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■6022
/ ResNo.10)
possession
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□投稿者/ 美優
一般人(10回)-(2009/06/30(Tue) 20:07:58)
しばらく適当に相手の話を流しているうちに、2人分の夕食が運ばれてきた。
あたしはハンバーグ定食・・・まあありがちな、ハンバーグとご飯、野菜スープとサラダ、デザートにパンナコッタ。そしてカフェオレ。
ミチルの夕食は、これまた同じハンバーグ定食。唯一異なるのは、あたしが選ばなかったパンのところだけ。
「まあ、またもや奇遇ですわ!ここまでご一緒なんて・・・ハンバーグはお好き?」
「・・・・・ええ、まあ、好物ですが」
「嬉しいですわ、わたくしもちいさい頃から好物なんですのよ」
「あたしも好きですよ」
そういうと、ミチルはまぁ、と小さく言って、頬を赤らめた。何を照れているのかさっぱりだ。
にしても、大崎といえば有名な会社の名前。彼女はそこの会社の次女なんだとか。
ちなみに、姉が1人いるらしい。詳しくは知らないが。
今日はミチルは、淡いピンク色の胸元が開いたフリル付きのチュニックに、白いこれまたフリルのミニスカート。
右手の銀のバングルが時折、彼女の動きに合わせて揺れる。
「にしてもですわよ、梨乃さんは相変わらずお美しいですわ」
「・・・・・・はぁ・・・・・貴女の方が見目麗しいと思いますが」
「あら、謙虚ですのね。でも、結構いますわよ?梨乃さんを狙ってらっしゃる方」
「そうですか?てっきり、美空への視線かと思って」
「それもあるのでしょうけど、彼女の場合は有名なカップルではありませんか。
何せ、あの先輩ですもの」
そう、美空の恋人は、『ミス・黒百合』。成績優秀、眉目秀麗、まさに才色兼備の生徒に贈られる称号の持ち主だったのだ。
確か、弦楽器が得意で、理数系では教師も驚くほどの天才ぶりなんだとか。
まあ確かに、成績だっていいらしいし、見た目も美しい。
というか、この学校は美人の割合が高い事でも有名なのだ。
「そういえば、梨乃さん。今日はこれから用事はありまして?」
「いえ、特には」
「ならば、わたくしの部屋へ来て下さらないかしら?寂しいんですのよ」
「あたしはいいですけど・・・・でも、ルームメイトは?」
「大丈夫ですわ、緊急の用事だとかで、一時帰宅していますの」
彼女のルームメイトは、あたしの隣の席にいる早坂瑠衣。バスケットボール部。
それなりの容姿と、抜群の運動神経で、運動部活では重宝されている。
たまに他の部活の大会にも出ているような、忙しくて活発な人だ。
「先生によると、叔父様が交通事故にあってしまわれたんですって」
「よくなるといいんですがね」
「そうですわね・・・・・・心配ですわ。梨乃さん、わたくし部屋でお待ちしておりますわ」
そういうと、彼女は最後のパンナコッタを口に入れて、お盆を持って立ち上がる。
典型的なお嬢様だが、随分と早飯なのだ。
あたしは正直面倒臭かったし、また今夜もあの人に会えるかもしれない、と淡い期待を抱いていた。
が、結局気まずい事になると思われ、ミチルの部屋に行く事にした。
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■6023
/ ResNo.11)
possession
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□投稿者/ 美優
一般人(11回)-(2009/06/30(Tue) 20:32:44)
彼女達・・・・・ミチルと瑠衣の部屋は、あたし達の1階上である3階の中央部。
シャワーを軽く浴びてから向かった。
コンコン・・・・・と控えめなロックをすると、ドアの隣のスピーカーからどうぞ、と声がする。
室内の電話を取って話せば、外のスピーカーから聞こえる仕組みなのだ。
「お待ちしておりましたわ、さあ、座って」
ガチャリとドアを開けてはいると、ミチルが茶色い円形のテーブルにケーキを並べて待っていた。
横には、温かい湯気を立てる紅茶も置いてある。
「お気遣いありがとう」
