[戻]-21622/親
ヤクソク
楼
2012/09/08(Sat) 20:24:10 編集(投稿者)
出会ったきっかけは・・・・確か、大学の入学式の時。
留年も浪人もすることなく、無事地元の高校を卒業できた。
1年生の時から憧れていた第一志望の大学にも一発合格、入学決定。
初めて地元からも親元からも離れ、他県で一人暮らしをすることになった。
春休み、両親と妹を引き連れて、これからの生活の拠点にお引越し。
先に運んでおいてもらった段ボールの山を、4人で片付けた。
部屋を決める時にも訪れたマンションだったけど、やっぱり違った。
今日からここで生活するんだなあ、って思うと、複雑な気持ちだった。
わくわく感と、寂しさと、不安と・・・・いろんな感情があった。
だけど今更実家に帰ることもできなくて、せっせと片付けに精を出した。
4人で集中して作業をしたおかげで、数時間で片付けは終了。
近くのレストランで、家族全員で引っ越し祝いのディナーを食べた。
その後、両親も妹も新幹線でとっとと家に帰っちゃったけど。
1泊ぐらいしていってもよかったけど、生憎場所がなかったから。
ホテルに泊まるのも何だかねえ、ってお母さんは笑ってた。
それから1週間経って、大学で盛大に入学式が行われた。
事前に買い揃えておいた黒のレディーススーツを身にまとい出席。
両親は共働き、2人とも仕事で入学式には出席できなかった。
だから1人で電車に乗って大学に行って、1人で出席した。
親御さんも来ている人がたくさんいたけど、羨ましくはなかった。
昔から周りの人に「意外とドライなとこあるよね」って言われる私。
確かにこういうところがドライだよなあ、って1人で小さく苦笑した。
やっぱり大学の入学式はすごくて、とにかく人が多かった。
今まで入学した学校の生徒数は少ない方ではなかったけど、比じゃない。
人、人、人で、人が多い場所が苦手な私は、うんざりしていた。
だから入学式が始まるまでの間、ちょっとそこらを散策することに。
正直電車の時間を間違えてしまって、早めに来ちゃって暇だったから。
入学式が始まる予定の時間まで、あと数十分の余裕があった。
人の流れに逆らって歩いて、適当に敷地内をぶらぶら歩いた。
先輩方の視線が多少は気になったけど、全部無視して歩く。
オープンキャンパス以来だったから、夏以来の大学の風景だ。
夏とは違って丁度いいぐらいの気温で、春らしい晴天の日だった。
携帯を弄りながら適当に歩き回っていると、1人の先輩が視界に映った。
赤いファイルやら教材らしき本やらを抱えた、1人の女の先輩。
急いでいるのか、少し多めの荷物を抱えながら走っていた。
年上だろうけどどこか危なっかしい感じで、なんだか気になる先輩だ。
つい立ち止まって、その先輩がこちらに走ってくるのを眺める。
「あっ、えっ、わわわっ!?」
「!?」
・・・・・私が立ち止まった数秒後、その先輩は盛大にすっ転んだ。
段差も何もない、本来なら転ぶ要素がどこにもない場所で、盛大に、だ。
ファイルやら本やら荷物が宙に舞い、先輩の身体は前方に大きく傾いていく。
手ぐらいつけばいいものを、腕を真っ直ぐに伸ばしたまま、顔面から、ドシャッ。
しかも転んだ後、すぐに起き上がることをせず、しばらくそのまま。
頭を打って気絶でもしたのかと思い、近くに歩み寄ってみる。
すると、むくりと顔をあげ、こちらを涙で潤んだ目で見上げてきた。
(・・・・・可愛い)
顔面から地面に着地したせいで、額に傷ができ、血が出ていた。
無言のまま身体を起こし、身体のあちこちをチェックする。
膝も少し擦りむけていたし、荷物は少し離れた場所に吹っ飛んでいる。
よくもまああそこまで盛大に転んだものだと、内心感心すらした。
「・・・・大丈夫ですか?」
未だに涙目で荷物を拾い上げていた先輩に声をかけた。
荷物を全部拾い終わると同時に、額から血を出した先輩が振り向く。
私は無言でカバンから絆創膏を取り出し、先輩に数枚手渡す。
先輩もきょとんとしたままの顔で無言で受け取った。
「あ・・・・ありがとう、ございます、」
私の顔をしっかり見ながらふにゃり、と笑った顔は、可愛らしく見えた。
私は無言で先輩の小さな手から1枚の絆創膏を抜き取った。
それにまたきょとんとした先輩の顔は、目が点になっている。
「・・・・おでこ、血ぃ出てるんで。貼ってあげましょうか?」
「えっ!?あ、じゃあ・・・・お願いします」
前髪を両手で押さえ、貼りやすいようにして、目をぎゅっと瞑る。
目を瞑る必要性なんてどこにもないけど、特につっこまず。
傷の大きさと絆創膏の大きさが合うか心配したけど、大丈夫だった。
絆創膏を貼り終えると、先輩は、必死で前髪で隠そうとしていた。
額に貼るついでに、膝の怪我の所にも絆創膏を貼ってあげた。
「本当すみません・・・・」
「いえ、別にこんぐらい・・・・じゃ」
私は荷物を両手で胸のところで抱えた先輩を置いて、来た道を戻った。
ちょっと後ろを振り返ってみたい気がしたけど、入学式の会場へと歩く。
思い出しても笑える転び方をした先輩と、これから関わることはあるだろうか。
人数が多い学校だし、多分数えるほどしか関われないとは思う。
というか、これから先、何らかの形で関われたなら、それはすごい。
私は積極的に何かの役を引き受けたりしないタイプだから余計に。
サークルには参加する予定だけど、サー
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09/08 18:45
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