| 母が待つ、自宅ヘ帰る地下鉄の中で 亜紀は、頭の中で さっきまでの、夢の中の出来事のような、 場面の想いをたどっていた。
一番恥ずかしい花園もツルツルに されてしまった。佳織先生には もう隠すものは、なにもない。
最後に、パンテイーをプレゼント された。
可愛い愛人に、 穿かせて見て楽しむ そして、 剥ぎ取って 恥ずかしがらせて 楽しむ
そんなための下着 それを身に着けている、 今の亜紀にとっては、 佳織先生からの大切な 贈り物だ。 こころのなかでつぶやいた。 『ありがとうございます』
ふっと母の顔がよぎった。
ここ数日間、いつも塞ぎこんでいる。 病的でさえあるのだ。 なにかとても、つらいことで 悩んでいるようだ。
金沢で、父が自殺してから のことを考えていると、 気がついたら、 自宅のマンションに着いた。
『ただいま』
ドアを開けて玄関を見ると
女性もののスニーカーがある。 誰かお客様かな? そのスニーカー どこかで見たような、 気がした。
めったにお客様はないのだが、 挨拶をして自分の部屋に行こう と思い、リビングのドアを開けた。
息が止まった。
『どうしたの、きちんとご挨拶なさい。 この方は偉い弁護士先生なんですよ』 母が常軌を逸したような声を張り上げる。
母が“偉い弁護士先生といった カジュアルなスーツを決めて、 長い足を高く組んでいる女性は、
あの忌まわしい、通学電車で 痴漢をしてきた、そのひとだった。
『えっどうして・・・・・・』
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