「どういたしまして。昨日、わたくしが突然思い立って作ったケーキですの。味は保障いたしませんわ」
白い生クリームと、赤い苺のショートケーキ。上には蝶々型の飴細工が乗っている。これはまずいことはないだろう。
あたしが椅子に座ると、ミチルはその横の方に嬉しそうに座ってきた。
向かいも空いているのに、わざわざ椅子を移動させて、だ。
彼女がつけている甘い香水が鼻をくすぐる。
「いただきます」
そういって1口食べてみると、やはり期待を裏切らず、美味しいケーキだ。
「美味しいですね・・・!」
「まあ、ありがとうございます。心配でしたの、甘い物はお好きか、尋ねるべきでしたわ」
「甘い物は好きですよ」
ちょっと機嫌を良くして、あっという間に全部食べてしまった。本当に美味しい、プロ顔負けの味だったのだ。
思い立って作ったにしては、とても上手い。
「あら、ここにクリームがついてますわよ・・・・・・」
ぺろっ
いきなり、右側の頬に温かくて柔らかな感触があった。
・・・・・・・ミチルがクリームを舐め取ったのだ。
「すみません、近くに拭くものがなくて」
そういう割には、近くの棚にティッシュが箱ごと置いてある。
まあいいか、と割り切り、ありがとう、と照れつつもお礼を言った。
「・・・・・っ!!!!!」
何故かそれだけで赤く赤く顔を染め上げたミチルは、俯いてしまった。
つくづく不思議で面白い人だ。
「そ、そうですわ!梨乃さんの髪って、茶髪じゃないですか。染めてらっしゃるの?」
そう、あたしの髪は生まれつきの茶髪で、目も茶色っぽい。よく不良みたく、染めていると思われがちだ。
「いえ、生まれつきで・・・・・父親の遺伝なもので」
「あら、そうでしたの。ずっと気になってしょうがありませんでしたわ」
ふふふ、と口に手を当てて笑うミチルは、綺麗と言うよりも可愛い。
「まあ、狙っている方が多い、というのも納得ですわ・・・・すらっとしてらっしゃるし・・・・・」
そういって、つぅっと指であたしの横腹をなぞり上げた。
つい体がびくり、と震える。
「敏感ですのね・・・・・・ますます可愛らしい方ですわ、開発して差し上げたい位・・・・」
ふふふ、とさっきとは同じような笑い方だが、全く違う。今度は怪しい笑いだ。
あたしは逃げようか、と思ったが、体がいう事を聞かない。
まるで、あたしが受け入れるかのようになってしまった。
「胸も結構大きいですわね・・・・・以前にお風呂にご一緒した時に思いましたわ」
「んぅっ・・・・・・・!?」
そういうと、いきなり胸を揉んで来た。最悪な事に、薄着なので余計リアルに感じてしまう。
つい、声が漏れてしまった。ミチルはそれを聞いて、嬉しそうにしている。
「やだっ・・・・・・・ミチル、やめて・・・・・・ひあ・・・・/////」
「何と可愛らしくて素敵なお声とお顔なのでしょう。興奮してしまいますわよ?」
あたしは力が抜け、椅子の背もたれにすがっていることしかできない。
「実は、ずっとわたくしは梨乃さんを狙っていたんです。好きですわ・・・・」
・・・・・・・・・・なぜ、このときに・・・・・・・・・・
得体の知れない、あの人が脳裏を掠めたのか・・・・・・・・・・・・・・
あたしは、もうミチルのなすがままに、処女を奪われるのだろうか・・・・?
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■6024
/ ResNo.12)
possession
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□投稿者/ 美優
一般人(12回)-(2009/06/30(Tue) 20:44:49)
ミチルは、キスこそはしなかったものの、服の中に上から手を入れてきた。
そして、中で器用にもあたしのブラジャーのホックを外してしまう。
ミチルの冷たい指が肌に触れ、それだけでびくん、と肩を揺らしてしまう。
温かい肌との温度差のせいである。
「ここもきちんと感じさせて差しあげますわね」
くりくりと乳首を両方いっぺんに弄られ、喘ぎ声が止まらない。
「やぁぁっ、ミチ、んんん・・・・・・っ!!!」
口を押さえようと弱々しく手を胸元まで何とか挙げるが、押さえ込まれてしまう。
誰か、助けて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!!!!!
