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■509
/ inTopicNo.1)
M
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□投稿者/ きららっこ
一般人(1回)-(2004/06/20(Sun) 19:05:48)
恋人とHをしていてもイッたことがない。
どの人との行為でも満足できないまま終わってしまう。
自分で慰める時は簡単にイッてしまうのにね。
どんなに愛していても体の反応は正直で、
どんなに丁寧な愛撫にも、道具を使ったセックスにも、まったく反応しない。
もちろん、愛撫されれば溢れてくるものはあるのだけれど。
きっと私は不感症なんだ・・・。
ずっとずっと思っていた。
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■510
/ inTopicNo.2)
M2
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□投稿者/ きららっこ
一般人(2回)-(2004/06/20(Sun) 19:15:28)
職場の駐車場の整備のために、車が使えない。
電車通勤の一週間が始まった。
初めてのラッシュアワー。
あまりの窮屈さに辟易していた。
そんな時、下半身に違和感を感じた。
初めてでも解る・・・チカンだ。
周りを見渡そうにも身動き取れない。首も回らない状態である。
相手はそれをいいことに、執拗にお尻を撫で回す。
時折足の付け根にまで手を滑り込ませる。
私の足は、誰かのかばんがはさまれていて、ピッタリ閉じることができなかった。
きっとチカン相手がぎゅうぎゅう詰めを利用して始めから押し込んでいたのだろう。
恋人とのセックスだけでも無理なのに、
こんな触り方だけでは、濡れもしない。
私相手にバカな人だと、そのままにしておいた。
あまりにも平然としている私に業を煮やしたのであろう。
突然手が離れていく。
あっけない終わりだと思った。
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■511
/ inTopicNo.3)
M3
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□投稿者/ きららっこ
一般人(3回)-(2004/06/20(Sun) 19:26:14)
職場まで後数駅・・・。
人が少なくなってきた。
ようやく普通に立てる様になり、私は出入り口付近に移動しようとした。
瞬間、誰かに後ろから手を取られあいている座席へと押し込まれた。
目の前には見知らぬ女性が立ってた。
目を見張るような美人でもないが、目が離せない雰囲気を出していた。
私は、なぜか目をそらせなくなっていた。
ゆっくりと彼女が近づいて、隣に座る。
「おはようございます。」
思わず口をついて出た私の第一声に、
その人は、苦笑を浮かべて言った。
「はじめましてでしょ?挨拶もろくに出来ないなんてね。」
その言い方に、私は恐怖感を覚えた。
私の中に何かが生まれた瞬間だった。
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■512
/ inTopicNo.4)
M4
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□投稿者/ きららっこ
一般人(4回)-(2004/06/20(Sun) 19:35:23)
「携帯貸して。」
何故か断れない雰囲気がある。
おずおずと手渡す私を鼻で笑って、会社へ電話しろと言う。
番号を押すと、私の名前を聞かれた。
「きららです。」
思わず正直に答えてしまってから、後悔をする。
彼女は、私の表情を見てまたくすっと笑った。
「きららさんは電車で気分を悪くされました。病院へ行かせますので、今日はお休みさせて下さい。」
彼女が事務的に話す声を、どこか遠くに聞いていたように思う。
降りるべき駅に来て立ち上がろうとする私を、
無言で手を引きまた座らせる。
車窓が流れた瞬間、私の中にある種の諦めと理由のわからぬ期待が生まれた。
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■513
/ inTopicNo.5)
M5
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□投稿者/ きららっこ
一般人(5回)-(2004/06/20(Sun) 19:48:54)
彼女は、私の手を離さないまま、無言で前を向いている。
私も何も言えずに前を向く。
頭の中では警戒ランプが光り続けているというのに・・・。
ある駅につくと同時に手を引かれ、降ろされた。
改札を通りすぐ横道に入っていくと、そこはラブホテルばかりが並んでいた。
一瞬、私におびえが走る。
未だかつて、ラブホテルに入ったことはない。
こういうところは不潔だとさえ思っていた。
そんな私を見て、今度は口の片端を少しあげて・・・彼女が笑う。
無言のまま、私の目を見つめている。
私に選択権を与える為の無言の瞬間・・・・。
私は彼女の手を握り返すことで無言の返事をかえした。
「どこがいい?」
聞かれて、思わず一番派手そうな一軒を指差した。
いかにも猥褻な雰囲気のホテルだった。
無意識に選んだけれど、
「スキモノね。」耳元でささやかれた瞬間に、ゾクっと快感が走った。
朝の日差しの中に居ながら、私はその瞬間、淫らな自分を感じていた。
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■514
/ inTopicNo.6)
M6
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□投稿者/ きららっこ
一般人(6回)-(2004/06/20(Sun) 20:09:03)
部屋に入ってからも、無言の時間が過ぎる。
ようやく、頭の中にあった疑問を口にした。
「電車の中のチカンは、あなたですか?」
「ばかな質問ね、わかりきっていると思ってたのに。」
何故か、私をさげすむような瞳を向けられた。
チカンをして、ののしられなければいけないのは彼女の方だと言うのに・・・。
それでも、有無をも言わさぬ雰囲気に、それだけは口にできなかった。
突然頬に痛みが走る。
叩かれたのだと解るまでに数秒かかった。
何故?
