれて、ありがと。」絹香の答えに美也子は微笑にも苦笑いが混じる。絹香はそれに対して静かに目を細めた。

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