半泣きしながら、ぎゅっと目を瞑って心の中で助けを必死に叫んだ。
「強姦は感心しないな、大崎ミチルさん?」
え・・・・・・・・。
いつの間にか、ドアを蹴破ってあの人が入ってきていた。
頑丈なドアを蹴破るとは、どういう力の持ち主なのか・・・・かなりの力だ。
「なんですの、無礼者ですわ」
「無礼者は君でしょ。嫌がってるのが分からない?強姦は犯罪、ね」
そういって、驚いて何も言えないあたしの乱れた服を整えて、軽々とお姫様抱っこをした。
「ちょ、ちょっと・・・・・・・・・・!?」
「じゃあ、おじゃましました。ドアは弁償しておくから安心して」
そういって、怒りを少しこめた笑顔を残し、あたしを抱えたその人は早足で過ぎ去った。
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■6027
/ ResNo.13)
NO TITLE
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□投稿者/ ゆう
一般人(1回)-(2009/06/30(Tue) 23:51:28)
続きが気になります(>_<)
(携帯)
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■6029
/ ResNo.14)
possession〜ゆう様〜
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□投稿者/ 美優
一般人(13回)-(2009/07/01(Wed) 17:23:45)
またもやメッセージを残して下さり、ありがとうございます。
私的に、え?まさか、って感じにしたかったので、新しくお嬢様を出してみました(苦笑)
これからも頑張って、梨乃達のお話を書いていきたいと思います。
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■6037
/ ResNo.15)
possession
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□投稿者/ 美優
一般人(14回)-(2009/07/02(Thu) 15:47:45)
あたしを抱えたまま、怒った顔で終始無言だった。
まだ美空が帰っていない、誰もいなかったあたしの部屋に入り、ベッドに投げるように降ろした。
「あ、あの・・・・・・・・えと・・・・・?」
あたしをベッドに寝かせた後、その人はあたしの顔の横に両手を付いて、怒った顔のまま見下ろしてくる。
あたしは、その見下ろした顔につい、ドキンと胸が高まった。
「あ・・・・・え、あの・・・・・・・っ・・・・!」
「・・・・・・高嶺涼」
「って、え・・・・・・っ?」
「名前。知りたいって顔してたじゃない」
「あ、ありがとう、ございます・・・・・・・・?」
なぜ、このタイミングで名乗るのだろうか。
「あの、涼さ「涼って呼んでよ」りょ、涼・・・・・/////」
あたしの言葉を遮って、耳元で吐息混じりに囁く、涼さ・・・・・涼。
年上そうだから涼『さん』って呼ぼうとしたけど、納得してくれないらしい。
「・・・・・ふふ、今日はその真っ赤な顔に免じて許してあげる」
ようやく柔らかい微笑んだ顔と雰囲気になって、涼はベッドに腰掛けた。
「今日はありがとう、ございました」
「気にしないで。前からあの子は危ない感じだったからさ。気をつけてね」
「はい・・・・・・・」
「うん。他の人も狙ってると思うから、十分に気をつけてな」
そういい残し、あたしの部屋を去った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ちゅ。
ただし、キスをあたしの額に軽くしてから・・・・。
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■6038
/ ResNo.16)
possession
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□投稿者/ 美優
一般人(15回)-(2009/07/02(Thu) 20:48:03)
ドキリ、と鼓動が不安な心を掻き立てる。
今は、6限目の体育の時間。みんな綺麗な青のジャージに着替えて、体育館に集まっている。
何で、今日に限って百合組と合同で体育なんだろう・・・・・・・。
あれからミチルには出会ってない。けど、合同という事は会うことになってもおかしくない。
何でもないように、いつも通りに振舞わなければ、かえって怪しまれる。
「あ、梨乃っ♪昨日はゴメンね!また先輩の部屋に行ってて・・・・」
「いいよ、気にしてない」
子犬のように走り寄って、美空があたしの腕に自分の腕を絡ませる。
尻尾を犬がブンブン振っているような感じだ。
