[]-21109/親
私の転校生@


真奈美は、最近マンネリだ。

希望を持って地方都市の女子高の教師になって4年、

毎日がわくわくすることなんてなんにもなかった。

学生時代、恋人はいた。もちろん女性、年下だった。

体育会系の真奈美は、下級生によくもてた。

自分で言うのもなんだけれど、真面目な性格だ。正義感が強い。

女子高の教職の道を選んだとき、女性との恋愛関係は封印した。

学校では、生活指導担当の厳しい融通の利かない きらわれものだ。

結婚願望ももてない、私生活も砂漠のような日々だった。

そんなある日、理事長室に呼ばれた。

部屋には、少年のようなショートカットの生徒が座っていた。

背が高い、真奈美自身も女性としては高いほうだが、

座っていても真奈美より10センチ以上背が高いことはわかる。

無表情で、入室した真奈美にあいさつもない。

「この子って、転校生・・・」

と思ったとき

理事長がようやくニコニコしながら紹介した。

「牧 紗江さん、転校生よ」

ははーん・・・ようやくわかった。

普通の転校生じゃ、理事長室から担任を呼びつけるようなことしない。

「学校の特待生ってわけね。」

この学校では、社会貢献の一環として年間数人の特待生制度がある。

なんらかの不遇の身におかれている生徒を迎えている。

この子は、幼児期の体験で失語症になったという。

「成績優秀なのよ、真奈美先生お願いね。」


それにしても無愛想な子だわ、

すねたような、横顔、何を考えているのか計れない、

といきなり膝のうえに長い手がのせられた。

「えっ」

その時、ようやくこちらを見て、にっこり。

「まあ、可愛い子」

思わず、どぎまぎしてしまう。

理事長からちょうど死角のデスクの下で、

牧 紗江のそのしなやかな手が膝からふとももに移動していた。

真奈美は、その手を払うことなく紗江の横顔にただ見とれていた。






09/19 02:43
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No21205
すごい気になりますっ


(12/24 02:32)
No21112
Re[1]: 私の転校生C


(09/20 13:21)
No21111
Re[1]: 私の転校生B


(09/20 13:18)
No21110
Re[1]: 私の転校生A


(09/19 02:48)
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