| 漆黒の肩まで無いサラサラのショートヘア。
黒くて澄んだ中くらいの切れ長い目。
白くて綺麗な女の子らしい肌。
モデルになれそうなバランスの取れた容姿。
両耳に3つずつ付けた、少し女の子にはごついピアス。
・・・・・惚れた。
私、早坂亜希は、その子に釘付けになった。
「えー、隣町の桜丘高校から転校してきた桃崎樹里さんだ。ぜひ色々と教えて仲良くしてあげてくれ」
頭がはげて少ししか残っていない髪を触りながら、50代の担任が彼女を紹介した。そして、黒板に名前を白いチョークで勢いよく書く。
クラスメイト達も彼女・・・樹里に釘付けで、綺麗だね、という様な事を小声で話している。まあ最もなご意見だ。
でも、こんな2月の下旬に、しかも高校1年生が転入してくるなんて珍しい。 何か事情があるのだろうか?でもそういった感じは全く感じられない程、堂々とした態度だった。
「初めまして、桃崎樹里といいます。よろしくお願いします」
初めて聞いた声は、凛とした少し低い声だった。
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