結局、彼女は部活の後に先輩の部屋に行ったらしく、朝まで帰ってこなかったのだ。
先生がちょうどそのとき、ピーーーッ、とホイッスルを吹いた。みんなで先生の所に走り寄る。
静宮先生という先生で、それなりに好印象を生徒にも教師にも与えている。
白い紫の蝶がペイントされたTシャツと、青いジャージのズボン。
腰まで伸びた黒髪が揺れて、ナイスバディーな先生の綺麗さを際立たせる。
実際、何人も狙っているんだとか。
「はい、今日は薔薇組と百合組の合同授業にして頂きました!いきなりでごめんね?」
そうやって、首を少し左に傾けてうるっとした目で謝る静宮先生に、何人かの生徒が顔を紅潮させた。
静宮先生は、無意識なのが質が悪い。可愛らしさと色気を常に振りまいているのだ。
先生によると、今日は百合組が本来習うはずだった歴史の先生が、肺炎で急きょ早退したんだそうだ。
そのため、体育の授業にしてもらったらしい。
2クラス、といえば、全員で80人くらいだ。
そもそも学園の人数も多く、部活の種類もあるため、とても大きな体育館が2つある。
あたし達がいるのは、そのうちの1つ。校舎側の体育館だ。
別に80人いたって困らない。
「あ・・・・・・・・・・・・・・・」
先生が指示したとおり、ドッチボールの準備をしていると、コートに入った瞬間に不幸が起こった。
・・・・・・・・大崎ミチルだ。彼女と鉢合わせしてしまった。
「ごきげんよう、梨乃さん」
「ごきげんよう・・・ミチル」
「今日は敵同士ですわね。お互い頑張りましょう」
「ええ、頑張りましょう。健闘を祈ります」
ミチルが何も無かったかのように笑顔で話すのが、唯一の救いだった。
あたしもつられて、微笑んで答える。
今日は薔薇組対百合組のクラス対抗戦だ。
ミチルや美空に負けないように、頑張らなければ・・・・。
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■6039
/ ResNo.17)
possession
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□投稿者/ 美優
一般人(16回)-(2009/07/02(Thu) 21:19:24)
「じゃあ始めてね!よーい・・・・・・・・・スタートッッ!!!!」
静宮先生が、ジャンプボールをする瑠衣と美空の間で、高く柔らかい黄色のボールを上げる。
ボールを先に自分のチームへと叩いたのは、やはり運動神経のいい瑠衣。
弾んであたしの隣の子の手に渡った。
その子がえい、と投げたボールは、見事にミチルにキャッチされてしまった。
意外と彼女もやるのだ。
しばらくボールの投げあいが繰り広げられ、薔薇組は15人、百合組は19人の外野が出ていた。
今、ボールを持っているのはミチル。彼女は1度も当たっていない。
そして、狙いを定めてこちらに投げてきた。
・・・・・・・あたしの方に飛んできたから、避けた・・・・・つもりだった。
「やっ、あぁっ!」
顔に当たりそうだったが、何とか両腕でガードして防いだ。
ボールは近くにいた瑠衣の足元に転がっていったが、なぜか取らない。
疑問に思ってそっと見ると、まわりの人の大部分が顔を赤らめたりとか、口元を押さえている。
「・・・・・・?私がどうかしましたか、先生」
あまりにもあたしをじろじろ見るので、先生につい聞いてしまった。
「い、いえ!!!別に何もしてないわよ!!!」
慌てて先生は言って、じゃあ外野に、って言っていた。
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■6040
/ ResNo.18)
possession
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□投稿者/ 美優
一般人(17回)-(2009/07/02(Thu) 21:37:12)
その後、何もなく普通に進んで、薔薇組が勝った。
授業が終わり、自分たちの教室に戻って着替えていると、ちょうど上を脱いでシャツを着ているあたしに、話しかけられた。
「ねえ、梨乃・・・・・・」
クラスメイトの南城由貴と、美濃幸夜だった。去年くらいからクラスが一緒で、ある程度仲がいい。
その2人が、いきなり話しかけてきた。
「何?どうかしたの?」
「あ、あのね・・・・・?今日の放課後にちょっといいかな」
「予定もないし、いいけど。どこに?」
「理科室の準備室に来てくれない?待ってるから、夕方5時に」
「分かった」
まさか、コレがまたああなるとは、思いもせずに。
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■6044
/ ResNo.19)
possession
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□投稿者/ 美優
一般人(18回)-(2009/07/03(Fri) 18:53:13)
