| 「椎急いで、学校遅れちゃうよ?」 家の中からドタバタという騒々しい音がして勢いよくドアが開いた。 「舞ちゃん待ってよ!舞ちゃんがなかなか起きないから食器が片付けられなかったんだよ」 「はいはい、お説教は後走るよ。」 舞はそう言って身を翻し駆け出す。 「あ〜、待ってよぉ」 それを追い掛ける形で椎も走り出す… 「ふぅー、ここまで来れば大丈夫かな?」 学校付近まで来ると舞は立ち止まり振り返る、少し離れたところで鈍足の椎が彼女なり懸命に走っている。 「ハァッ、ハァッ、舞、ちゃん、はや、いよぉ。」 やっとのことで追い付いた椎は息も絶え絶えに舞の肩につかまり呼吸を整えようとする。 舞は『椎が遅いんだよ。』と言おうとしたがそれを飲み込み椎から鞄を引ったくる。 「あ、あり、がと。」 感謝の言葉を聞きつつ椎の鞄からこっそりと数学のノートを抜き取る。 「ちょっ、ま、舞ちゃん?ハァハァ、ふぅ〜、また宿題してないの?」 舞が罰が悪そうに舌を出すとそれを見た椎がため息をつき、舞を叱り始める。 「先生は公式の使い方を覚えてもらうために宿題を出してるんだよ?少しは自分で考えないと。」 椎は責任感が強く母親代わりに家事全般をこなし、当然のように舞を叱るのだが、舞はほとんど話を聞き流している。 「今日はいいけど今度は自分でやりなよ。」 椎は責任感が強いがそれ以上に人がいい結局は椎自信から折れ舞のわがままは必ずと言っていいほど叶う。 「さっすが、椎ありがとね。」 「およ、しまい姉妹じゃん、そんなのんびりしてると遅れるよ?」 背後から腐れ縁のトモに声をかけられ二人は同時にお揃いの腕時計に目を向けた。
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