| 『もう、旦那のセックスじゃ感じないぜ』
彼女が耳元で囁く。
私はまだ放心様態のままだ。
しかし体だけが敏感になっている。
耳元にかかる息でさえも、肩がピクンとなってしまう。
ビンビンに硬くなっている乳首を軽く舌先で舐められるだけで、
アァ〜ン・・・・っ
声が漏れてしまう。
抱きしめられたまま、どれくらいの時間が過ぎただろうか。
私はやっと言葉を発することが出来た。
『満足?』
『ん?』
『これで・・・満足?
あなたの欲望は果たせたでしょ?』
『んだね〜。とりあえず今夜のとこはね。』
何を言ってるの?という顔で私は彼女を見つめた。
『もう帰さないよ。旦那のとこなんか』
『何を言ってるの?そんなこと』
『出来るわけないじゃん!って?』
『・・・ど、どういうこと?』
『ここから一歩も出られないってことだよ。』
『何考えてるの?
監禁でもする気?』
彼女はまっずぐ私を見下ろし
『そ』
笑っている。
『そんなことが出来ると思ってるの?』
『試してみる?』
彼女にはそら恐ろしいものがある。
私は、
一体、
これかれら、
どうなるのだろうヵ・・・・・・
いったいどこまで遡って間違った路を軌道修正出来ればいいの?
今日彼女の誘いを断らなかったから?
新宿への初めての誘いを断らなかったから?
屋上へ一緒に行かなければ良かったの?
今夜、お酒を口にしなければ良かった?
・・・・・・・・・・・・・
(完)
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