| 中高一貫校を卒業後、並の大学に行き普通に就職をした私は、紆余曲折を経て、今は新しく始める事業(巷で話題のメイド喫茶を手懸けることになった)の企画に携わっている。 私以外はみんな男という状況で雑用ばかり任されてウンザリしていた。メイド喫茶の良さなんて知らないし、出来れば関わりたくなかったなあなんて思いながら。
そんな中―― 店の視察に行かされて、見てみたいとうるさい上司に付き添い、面接の様子を見せてもらった。
そこで偶然見かけたのが、今同棲中の[アリス]である。
ずっと女子校に通っていて、髪は肩まであるけれど総合して外見は男っぽく、背もまあまあ高い所為で、女の子に言い寄られる方が多かった。でも同性を好きになったことはない。
そんな私が、なぜかアリスを見た途端に目が離せなくなってしまったのだ。
面接に来ていた娘の中には、もっとキラキラした派手目な美人も居たように思う。だから、飛び切り美しくて目を引いたとか、そういうことじゃない。 それに私はメイド喫茶等で働く子が着る服の類にはむしろ嫌悪していたほどなのに――…‥ロリータ服(というのか、何なのか)のアリスを見ても違和感を感じなかった。見る分には、今では気に入っているくらいだ。
一目惚れして、きっかけを作るまでにどれだけの勇気を要したか知れない。ましてや同性に告白するなんて、考えたことも無かったし。 でも意外にも気を許してくれたアリスは、私の告白を受け入れて、恋人になれて嬉しいとさえ言ってくれた。
アリスは名前を裏切らない可愛い子
…というのは、付き合って間もない頃の私の思い込みだった訳だが。
まさか、こんな一面を隠し持っていたなんて。
(携帯)
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