[]-13196/親
紅い月


ある美しい女は

夜空を見上げて ギターを奏でた

星空は、静けさの中で

その美しい調べに耳を傾け

吹き抜ける風は、その旋律に合わせるように

少し哀しげに音を奏でる


女は、目を閉じていた

その瞳から溢れる涙を隠すように・・・


その日の月は

紅く・・・妖しい・・。




--------------------------


「私たち、ほんとに、もう終わりなの?」


「うん。もう終わりよ。」


ベッドで、煙草を吸いながら冷ややかな目で、さらりと葉月は言った。


いつも、そうなんだ・・。

1年以上もったことなんて1度もない。

月に1、2度会って、ホテルでHして・・。


「もう十分でしょ?」

葉月は、奈子に言った。


「十分って何が十分なの?こんなに愛しているのに・・」


せせら笑うように、葉月は答えた。


「もう、十分に身体は満足したでしょ?って意味よ。」


奈子は、怒ってベッドから起き上がり、服に着替えて


「あんたって本当に最低な女ね!」


そう言い捨てて、ホテルの部屋を出て行った。


葉月は、そのままベッドで横たわったまま、天井にフーッと煙草の煙を

はいた。


一体、奈子は、私の何を愛してるというんだろう。

私の何を分かっているつもりなんだろう・・。


ただ肉欲だけでしか繋がっていなかったと言うのに・・。

愛してるなんて

そんな簡単に口に出すもんじゃないよ・・

だって、私は

そんな愛されるような女じゃないから。


奈子・・

あんたの同級生の、何てったっけな・・

名前忘れたけどさ

この前、抱いたよ。このホテルでさ。

たまたま知り合ったら、奈子と同じ高校出身で同期だったとはね。フフフ。

そんな女なんだよ。私って。



(つづく)

10/06 01:39
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