| それは私が仕事の関係である地方都市のビジネスホテルに泊まった時の事でした。
誰でも知ってるように、ビジネスホテルのシングルほど殺風景で退屈な場所はありません。たった一人で知らない土地で仕事をこなした疲れと、あとは何もする気になれない退屈さから早々にシャワーを浴びてベッドに潜り込んだ時、
トントン‥
「え?」 思いがけないノックの音に私は驚き、そして不安になりました。知り合いなどいないこの街で、それも夜の九時過ぎに‥
トントン‥そして、今度は声が。
『こんばんは、マッサージの者ですが』
女の人の声でした。私は少しだけホッとしてベッドから降り、ドアの覗き窓に目を近づけました。 ドアの向こうには私と同じ年齢くらい―――二十代後半くらいの、ショートカットの綺麗な女性が立っていました。そして確かにマッサージ師のような、膝丈の白いナース服?を着ています。
「あの‥お願いしてませんけど‥」 私はドア越しにおずおずと言いました。すると覗き窓の向こうの女性も困ったような顔をして、 「いえ、先程フロントからこちらにお邪魔するようにと言われたんですが‥」 と答えました。
後から思えば、そこでドアを開けたのが全ての始まりでした。 「お部屋違いじゃないんですか‥?」 途方に暮れたような彼女の表情につられてドアを開け、やはり何かの間違いだったと互いに納得した途端に私は彼女がなんだか気の毒になり、マッサージを受ける事にしました。
「押しかけ営業みたいで本当にごめんなさい‥」 彼女はすまなそうにそう言いながら、ベッドに腹ばいになった私の肩からマッサージを始めました。 「いえ、どうせ暇だし、寝るには早いし」 初めて受ける生身の人間からのマッサージは案外心地よいものでした。そのうちに気持ちもほぐれ、私は彼女の名前がさつきさんという事と、私より二つほど年上という事を知り、しばらくはとりとめなく仕事の話や世間話を続けました。
「ちょっとベッドに乗りますね」 だからさつきさんがベッドに上がり、うつ伏せになっている私をまたいで屈み込んだ時も私は全くの無防備でした。
肩から背中、背中から両脇‥さつきさんの手の動きは強く優しく下りてきて、
「‥あっ」
シーツに押しつけられた私の胸の下にさつきさんの手の平が滑り込み、バスローブの上から乳首をさっとかすめました。
(携帯)
|