放課後、終わりのチャイムが鳴り響くと、あたしは図書室で借りていた小説を返却し、理科室へと向かった。
理科室は、中等部と高等部校舎の接合部あたり、1階に位置する。
準備室はというと、1階の理科室の隣に隣接しているが、滅多に人が来ないのだ。
授業中でも、担当教師しか主に入らない。教師さえあまり入らないらしい。
「由貴、美夜・・・・・・いるの?」
カーテンが閉められた、薄暗い準備室。やっぱり1人で入るのは勇気がいる。
何しろ、人体模型やら実験器具、いろいろなものがあるのだ。
「あ、来た来た!」
「ごめんね、待たせてしまった?」
「ううん、こっちも今来たトコだし、大丈夫よ」
2人は、窓際の使われていない大き目の机に、2人並んで座っていた。
こうしてみると、実に2人は正反対だ。
由貴は剣道部所属で、凛とした強気の明るい性格。肩までの黒髪と、黒い目。
確か、勉強では物理と古文が得意なんだとか。
一方の美夜は美術部。ほんわかした雰囲気の、マイペースで穏やかな性格だ。
ツインテールの茶色っぽい髪と黒い目、勉強は美術と日本史が得意らしい。
この2人は幼稚園に入る前からの幼馴染で恋人だなんて、誰が予想できよう。
「で、話って・・・・・・?」
あたしはなるべく早く済ませて、ここから出たかった。何だか呼吸がし辛いのだ。
窓を閉め切っているせいだろう、湿気もすごい。
「ああ・・・・・聞き辛いんだけど、この前高嶺って人といなかった?」
「!?え、ああ・・・うん・・・・?」
「この前、お姫様抱っこされて、ミチルの部屋から出て行ったのを見たの」
唐突な由貴の質問に、美夜が説明を加えた。
どうやら、あの日の出来事を見られてしまっていたらしいのだ。
2人の部屋は、あの部屋と同じ階だから、見たとしても不自然ではない。
「ねえ、あの人とどういう関係?」
真剣な顔で問う由貴。狙っている・・・・・わけではないだろう。
「えっと・・・・・まあ、知り合いと言うか、なんと言うか・・・・・」
「困らせてごめんね?でも、忠告したくて」
美夜はそうやってフォローしてくれるが、若干焦りを隠しきれていない。
そして、忠告なんてさらりと言う。何なんだろうか。
「ねえ、何を隠しているの?・・・・・・教えて」
あたしがそうせまると、由貴が言いにくそうに口を開いてくれた。
ものすごく言いたくないんだけど、と前置きしてから、小声で言った。
「あの高嶺って人・・・・・・注意した方がいいよ」
「え・・・・・・・・?!」
そんな予想にもしない回答に、あたしはただただ驚いてしまった。
涼が危険人物・・・・・・・そう言いたいのだろう。
でも、あたしを助けてくれたりした人を、証拠もなしに疑いたくはない。
「私のパパとママね、情報を管理する仕事をしているの、仕事については・・・詳しくはいえないんだけど・・・・・。
とにかく、パパとママの仕事の同僚がこの前、情報を一部盗まれたの。犯人はとある裏の組織。正確な正体は分からないって言ってた。
その組織のメンバーにね、高峰って女性がいるらしいのよ。彼女が情報を奪ったみたい・・・・・・」
美夜がそう言い、辛そうに俯いた。
あたしは今だに信じられなかった。確かめたかった。
だけど、涼の連絡先は何も知らないし、いつ会えるかも分からないのが現状だ。
「とにかく、あの人には注意して、近付かない方がいいんじゃないかな。
どうも美夜のご両親が務めてる会社の情報曰く、結構危ない組織らしいから・・・。
マフィアみたいに暗殺もするし、スパイや情報を流したりだとかするらしいし。そういう人達の集まった組織なんだって・・・・・」
「でも、その人がそうとは限らないんじゃな「限られるのよ、梨乃」
美夜が声を少し張り上げて、あたしの反論を封じ込める。
「組織の正体や詳細はまだ掴めてないけど、何人かの人は分かっているらしいの。彼女は組織の幹部・・・・かなりの権力者らしくて・・・・」
「彼女が動けば、会社1つ簡単に潰されるし、政治家も動くし、警察だって。そうなるかもしれない。詳しくは知らないから言い切れないけど。
だけど、危ないよって事は、はっきりと言えるんだ」
美夜、そして由貴が説得してくる。
あたしは耳を塞ぎたい気持ちをこらえ、俯いていた。
そして、しばらくして2人は、それじゃあ、そういうことだからと言い残して去った。
