| 2007/08/30(Thu) 10:21:18 編集(投稿者)
イツコがハルカと出会ったのは、とあるビアンバーだった。 その日、イツコがひとりバーに入って間もなくに雨は降り出して、 傘のないイツコが帰るに帰れずにいた時間が右隣の席に座っていたハルカとの縁をくれた。 ほんの少し話しただけで運命を感じてしまった二人のこの日は、 イツコ24才、ハルカ30才の秋口のことだ。
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窓という窓を閉め切り、分厚い遮光カーテンも下ろされたこの部屋では、 今が一体何時であるのか、時間がどうやって流れているのかを知る術はない。 イツコは衣服を纏わぬ体でフローリングの床に座り込み、 そのまま前に崩れるようにだらしなくうつ伏せになった。 「はーちゃん、早く帰ってこないかな…」 テレビもラジオすらもないこの部屋の時計は全て止まっていて、 どの瞬間にも心地よくきいている空調が、やたらに神経を鈍らせる。 怠惰に寝ころぶ体にひっそりとまとわりついてきた睡魔にイツコは目を閉じた。
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