[戻]-22080/親
転校生A
いちこ
この頃、子供の頃の夢を見る。当時からわたしはよく転んでいた。
自分には運動神経がないのだと思う。あれは幼稚園の時だろうか?
家の近くの歩道で派手に転んだ。両手を擦りむき血がでた。
もちろん大泣きした。すると目の前に、真っ白な綺麗な手が差し出された。
見るとセーラー服を着たおねえさんが、微笑んでいる。
いや、微笑んでいる気がする。逆光で影になり、よく見えないのだ。
おねえさんは、わたしの両脇に手を入れてわたしを立たせ、
服の汚れを払ってくれ、擦りむいて血の出ているわたしの手をじっと見つめた。
なぜ、おねえさんがそんなことをしたのか、未だにわからないが、
突然わたしの手を、血の出ている傷口を舐めたのだ!
その時の感覚は今でも忘れられない。
当時はその正体がわからなかったが、高校生になった今ならわかる。
背筋を走り抜けたその感覚は、明らかに性的なものだった。
いつもそこで目が覚める。
そしてショーツに手をやると、いつもしっとりと濡れていた。
わたしは、K学園と言う女子校に通っている。
そこでわたしはイジメにあっていた。
美貴というお嬢様とその取り巻き連中に、目を付けられたのだ。
わたしは毎日をなんとかやり過ごすことしか考えていなかった。
そんなある日、転校生がやって来た。
「みなさん、お静かに!転校生を紹介します。お父様のお仕事の関係で
一年間の期限付です。来栖亜里沙さんです。仲良くしてあげて下さい。」
入ってきた娘の美しさにみんな見惚れてしまった。
私達とは違う黒いセーラー服を着た彼女は、肩までの漆黒の髪に
顔は抜けるような 白い肌、血の滴るような真っ赤なくちびる、
それにハーフなのかヘーゼルカラーの瞳で微笑んでいる。
「一年間ですがよろしくお願いします。」
ペコリとお辞儀をして、ニコッとわたし?を見て微笑んだ。
指定された席へ向かう途中、美貴がよろしくと声をかけた。
しかし彼女は美貴をあからさまに無視した。
そしてわたしの側を通る時、確かにこんにちはと言った。
えっ‥‥えっ‥‥どうして?
わたしが戸惑っていると、美貴がすごい顔でわたしを睨んでいるのに気づいた。
続く
08/15 18:44
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