| どれくらいの時間が経過したのか・・・
私はようやく目が覚めた。
なんだか変な夢を見た様な・・・・ハッキリしない頭のまま目が覚めた。
夢じゃなかった。
記憶を辿ると、鏡張りの部屋で波の音で胡弓の音色でアロマ・・・
そして・・・
え?
服は?
私は一糸まとわぬ姿でシーツに包まっていた。
(ウソッ!)
『目覚めた?』
佐野さんが私のすぐ横で肘をついて横たわっていた。
『おはよう!って言うにはまだまだ深夜だけど』
『・・・・・』
『怒ってるの?』
『お、怒ってるわ。当たり前でしょっ』
私は本当に怒っていた。
『お酒に何か入れたのね?』
『欲しいと思ったものは絶対に手に入れる!これ自分のやり方。
と言っても、ここまで欲望が強くなったのは始めてだけど』
『人間の道理から外れてるわ。何偉そうに主張してるの?』
佐野さんは私の上にかぶさり、
私の両腕を頭の上で押さえつけた。
『自分は女を好きになる病気だから。
かわいそうだと思って受け入れてよ』
『病気で恋愛を語られたらたまったもんじゃないわ。
いい加減にしてよ。』
自分でも驚くくらい多きな声だった。
『どんなに声出しても無駄だから。外にはまったく聞こえないし。
二人っきりの世界を邪魔する人は・・・
だぁ〜れもいないよ』
うすら恐ろしくなった。
彼女の表情に。
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