口に出さなくても、彼女は答えを口にした。
チカンをすれば、たいていは身をよじって逃げるか、我慢をして耐える。
声を出すか、手を捕まえようとする。あるいは、睨み返してくる。
しかし、私はそのどれをもしなかった。
不感症か、なめてかかっているか、それとも楽しんでいるのか・・・。
知らなかったが、私の後ろ横から、身長差を利用して、私の表情を見ていたと言う。
眉毛一つ動かさない私を、征服したいと思ったと言った。
そして、私を座席に座らせ、見つめあった瞬間に、私の中にある何かを見て取ったと言う。
「私の中にあるもの・・・。」
無意識に口にした私に、彼女は言った。
「知りたい?」
そして、私は、彼女の目を真正面に見据えて、はっきりと頷いた。
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■515
/ inTopicNo.7)
M7
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□投稿者/ きららっこ
一般人(7回)-(2004/06/20(Sun) 20:23:17)
2004/06/20(Sun) 21:05:13 編集(投稿者)
もう一度いきなり頬を叩かれた。
そして、私は身に覚えのある感覚を体に感じて戸惑った。
その一瞬を彼女は見逃さない。
「どう?わかったでしょう。」
それこそ私が求めていたものだと思った。
体中が快感で震えている。
自分で慰める時以外感じなかったはずなのに、
体中で喜びを求めている。
「私を・・・私をあなたのものに・・・。」
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■516
/ inTopicNo.8)
M8
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□投稿者/ きららっこ
一般人(8回)-(2004/06/20(Sun) 20:31:31)
思わず口をついて出た言葉。
その言葉に私の全てを出し切っていた。
誰かのものになる。
この人のものになる。
《もの》
その言葉が、これほど心地いいとは思っていなかった。
私はものになるのだ。
この人の・・・初めて会った人の、名前も知らない人のものに・・・。
恐る恐る口に出して名前を聞く。
「お名前を伺ってもよろしいでしょうか。」
いつの間にか敬語になっていることにも気づかないで。
「きららと言うのよ。」
???
きっと不可解な顔をしていたのだと思う。
「貴女は私なのよ、うれしいでしょう。」
「きらら様とお言いなさい!!」
自分の名前に様をつけてお呼びする・・・。
いや、その時点で、私はきららと言う名前を捨てることになった。
なんと言う快感!!
私は、きらら様の《もの》になったのだから。
そのぞくぞくするような嬉しさに、きらら様の前にひざまずき、
思わず足にキスをする。
思いのたけを込めて。
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■517
/ inTopicNo.9)
M9
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□投稿者/ きららっこ
一般人(9回)-(2004/06/20(Sun) 20:43:37)
叩かれたことで目覚めた私。
私は《もの》なので、ご主人様ではない。
私を支配する方に名前はつかない。
ただ、きらら様なのである。
Mという言葉・・・。
ただ、快楽だけにおぼれるのではない。
《もの》になるというその喜びは、Mの真髄と言える。
そして、私の未来は、きっとまた新たな自分を見つける旅になるのだろう。
今までは、その方法を知らなかった。
これからは、どうすれば良いかを知っているのだから、
私はとても幸せなのだろう。
あの瞬間、電車の中の一瞬の出来事が
全ての始まりだった。
きらら様が呼んでいる。
私を《もの》にするために・・・。
全てを無にして足元にひざまずく私がここにいる。
完結!
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■518
/ inTopicNo.10)
あとがき・・かな
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□投稿者/ きららっこ
一般人(10回)-(2004/06/20(Sun) 20:46:32)
Hシーンはまったく出てきません。
たまには、こういう抽象的な作品があってもいいでしょ?
なんて・・・思ってみたりして。
批評が怖かったりするかも・・・。
知り合いの方たち。。。お手柔らかに!!
一応、リクエストにお答えしましたよ〜〜。
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■545
/ inTopicNo.11)
NO TITLE
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□投稿者/ 雅
一般人(1回)-(2004/06/24(Thu) 04:20:34)
Hシーンがなくても濡れちゃいました…とても楽しかったです。
(携帯)
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■547
/ inTopicNo.12)
雅さんへ
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□投稿者/ きららっこ
一般人(11回)-(2004/06/24(Thu) 05:40:30)
ありがとうございます。
この話は、友人のリクエストにお答えして書いたものです。
こんなに拙い文なのに、何かを感じて下さったのなら、
まんざらでもないなぁって思っちゃいます。
ありがとうございました。
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