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■No6023に返信(美優さんの記事) > 彼女達・・・・・ミチルと瑠衣の部屋は、あたし達の1階上である3階の中央部。 > シャワーを軽く浴びてから向かった。 > > > > > コンコン・・・・・と控えめなロックをすると、ドアの隣のスピーカーからどうぞ、と声がする。 > 室内の電話を取って話せば、外のスピーカーから聞こえる仕組みなのだ。 > > > > > > 「お待ちしておりましたわ、さあ、座って」 > > > > > > ガチャリとドアを開けてはいると、ミチルが茶色い円形のテーブルにケーキを並べて待っていた。 > 横には、温かい湯気を立てる紅茶も置いてある。 > > > > > > 「お気遣いありがとう」 > > > > 「どういたしまして。昨日、わたくしが突然思い立って作ったケーキですの。味は保障いたしませんわ」 > > > > > > 白い生クリームと、赤い苺のショートケーキ。上には蝶々型の飴細工が乗っている。これはまずいことはないだろう。 > > > > > あたしが椅子に座ると、ミチルはその横の方に嬉しそうに座ってきた。 > 向かいも空いているのに、わざわざ椅子を移動させて、だ。 > 彼女がつけている甘い香水が鼻をくすぐる。 > > > > > > 「いただきます」 > > > > > > そういって1口食べてみると、やはり期待を裏切らず、美味しいケーキだ。 > > > > > > 「美味しいですね・・・!」 > > > > 「まあ、ありがとうございます。心配でしたの、甘い物はお好きか、尋ねるべきでしたわ」 > > > > 「甘い物は好きですよ」 > > > > > > ちょっと機嫌を良くして、あっという間に全部食べてしまった。本当に美味しい、プロ顔負けの味だったのだ。 > 思い立って作ったにしては、とても上手い。 > > > > > > 「あら、ここにクリームがついてますわよ・・・・・・」 > > > > > > > > > > > > > > > > > > > > > > > ぺろっ > > > > > > > > > > > > > > > > > > > > > > > いきなり、右側の頬に温かくて柔らかな感触があった。 > ・・・・・・・ミチルがクリームを舐め取ったのだ。 > > > > > > 「すみません、近くに拭くものがなくて」 > > > > > > そういう割には、近くの棚にティッシュが箱ごと置いてある。 > まあいいか、と割り切り、ありがとう、と照れつつもお礼を言った。 > > > > > > 「・・・・・っ!!!!!」 > > > > > > 何故かそれだけで赤く赤く顔を染め上げたミチルは、俯いてしまった。 > つくづく不思議で面白い人だ。 > > > > > > 「そ、そうですわ!梨乃さんの髪って、茶髪じゃないですか。染めてらっしゃるの?」 > > > > > > そう、あたしの髪は生まれつきの茶髪で、目も茶色っぽい。よく不良みたく、染めていると思われがちだ。 > > > > > > 「いえ、生まれつきで・・・・・父親の遺伝なもので」 > > > > 「あら、そうでしたの。ずっと気になってしょうがありませんでしたわ」 > > > > > > ふふふ、と口に手を当てて笑うミチルは、綺麗と言うよりも可愛い。 > > > > > > 「まあ、狙っている方が多い、というのも納得ですわ・・・・すらっとしてらっしゃるし・・・・・」 > > > > > > そういって、つぅっと指であたしの横腹をなぞり上げた。 > つい体がびくり、と震える。 > > > > > > 「敏感ですのね・・・・・・ますます可愛らしい方ですわ、開発して差し上げたい位・・・・」 > > > > > > ふふふ、とさっきとは同じような笑い方だが、全く違う。今度は怪しい笑いだ。 > あたしは逃げようか、と思ったが、体がいう事を聞かない。 > まるで、あたしが受け入れるかのようになってしまった。 > > > > > > 「胸も結構大きいですわね・・・・・以前にお風呂にご一緒した時に思いましたわ」 > > > > 「んぅっ・・・・・・・!?」 > > > > > > そういうと、いきなり胸を揉んで来た。最悪な事に、薄着なので余計リアルに感じてしまう。 > つい、声が漏れてしまった。ミチルはそれを聞いて、嬉しそうにしている。 > > > > > > 「やだっ・・・・・・・ミチル、やめて・・・・・・ひあ・・・・/////」 > > > > 「何と可愛らしくて素敵なお声とお顔なのでしょう。興奮してしまいますわよ?」 > > > > > > あたしは力が抜け、椅子の背もたれにすがっていることしかできない。 > > > > > > 「実は、ずっとわたくしは梨乃さんを狙っていたんです。好きですわ・・・・」 > > > > > > > > > > > > > > > > > > > > > ・・・・・・・・・・なぜ、このときに・・・・・・・・・・ > > > > > > > > > > > 得体の知れない、あの人が脳裏を掠めたのか・・・・・・・・・・・・・・ > > > > > > > > > > > > > > > > > > > > > あたしは、もうミチルのなすがままに、処女を奪われるのだろうか・・・・? > > > > > > >
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